2014年12月31日水曜日

惜別2014、懐かしい河原温さんの死

 今年亡くなった数多くの内外人の中で最も心に染みた死は、河原温のそれだった。2014年7月上旬、定住地ニューヨークで81歳で死去した。

 私はメヒコ市のモンテカルロというホテルで1967~68年、温さん、人形作りのひろ子さんの夫妻と知己になった。内庭を隔てた部屋に住む長期同宿の友だった。私はずっと年下だったが、ジャーナリズムをしていて、それなりの情報を持っていたこともあって、かわいがられた。

 温さんは毎日、黒い小さなキャンバスに白字でその日の日付を書く「日記」という作品をつくっていた。これが後に知った有名な「日付絵画」だった。

 その日、朝から夜まで会った人の名前を、会った順にタイプで縦に書き並べる仕事もしていて、夫妻の部屋にしばしばお邪魔していた私は何度も登場した。同じ日に3回訪ねれば、3回名前が記されるのだ。詩のように映った。

 温さんを「今夜はキャバレーで踊りや歌を楽しみましょう」と誘うと、約束の時刻に現れる温さんは、決まって背広、ネクタイで身を固めていた。それが温さんのスタイルだったのだ。

 夫妻はある日、南米に旅立った。68年に戻ってきて間もなく、荷物をたたんでニューヨークに去っていった。別れる日、彫刻のような作品をもらった。「彫刻ですね」と言うと、「いや、それは絵だよ」と言われてしまった。

 「ニューヨークにいらっしゃい。泊めてあげるよ」と言われたのが最後だった。その後、NYに何度か滞在したが、会う機会はなかった。

 ことし、チレ人でメヒコ在住の映画監督アレハンドロ・ホドロフスキーが来日した。彼を私に紹介してくれたのは温さんだった。このほか、メヒコ人やメヒコ在住の諸外国の芸術家も紹介してもらった。

 私は67年6月に壁画家シケイロスにインタビューし、記事を書いていた。温さんは記事に興味を持ってくれた。47年間も会わず終いだったが、温さんは私の心に生き続けている。

ベネズエラが経済回復計画を打ち出す

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は12月30日、年末記者会見で、「経済回復計画」を発表した。半年、2年、4年の3段階に分けて経済を回復・拡大させていく。1月3日に計画は発足する。

 大統領は、2014年のインフレが年率64%で、GDPが2・3%縮小したことを明らかにした。

 計画によって、現在3通りある通貨ボリーバル(BF)の公的交換率を変える、新しい外為制度を設ける。政府は外貨防衛のため、2003年以来、交換率を管理してきた。

 食糧や薬品を輸入するための優遇交換率は1米d=6・3bfだが、「第4の交換率」闇市場では1d=150bfにも達している。

 大統領はインフレや国際原油価格低迷(30日相場は1b=47d)に対処しつつ、「新しい経済モデル」を構築する、と述べた。これは、歳出健全化のための補助金削減・廃止などの荒療治を将来的に伴う可能性がある。

 マドゥーロは会見で、米政府はベネスエラとロシアの弱体化を狙って石油輸出国機構(OPEC)を不安定化させようとしている、と非難した。

 ベネスエラは元日、国連安保理非常任理事国になる。安保理が、米国とのせめぎ合いの場となる。ベネスエラはまた、15年からから3年間、非同盟運動の議長国になる。したがって、「第3世界の立場を代表する理事国」として安保理に臨む。

2014年12月30日火曜日

世界最悪の殺人発生率はホンジュラス、次悪はベネズエラ

 NGO「ベネスエラ暴力監視所」(CVV)は12月29日、ことし世界最悪の殺人事件発生率は、10万中104人のオンドゥーラスが記録したと発表した。ベネスエラは次悪で、同82人だった。

 ベネスエラでは2013年に2万4763人が殺されたが、今年は2万4980人に増えた。ラ米・カリブではジャマイカが10万人中45人、エル・サルバドールとコロンビアが44人、ブラジル32人、メヒコ22人など。

 一方、メヒコ大司教区は29日、今年国内で司祭4人、教会従業員1人が殺されたと報告した。司祭はゲレロ州で3人、メヒコ州で1人が殺害された。従業員は運転手で、司祭の拉致を防ごうとして殺された。

 ゲレロ州で殺された司祭の一人は、ウガンダ人宣教師。

2014年12月29日月曜日

ラテンアメリカ2014年重要ニュース

◎ラテンアメリカ2014年重要ニュース


1月 元日クーバ革命55周年記念日、6日グアテマラ元独裁者エフライン・リオス=モント裁判無効決定、14日詩人フアン・ヘルマン死去、27日オンドゥーラス新政権発足、28~29日ハバナで第2回CELAC首脳会議。

