2017年6月16日金曜日

 ペンス米副大統領が「対ベネズエラ強硬論」を展開、ラ米諸国に行動を要請▼ボリビアのエボ・モラレス大統領がペンスに論駁▼ベネズエラ選管は州知事・州会議員選挙の詳細日程を発表▼キューバ外相が欧州歴訪を開始。法王庁に対VEN強硬論封じ込め要請か

 マイク・ペンス米副大統領は6月15日、マイアミで16日まで続く「中米安全保障・繁栄会議」で、中米首脳や企業家を前に演説、ベネスエラ情勢に触れて、「自由こそが繁栄への真の道であることをベネスエラに示すべきだ」とラ米諸国に呼び掛けた。

 ペンスはまた、「ベネスエラでの<権力濫用>と暴力を早急に止めさせるべきだ。安保は繁栄の道だ」とも述べた。これは、ベネスエラへの軍事介入も選択肢に入れている米政府の苛立ちを表している。米州諸国機構(OEA)が、米国、カナダ、メヒコ、ペルーなど対VEN強硬派と、ニカラグア、ボリビア、カリブ諸国などベネスエラ擁護派に割れていて、米国の思い通りの決議ができないからだ。

 米南方軍は13~17日の日程で、ベネスエラの眼と鼻の先のトゥリニダード&トバゴ(TT)で合同軍事演習を実施中。この「砲艦外交」と副大統領発言で、軍事、政治両面からベネスエラに圧力をかけているわけだ。

 ペンスはさらに、8月13~18日、カルタヘーナ、ボゴタ、ブエノスアイレス、サンティアゴ・デ・チレ、パナマ市を訪問すると明らかにした。

 ペンス発言に対し、ボリビアのエボ・モラレス大統領はラパスで、「米副大統領よ、権力濫用とは、母なる大地の権利を保障する気候変動パリ合意をないがしろにすることを指す言葉だ」と厳しく批判した。また、「世界中に侵攻のための軍事基地を置いていることが権力濫用なのだ」と論駁した。

 一方、ベネスエラ国家選挙理事会(CNE)のティビサイ・ルセーナ議長は15日、先に発表された12月10日実施予定の州知事・州会議員選挙について、有権者登録を7月15日開始、8月8~12日に立候補届けを受理すると明らかにした。9月4~8日に立候補者を発表、選挙戦は11月15日~12月7日に展開される。

 同議長はまた、7月30日投票予定の制憲議会(ANC)議員選挙の地方区に3200人、職能別区に2300人が立候補する、と発表した。

 首都カラカスでは15日、「私たちはベネスエラだ運動」(MSV)の710実働部隊の長が任命され、出陣式が催された。政府支持派の若者たちの部隊で、首都の家庭を訪問し、生活上の問題点や政府への要望を聴く。

▼ラ米短信   ◎クーバ外相が欧州歴訪

 クーバのブルーノ・ロドリゲス外相は6月15日、トルコ、オーストリア、スロヴァキア、イタリア、ヴァティカン歴訪を開始した。ローマ法王庁では、ベネスエラ問題の平和解決への協力を法王に求めると見られている。

 ベネスエラ原油への依存度の高いクーバは、米国や一部ラ米諸国の対ベネスエラ強硬論に危機感を抱いており、軍事侵攻の可能性を封じ込める外交を展開している。

2017年6月15日木曜日

 ベネズエラでジャーナリスト殺害さる。暗殺の可能性も。マドゥーロ大統領は暴動の黒幕を名指しして警告▼米州諸国機構(OEA)は19日カンクンでVEN問題話し合う外相会議開催へ▼米南方軍はベネズエラ沖で13日、合同軍事演習を開始

 ベネスエラ・スリア州マラカイボ湖畔のオヘーダ市で6月14日、ラジオジャーナリスト、ネルソン・バローソ(53)が他殺体で発見された。現場は自宅で、殴打された痕跡があった。バローソはFMアメリカ放送社主で、チャベス派国会議員レオニダス・ゴンサレスの広報官だった。当局は、反政府勢力による暗殺の可能性も含め捜査中。

