2013年1月4日金曜日

思い出の「テネシーワルツ」=パティー・ペイジ死去に際して=


★☆★☆★正月の悲しいニュースの一つは、パティー・ペイジが元日に死去したことだ。あの「テネシーワルツ」を歌った素晴らしい歌手である。85歳だった。

★パティーは、私の最も好きな歌手の一人だった。彼女の明確な発音の英語歌詞は極めて聞き取りやすかった。彼女が歌う歌はすべて好きだった。

★40年も前のことだが、私はカントリー音楽の本山ナッシュビルに行った。「テネシーワルツ」は、既にテネシー州歌に指定されていた。

★私はカントリー酒場を何軒も梯子していたが、ある酒場の感じのいいバンドに「テネシーワルツ」を歌ってくれと頼んだ。当時は「シティー・オブ・ニューオーリンズ」という歌が大ヒット中で、ほとんどすべての客がこの同じ歌ばかりを注文していた。

★バンドの面々は私の注文に一瞬たじろいだ。日本の現代の若者のバンドに「湯の街エレジー」を歌ってくれと求めたようなものだったからだろう。

★だが、間もなく、「日本から来ているお客さんが我々の州歌を聴きたいそうなので、これから、あの歌を歌います」と言い、私を客たちに紹介してから歌ってくれた。

★パティーのソロの美性とは大きく異なる、本場カントリー調の和声とバンジョーやバイオリンの音色に彩られた歌だった。素晴らしかった。私はチップをはずんで、店を出た。

★江利チエミの歌う「テネシーワルツ」も良かったが、やはりパティーのが最高だった。

★パティーは去年9月引退し、米加州南部の療養施設に入っていたという。彼女は今後、数々の持ち歌が演奏され歌われるたびに甦ることになる。