2月 2日コスタ・リカとエル・サルバドールで大統領選挙、6日★ベネスエラで極右によるグアリンバ(街頭暴力事件)始まる。

3月 5日チャベス一周忌、9日★エル・サルバドール大統領選挙決選でFMLNのサルバドール・サンチェス当選、11日チレでミチェル・バチェレー大統領就任。

4月 6日コスタ・リカ大統領選挙決選、17日ガブリエル・ガルシア=マルケス死去。

5月 4日パナマ大統領選挙でフアン=カルロス・バレーラ当選、8日コスタ・リカ新大統領就任、25日コロンビア大統領選挙、25日EZLNの「マルコス副司令」引退。

6月 1日エル・サルバドール新大統領就任、15日コロンビア大統領選挙決選で現職フアン=マヌエル・サントスが逆転当選、19日エスパーニャ国王にフェリーペ6世即位、下旬アルヘンティーナ政権と米ハゲタカファンドの対決激化。

7月 1日パナマ新大統領就任、26~28日ベネスエラ統一社会党(PSUV)大会、月内露大統領、中国主席、日本首相がラ米歴訪。

 
8月 7日コロンビア大統領就任。

9月 26日★メヒコ農村教員学校生43人強制失踪事件。

10月 5日ブラジル大統領選挙、12日ボリビア大統領選挙で現職エボ・モラレス3選、26日★ブラジル大統領選挙決選で現職ヂウマ・ルセフ2選、26日ウルグアイ大統領選挙、エクアドール憲法裁判所が大統領無期限再選のための改憲案国会上程を可と判断。

11月 30日ウルグアイ大統領選挙決選でタバレー・バスケス前大統領当選。

12月 10日ブラジル国家真実委員会が大統領に軍政期人道犯罪の報告書提出、17日★★★米玖国交正常化合意発表、22日★ニカラグア横断運河建設着工。

☆★☆書き落としたニュースは後で追加します。惜別2014年末、伊高浩昭




 
   

バンドネオン奏者レオポルド・フェデリコ死去

 亜国タンゴ界の大御所でバンドネオン奏者のレオポルド・フェデリコ(87)が12月28日、ブエノスアイレスの医療施設で死去した。1927年1月12日ブエノスアイレスで生まれ、幼少時代からタンゴに親しみバンドネオンを弾き始めた。17歳でタンゴの舞台に出演した。

 以後、カルロス・ディサルリ、アストル・ピアソーラらのオルケスタに参加。1958年からは、自分のオルケスタ・ティピカ(標準編成バンド)を率いてきた。タンゴ曲の作曲家でもあった。

 1980年代末から90年代初めにかけ、日本人バンドネオン奏者、故米山義則を第二奏者に据え、会計担当も任せていた。演奏で日本にも来ていた。晩年は、演奏家協会の会長を務めていた。

 私が取材を通じブエノスイアレスと東京で付き合った最も親しいタンゲロだった。

2014年12月28日日曜日

「世界」がホンジュラスの青少年暴力組織マラスのルポ掲載

 中米「北の三角形」を構成するグアテマラ、エル・サルバドール、オンドゥーラスでは、「マラス」と呼ばれる青年暴力結社が長らく幅を利かせている。彼らは、体中に刺青をするなど恐持てし、殺人をはじめ凶悪犯罪を厭わない。西北に隣接するメヒコにも根を張る。治安撹乱要因として、各国で麻薬マフィアとともに取締りの対象となってきた。

 この「マラス」をオンドゥーラスで取材したルポルタージュが、雑誌「世界」2015年1月号(岩波書店、発売中)に載っている。文・工藤律子、写真・篠田有史の、おなじみコンビの作。日本人が現地で「マラス」を取材し記事を書くことは、極めて稀だ。この点だけからも価値があるが、内容も豊かで、読む者は考えさせられる。つまり上質のルポである。

 極貧の日常に苦しみ病む青少年が「マラス」になるかならないかの分かれ目は何か。鍵は家庭・学校・社会の教育にある。当たり前のことだが、それがなかなか叶わないのが発展途上諸国だ。この記事には、元マラス要員、社会参加・復帰支援者らの生の声も綴られている。だから説得力がある。

 日本人は、中米というと「コスタ・リカ」とくる者が多い。経済人はパナマ運河拡張やニカラグア運河建設工事を気にする。だが、中米を暗く蝕んでいる深刻な社会問題にも目を向けてほしい。

 ラ米、とりわけ中米に関心のある人々や、メディア記者に、このルポを読むことをお勧めする。
 

2014年12月27日土曜日

メキシコの学生43人強制失踪事件が4カ月目に入る

 メヒコ・ゲレロ州イグアラ市で起きた教員養成学校生43人強制失踪事件は12月26日、発生後丸3カ月に至った。この日、家族や支援者はメヒコ市内の革命記念碑前で、政府に事件解明を求める集会を開いた。