 首都カラカスでは同日、反政府派暴徒がオートバイで暴走中、うち2台が激突、2人が死亡した。内務省は、反政府勢力の中核である保守・右翼野党連合MUD所属のフレディ・ゲバラ国会副議長が暴徒の背後にいると告発した。首都リベルタドール区では13日、反政府派の若者23人が破壊活動現行犯で逮捕されている。

 ニコラース・マドゥーロ大統領は14日、暴動で若者が死んでいるが、金を払って若者を暴徒に仕立て暴動に駆りたてているのはミランダ州知事エンリケ・カプリーレスと、国会議員ミゲル・ピサーロであり、いずれ収監され代価を払うことになろう、と警告した。カプリーレスはMUD内の極右政党PJ(まず正義を)党首で、ピサーロは同党幹部党員。

 一方、グアテマラ外相カルロス・モラレスは14日、ベネスエラ問題を話し合う米州諸国機構(OEA)特別外相会議を19日、墨保養地カンクンで開催すると発表した。モラレスはOEA会合の輪番制議長。OEAは同地で20~21日、年次定例外相会議を開く。OEAは5月31日、ワシントンでベネスエラ問題を話し合う特別外相会議を開いたが、合意できず、19日に再度話し合うことになった。

 ペルー外務省は、PPクチンスキ大統領がデルシー・ロドリゲスVEN外相により前日、こっぴどく糾弾されたのに反駁、「ベネスエラでの民主復活を断固推進する」と表明、内政干渉政策続行を明らかにした。

 ローマ法王庁は14日、ラ米5カ国6人の保守・右翼系大統領経験者に書簡を送り、「ベネスエラ危機解決は、真剣な交渉と選挙によって可能」との立場を伝えた。

 米南方軍は13日、ベネスエラのすぐ沖にあるトゥリニダード&トバゴ(TT)海域で合同軍事演習「貿易風2017」を開始した。17日まで。18~20日は、南方軍司令部のあるマイアミで、演習参加諸国の指導者セミナーを開く。

 ベネスエラの眼と鼻の先のTT領海での演習は、明らかなベネスエラ牽制策であり、南方軍はその意図をあからさまにしている。米国務省は、ベネスエラ政府高官への新たな「制裁」を準備中と14日表明した。南方軍と歩調を合わせた明白な内政干渉だ。

 ベネスエラ最高裁は14日、政府と対立しているルイサ・オルテガ検事総長が異議を申し立てた最高裁判事33人の過去の任命に関し、異議を却下した。


 
  

2017年6月14日水曜日

 キューバ市会議員選挙は10月実施へ。州会と国会の選挙は未定▼トランプ米大統領が16日マイアミで対キューバ見直し政策発表か

 クーバ政府の最高意思決定機関である国家評議会は6月14日、市会に当たる人民権力ムニシピオ会議議員の選挙を10月22日実施すると発表した。決選は10月29日。任期は2年半。

 州会に該当する人民権力州会議議員および、国会に当たる人民権力全国会議(ANPP)議員(いずれも任期5年)の選挙日程は追って発表される。選挙を経て来年発足する新しいANPP(現在612議員)は国家評議会員(同36人)を選出。国家評議会が議長(国家元首、任期5年、一人2期まで)を選ぶ。

 今月3日86歳になったラウール・カストロ議長は来年2月24日、議長を退く、後任はミゲル・ディアスカネル現第1副議長と内定している。だがラウールには、共産党第1書記の任期が21年4月まで残っており、議長を辞めても第1書記に留まり、新議長の後見役を務めることが可能だ。

  別件だが、ハバナ市マレコン(海岸通り)の著名な民営レストラン(パラダール)「エル・リトラル」と、同「ルンゴ・マレ」の2軒が14日、「資金洗浄」容疑で家宅捜査され、閉店処分となった。店主の自宅も捜索を受けた。たとえば、レストランが不法漁獲した伊勢海老など魚介類を買い取れば「資金洗浄」と見なされることがある。

 一方、ドナルド・トランプ米大統領は「16日マイアミで対玖外交政策を発表する」、との観測がある。クーバ革命軍(FAR)と関係する玖企業・団体との商取引を禁止することなどが発表される、との情報も流れている。

 トランプには確固たるラ米政策も対玖政策もなく、主として米連邦議会のクーバ系反カストロ派極右・右翼議員に吹きこまれた政策を打ち出すことになる。

 
  

