2012年8月31日金曜日

キューバ後継者候補の娘が脱国

▼▼▼キューバの経済改革を指揮している閣僚評議会副議長(副首相)マリーノ・ムリージョ(51)の娘グレンダ・ムリージョ=ディアス(24)が8月16日ごろ、メキシコ・タマウリパス州ヌエボラレードから米テキサス州ラレードに入り、キューバ人難民として保護された。マイアミのヌエボ・エラルド紙が28日伝えた。

▼グレンダはハバナ大学で心理学を学んでいた。メキシコでの心理学会に参加したまま帰国しなかった。フロリダ州タンパには、母方のおばイダニア・ディアスが住んでおり、ハバナ在住の祖父ロランド・ディアスがたまたまイダニアを訪ねて滞在中だったところにグレンダが到着した、という。グレンダは現在、このおばの家に落ち着いている。この事実は24日確認されたという。

▼父ムリージョは、ラウール・カストロ議長から特別に目をかけられ、市場原理を取り入れた経済改革を指揮している。指導部の若返りを公約しているラウールの、有力な後継者候補と目されてきた。娘の米国への出国を確認したムリージョは、号泣したという。

▼グレンダの脱国がムリージョの指導者としての経歴に傷となるのは疑いない。だが<致命傷>になるかどうかはわからない。フィデル・カストロ前議長の孫たちの一部や非嫡子の娘らは同様に脱国し、米国、スペインなどに住んでいる。

▼マイアミに本部のある、反カストロ派組織「キューバ系米国人財団」(FNCA、英語でCANF)は、社会主義キューバで特別待遇を受けているはずのエリート家庭の娘さえも経済的満足だけでは耐えられなかったと、グレンダ脱国に言及している。

【キューバ指導部の肉親の脱国者については、フアーナ・カストロ著『カストロ家の真実』(伊高浩昭訳、2012年、中央公論新社)参照。】