2012年8月18日土曜日

ピースボート記者会見 ~波路はるかに~番外

☆私が船上講師として、カラカス・横浜間を乗船したPB(ピ-スボート、オーシャンドゥリーム号)第76回航海船は8月17日朝、横浜港大桟橋に帰着し、港内で、世界一周航海での活動状況をめぐる記者会見が行なわれた。

☆会見には、吉岡達也PB創設者・共同代表、モリース・レイナ在日ベネズエラ大使館文化担当官、乗客だった福島県人3人(早川のり子、見上香織、門間孝一)らが出席した。神奈川新聞、共同通信、毎日新聞など数社の記者が取材した。

☆県人らはロンドン、ヨーテボリ(スェーデン)、オスロで、東電福島原発の水素爆発事故後の深刻な放射線拡散被害状況を伝える運動を展開した。ロンドンでは、保守政権が原発推進派であるという事情もあってか、英国民に福島の悲劇が十分に伝わっていないことを実感し、福島の生の声を伝えるのが極めて重要だと認識した、という。

☆原発を持たないノルウェーの首都オスロでは、福島の声が届いているのを知った。現地で発言した60歳の早川さんは、「日本政府の事故終息宣言で福島の状況についての日本の報道が著しく減った。だが現実は依然厳しく、克明に報道してほしい」と訴えた。

☆スウェーデンには原発がある。福島事故後、国論は原発維持か廃絶かで二分されている。このため、福島の現状に強い関心を示している。早川さんは、「ある意味で当事者である日本人よりも関心が強い」と指摘した。

☆ベネズエラの首都カラカスでは、PBは写真家豊田直巳氏撮影の福島写真展を開いた。千羽鶴を折る人を新しいスペイン語で「オリガミスタ」というが、現地のオリガミスタたちが、写真展に自分たちが折った千羽鶴を寄贈した。その千羽鶴は、記者会見で披露された。

☆早川さんは結論として、「福島県民は心を一つにして」深刻な放射線状況に対峙すべきだと述べた。また「心のケア」が依然ないことを指摘するとともに、「汚染されている可能性のある野菜を先の短い老人が食べ、子供や若者には食べさせない」と日常生活の在り様を語り、「日本の広範な地域がすでに放射線で汚染されてしまっているのではないか」と懸念を訴えた。

☆県内の婚約者と結婚する26歳の見上さんは、「嫁に行くが、困難が待っているかもしれない。婚約者と、体内汚染などについて話し合っていく」と語った。

☆ニカラグアの首都マナグアで、ダニエル・オルテガ大統領夫妻によるPB乗船者全員に対する歓迎会が開かれた。大統領と吉岡代表は、壇上で「原発廃絶運動を展開していくこと」で合意した。ニカラグアは、国内の全市長が「平和市長会議」に参加している世界でただ一つの国だ。

☆大統領と言葉を交わした74歳の門間さんは、大統領から「原発事故直後の当局の対応は遅すぎたのではないか。原発は事故が重大な結果を招くため、民間企業ではなく政府の直轄とすべきだ」と指摘されたと明らかにした。

☆門間さんは、「事故直後、諸外国は在日自国民に半径80km以内から直ちに避難するよう勧告したが、日本政府は情報を隠していた」、「今も県民7万人が山形、新潟、東京などに避難している。仮設住宅では心労などで既に500人が死んでいる」、「原発事故後、屋外の人影、特に子供の姿が途絶えた。最近になってようやく、姿が見られるようになった」と語った。

☆記者会見では、本日18日1630から東京・千駄ヶ谷の津田ホールで開催される、福島のジュニアオーケストラの7人と、ベネズエラの青年オーケストラ「エル・システマ」の8人が合同で開くコンサートについて紹介された。計15人はメキシコのエンセナーダから乗船し、船内で稽古し、コンサートを開いた。

☆ヴァイオリンを弾くヘスース・グスマン君(16歳)は、「PB船で、福島の現実、放射線による深刻な問題を知った。僕の人生にとり重要なことだった。音楽を通じて平和と、生きる喜びの増進に貢献したい。PBの福島・広島・長崎を世界中に訴えていく使命の重要さがわかった」と述べた。

☆南相馬市の桜井勝延市長、東海村の村上達也市長らが世話人を務める「脱原発を目指す首長会議」の設立趣意書が会見の場で配布された。8月16日現在、全国の78市町村長らが会員になっている。韓国やオーストリアからの賛同する声も紹介された。