2017年6月13日火曜日

 パナマが台湾と断交、中国と国交樹立▼マルティネリ前パナマ大統領がマイアミで逮捕さる▼ベネズエラ最高裁が検事総長の訴えを却下▼デルシーVEN外相はペルー大統領提案を内政干渉と糾弾

 パナマのフアン・バレーラ大統領は6月13日、中国と国交を樹立した、と発表した。この日北京で、イサベル・サンマロ副大統領兼外相と王毅外相が国交樹立協定に調印した。パナマと台湾の外交関係は消滅した。

 バレーラ大統領は、世界最大の人口を持ち世界第2の経済大国である中国と国交がなかったのは虚構だったが、それを正した、と述べた。王毅外相は、パナマが「一帯一路」に参加するのを歓迎すうと述べた。

 これで台湾が外交関係を維持するのは20カ国になった。うち11カ国はLAC(ラ米・カリブ)地域にある。中国系企業はニカラグアで運河を建設中だが、パナマ運河を持つパナマと国交を樹立したことで、中国は存在感を一層増した。

 中国はパナマ運河利用国として米国に次いで世界2位。同運河カリブ海側のコロン自由貿易地域での物資供給国としては第1位だ。中米ではコスタ・リカが中国と国交を維持しており、次はニカラグアになる公算が少なからずあると見られている。

  一方、国際刑事警察機構(インターポール)は12日、パナマ前大統領リカルド・マルティネリをマイアミで逮捕し、身柄を収監した。マルティネリは13日出廷する。パナマ政府は身柄引渡しを要求している。マルティネリは法的追及を逃れ15年初めからマイアミに住んでいた。

 パナマ政府は、違法情報収集および公金横領で国際手配していた。マルティネリは2014年まで5年間政権にあった期間に、政敵ら約150人の電話や電郵(eメイル)を傍受していた。公金横領など腐敗容疑をかけられている。

▼ラ米短信   ◎ベネスエラ最高裁が「制憲議会無効」の訴えを却下。

 ベネスエラ最高裁選挙法廷は6月12日、ルイサ・オルテガ検事総長による制憲議会(ANC)開設決定の無効化を求める訴えを却下した。オルテガは3月末からニコラース・マドゥーロ大統領の法的措置にしばしば異議を唱えてきた。

 政府および政権党PSUVにはオルテガ更迭を求める声が高まっている。一方、反政府勢力の中核である保守・右翼野党連合MUDは、オルテガを支持している。

  デルシー・ロドリゲス外相は13日、PPクチンスキ秘大統領がマドリードでベネスエラへの6カ国による仲裁を提案したことについて、内政干渉として糾弾。同大統領に「ベネスエラに伸ばしたその忌まわしい手を引け」と、警告のメッセージを発した。

   
 

 チェ・ゲバラを50年前捕えたボリビア軍退役将軍が「ゲバラは殺されるため送りこまれた」と語る。近く著書で詳述▼プエルト・リコ住民投票は投票率23%と低調。「米国51番目の州」化が多数▼獄中のベネズエラ極右政治家が国軍に「反逆」を呼び掛け。国軍高官が制憲議会反対で辞任か

 50年前の1967年10月8日、ボリビアで革命家エルネスト・チェ・ゲバラを逮捕した人物として知られるボリビア陸軍退役将軍ガリー・プラード=サルモンは6月11日、「チェはクーバ共産党上層部からボリビアに殺されるために派遣された」と語った。

 プラードは『犠牲にされたゲリラ』の著者だが、エル・チェ歿後半世紀に際し、改訂版として近く『ニャンカウアスーからラ・イゲーラへ-50年後に』を出版する。そこに、故フィデル・カストロ首相(1967年当時)の「裏切り」などを証言と共に盛り込むという。

  ゲバラの遺体が埋められていたサンタクルース州バジェグランデ市と民間団体は10月のゲバラ没50周年行事開始の準備を進めている。

 革命戦争中、エル・チェ(チェ・ゲバラ)が重要な戦果を挙げたサンタクラーラ市入口には、「エルネスト・チェ・ゲバラ彫刻複合体」がある。ゲリラ姿のゲバラ像、博物館、霊廟などが並んでいるが、このほど修復作業が完了した。ドイツの協力で、技術者4人が5週間かけて修復した。

