2011年10月30日日曜日

第21回イベロアメリカ首脳会議

  イベロアメリカ(イベリア半島系=スペイン・ポルトガル系=米州)の19カ国と、イベリア半島3カ国(スペイン、ポルトガル、アンドーラ)の計22カ国の首脳が毎年1度集うイベロアメリカ首脳会議の第21回会議が10月28~29日、パラグアイの首都アスンシオンで開かれた。
  
  加盟国の半数の11カ国の首脳が欠席し、会議史上最悪の<首脳欠席数>となった。だが、議論にかなり本音が出て、スペインのホセルイス・ロドリゲス=サパテロ首相は「いつになく実りある議論だった。世界経済の危機が議論に拍車をかけた」と評価した。

  会議は、「国(政府・諸機関)は、社会正義を伴う持続可能な開発を促進する機関としての役割を担う」と、「国家の復権」を強調する「アスンシオン宣言」を採択して閉会した。

  首脳陣のなかで脚光を最も浴びたのは、エクアドールのラファエル・コレア大統領だった。会議に出席していた世界銀行ラ米担当責任者が発言しようとしたところ、緊急発言し、「世銀はラ米と世界に新自由主義を押し付けた責任を謝罪すべきだ。世銀代表がなぜ首脳会議の場にいるのだ。私は世銀代表が発言する間、席を外す」と言い、退場した。

  コレアは、自分の発言の番になると、「歴史的にブルジョア国家であるラ米諸国を人民国家に変えなければならない。ラ米が発展するには、国際機関がラ米に押し付ける新植民地主義に打ち勝たねばならない」と強調した。ボリビアのエボ・モラレス大統領はコレアを支援し、「国際通貨基金(IMF)と世銀はラ米に賠償すべきだ」と訴えた。

  会議の頭上には、08年の米経済危機から昨今の欧州経済危機に至る国際経済の深刻な危機が暗雲となって立ち込めていた。主として一次産品の好況で経済が活況を呈してきたラ米だが、突如として輸出減少と価格低落による危機に陥る可能性があるからだ。

  来年の第22回会議は、スペインのカディスで開かれる。再来年の第23回会議は、パナマ開催が決まった。ラテンアメリカ(ラ米)にありながらフランコアメリカ(フランス系米州)であるため加盟できないハイチは、外相がオブザーバー出席し、正式加盟を申請した。

(2011年10月30日 伊高浩昭)