 一方、スペイン・バスコ州ビルバオの対玖連帯会合は11日、スペイン保守紙エル・パイースに「クーバをめぐる最悪虚偽報道賞」を授賞することを決め、閉会した。

▼ラ米短信   ◎プエルト・リコ住民投票は低調

 米植民地プエルト・リコで6月11日実施された住民投票は、投票率が23%で、極めて低調だった。投票者の97%は政権党PNP党員ないし支持者で、「米国の第51番目の州」になることを選択した。

 「完全独立」ないし「自由連合国」としての独立に投票したのは1・5%、現状維持(自由連合州)は1・32%だった。独立2党は投票をボイコット、このこともあって投票率は上がらなかった。

 米連邦議会が、この投票結果をどう判断するかに焦点が移る。共和党はプエルト・リコの正式州化に消極的だ。

▼ラ米短信   ◎ベネスエラ情勢

 スペイン訪問中のPPクチンスキ秘大統領は6月12日マドリーで、「ベネスエラの民主体制維持のため、内政干渉と見なされようと
も、ラ米諸国は関与する必要がある」と前置き。「ベネスエラの味方3国、反対派3国の計6カ国で仲裁委員会を作ってはどうか」と提案した。これは米政府の意向を受けた提案。

 一方、暴動教唆罪などで服役中のベネスエラ極右政党VP(人民意志)党首レオポルド・ロペスは11日、ビデオメッセージを流し、その中で国軍に対し、「あなた方は護憲などのために反逆する権利と義務がある」と訴えた。マドゥーロ・チャベス派政権に忠誠を誓っている国軍を離反させる戦術だ

 ジャーナリスト、ブラディーミル・ビジェーガスは12日、国防会議および国家評議会の書記アレクシス・ロペス少将が、マドゥーロ政権が推進している制憲議会(ANC)開設政策に反対して辞任した、と明らかにした。国防相は確認していない。同少将は、故ウーゴ・チャベス前大統領の政権で、大統領親衛隊長、陸軍司令官を務めた。

 ベネスエラ政府は北京で12日、オリノコ油田で原油を日量32万5000バリル増産する合弁事業計画に調印した。



2017年6月12日月曜日

 米植民地プエルト・リコで将来の在り方を選ぶ住民投票実施。選択肢は対米併合(第51州化)、自由連合国含む独立、現状維持(自由連合州)。法的拘束力はない▼ラウール・キューバ議長は来年辞めると、娘マリエーラが語る

 カリブ海にある米国の植民地(自由連合州)プエルト・リコ(PR)島で6月11日、島の将来の在り方を決める住民投票が実施された。選択は①完全独立もしくは自由連合国としての独立②自由連合州としての現状維持③米国の51番目の州になる併合-。

 昨年11月の知事選挙で当選したリカルド・ロセジョー知事と政権党PNP(新進歩主義党)は併合主義。これに対し、PIP(PR独立党)は完全独立、PPD(民主人民党)は自由連合国を目指している。

 最近の世論調査では、52%が併合派、17%が現状維持、15%が両独立派だった。PIPとPPDは、投票ボイコットを呼びかけている。PR財政は、公共債務730億ドルを抱え、破綻している。そのような状況で島の将来を決めるのは無謀との批判がある。

 PRでは1967、93、98、2012年の4回住民投票が実施され、今回は5回目。最初の投票から50年経っている。前回投票で初めて54%が「現状変更」に賛成した。ただし、住民投票には法的拘束力はない。決定権は米連邦議会にあるが、共和党はPRの第51州化に乗り気でないとされる。

 投票結果は日本時間12日昼前に判明する見込み。投票率(もしくは棄権率)の高さに関心が集まっている。

▼ラ米短信   ◎ラウール・カストロ玖国家評議会議長は来年退陣する

 ラウール議長の娘マリエーラ・カストロ(玖性教育センター=CENESEX=所長)は6月10日、スペイン・バスコ州で、地元放送に対し、「父が引退しないよう求める声があるが、高齢(86歳)の父は来年退陣する。ずいぶん前から準備してきたこと」と述べた。

 バスコ州中心都市の一つビルバオでは、第14回バスコ州・クーバ連帯会議が開かれており、マリエーラは招待出席している。革命家チェ・ゲバラの娘アレイダ・マルチ医師も出席しており、「フィデル・カストロとチェ・ゲバラを模範として生きることが、両人への最大のオメナヘ(オマージュ)となる」と強調した。

2017年6月10日土曜日

 ニカラグアのミゲル・デスコト元外相(84)が死去▼メルケル独首相の批判をベネズエラが糾弾。検事総長は「制憲議会(ANC)無効」化を最高裁に訴える

 ニカラグアのミゲル・デスコト元外相(84)が6月8日、首都マナグアの病院で死去した。ロサンジェルスに1933年生まれ、61年ニューヨークでカトリック司祭になり、「解放の神学」派に参加。75年、ソモサ独裁打倒のゲリラ戦を展開していたFSLN(サンディニスタ民族解放戦線)の支援団体に参加。79年7月19日のサンディニスタ革命勝利で、革命政権執行部に参加した。

 英語力や在米経験を買われて外相に就任。81年に反革命非正規部隊(コントラ)を送りこんで軍事介入したレーガン米政権を相手に84~86年、国際司法裁判所で闘い、米側の侵略事実認定と賠償命令を勝ち取った。米政府は賠償していない。

 サンディニスタ政権に入ったことで、ヴァティカンから司祭資格停止処分に遭った。だが、「私は常に神と共にある」と言い、意に介さなかった。

 2007年、80年代にFSLN政権の大統領を務めたダニエル・オルテガが政権に返り咲くと、大統領の外交顧問に就任した。08~09年には、国連総会議長を務めた。

 現在、連続3期目にあるオルテガ大統領は「偉大な盟友の死」を嘆いた。ラウール・カストロ玖国家評議会議長ら縁のあったラ米諸国要人らから、弔電や花輪が届いている。

【私ブログ子は、デスコトに長いインタビューをしたことがある。私が「パーデレ(司祭)」と呼ぶと、「(資格停止中だが)構わないさ」と言って、にやりと笑ったのを記憶している。】

◎ベネスエラ情勢

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は6月9日、反政府勢力による一連の暴動で破壊・略奪された民営商店舗442軒への補償金として計2985億bf(約1億5000万ドル)を被害者に渡す、と発表した。

 デルシー・ロドリゲス外相は9日、アンゲラ・メルケル独首相が8日、訪問先の亜国ブエノスアイレスで「ベネスエラ紛争の平和解決のため、連携して協力するようラ米諸国に呼び掛ける」と発言したことに対し、「内政干渉であり、反政府勢力の暴力を奨励するもの」と糾弾した。同首相は9日にはメヒコ市で、「ベネスエラのひどい状況を解決するのは容易でない」と発言している。

 亜国サンタフェ州ロサリオ市では9~10両日、ノーベル平和賞受賞者5人が出席して平和会合が開かれている。亜国の左翼アドルフォ・ペレス=エスキベル(APE)は9日、ベネスエラ情勢に触れて、「人民は、人民意志を代表しない為政者に替えて、参加型政権を樹立する権利がある」と述べた。

 さらに、「ベネスエラは、ラ米での覇権を失いたくない米国の策謀によるクーデターの危機に見舞われている」と指摘した。これに対し、保守のコスタ・リカ元大統領オスカル・アリアスは、「ベネスエラでは民主が失われて久しい」と言い、APEと対立した。グアテマラのリゴベルタ・メンチュー、ポーランドのレフ・ワレサ、イランのシリン・エバディも、それぞれ発言した。

 ベネスエラ反政府勢力の中核である保守・右翼野党連合MUDは9日、カラカス22地区で「市民会議」を開催した。MUDによる暴動込みの街頭行動戦術は国際宣伝には効果を発揮したが、国内では批判にさらされている。このため、チャベス派に倣い、政策を直接伝えるため「人民集会戦術」を導入した。

 一方、政府と対立しているルイサ・オルテガ検事総長は8日、マドゥーロ政権が推進している制憲議会(ANC)開設とそのための選挙を「人権、民主、投票権を侵害する」として無効とするよう最高裁に提訴した。MUDは検事総長を支持している。

 カラカスでは、政府がクーデターの芽を摘むため国軍の「浄化作戦」を遂行中で、不満派の佐官・尉官ら現役士官14人が4月に逮捕され拘禁中、との情報が流れてる。