 遺族は、事件解明までは選挙で投票しないことを決めた。43人は全員殺害された公算が大きい。うち一人の遺骨の身元が判明している。

 先のオスロでのノーベル平和賞授賞式に駆け込んで逮捕され送還されたメヒコ人大学生アダーン・コルテス=サラスは両親とともに集会に参加した。「私たちは43人の家族に連帯している。私が44人目になる可能性もあるが」と述べた。

 政府は19日、イグアラ市の隣のコクーラ市の市長セサル=ミゲル・ぺニャローサ=サンターナを拘禁し、取り調べている。コクーラ市警は、イグアラ市警が9月26日、学生たちを連行した際、協力した。

ベネズエラ外相が交代、大物ラミーレス氏が国連大使に

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は12月26日、ラファエル・ラミ-レス外相を国連駐在大使に、後任の外相にセルシー・ロドリゲス情報相(女性)をそれぞれ任命した。

 ベネスエラは15年元日から2年間、国連安保理非常任理事国になる。ホルヘ・アリアサ副大統領は26日、「ベネスエラは安保理で、社会正義と平和のために闘う南の人民の立場を代表する」と述べた。

 故チャベス大統領の側近だった大物ラミーレスの大使任命は時宜に適っていると見る向きがある一方、ラミーレスが石油相だった昨年7月打ち出した「ガソリン価格値上げと通貨交換率一本化」の方針を「忘れ去る」ためとの見方も出ている。

 いずれも実現が困難だからだ。特に来年9月の国会議員選挙を控え、広範な物価上昇を招くガソリン値上げは得策でないとの考えは、政府に根強く浸透している。

ニカラグア運河はパナマ運河の市場3割奪う、と予測

 パナマ運河庁(ACP)のホルヘ・キハーノ長官は12月26日記者会見し、このほど建設工事が始まったニカラグア運河について、「総工費は700億ドルに達する可能性がある。完成すれば、パナマ運河の市場を3割奪うことになろう」と指摘した。

 長官は続けて、「だからこそ我が方は新しいサービスを提供せねばならない」として、建設中の第3閘門式水路のカリブ海側出口コロサルに巨大なコンテナ港を建設することを明らかにした。総工費6億ドルで、工期18カ月。

 第3水路の工事は85%済んだ、とも明らかにした。長官はスエズ運河拡張工事にも触れ、「来年完了する。スエズ拡張でパナマ運河は市場を3%奪われる」と述べた。 

2014年12月26日金曜日

メキシコ人学生43人事件の家族らが抗議デモ

 メヒコ・ゲレロ州のアヨツィナパ農村教員養成学校の学生43人が9月下旬に強制失踪させられた事件で、家族と支援者の一団は12月24日、首都メヒコ市内の大統領公邸前で、学生生還を要求した。

 学生の父親の一人は、重大事件なのに大統領の関心は低いと、大統領の「感受性の乏しさ」を非難した。事件への対応の遅れや豪邸入手の醜聞から、エンリケ・ペニャ=ニエト大統領の辞任を求める世論が高まった。

 43人の学生のうち、一人の遺骨の身元が確認されている。43人全員が殺害された公算が大きい。

 家族らの一団は、ドイツ大使館前にもデモをかけた。ドイツの武器製造会社のG36自動ライフル銃が、学生を拉致したイグアラ市警に使用されていたためだ。ドイツ政府は2010年以降、メヒコへのこの種の武器の輸出は止めていると表明した。

 一方、ゲレロ州アルタミラーノ市のグレゴリオ・ロペス司祭は12月21日拉致されたが、同市近郊で25日、射殺体で発見された。

大麻合法化1年のウルグアイで個人とクラブが栽培

 ウルグアイでは2013年12月、大麻栽培・消費が合法化されたが、1年経った今、1200人の登録栽培者がいる。麻薬管理当局が12月24日明らかにした。会員45人までの「大麻栽培クルブ(クラブ)」は500ある。

 15年3月には、ホセ・ムヒーカ大統領の任期が切れ、タバレー・バスケス大統領(前大統領)が就任する。バスケスは現行の大麻政策を維持するもようだが、修正を加える可能性があると見られている。

 両氏ともに政権党「拡大戦線」(FA)に所属するが、バスケスの方が保守的だ。

ハイチ大統領が次期首相を任命

 アイチのミシェル・マルテリ大統領は12月25日、エヴァン・ポール氏を次期首相に任命した。就任には議会の承認が必要。だが与党は少数派で、すんなり承認されるかどうかわからない。

 野党勢力は24日、首都ポルトープランスで大統領辞任を求めるデモ行進をした。26日、28日、31日、1月1日にもデモをすることにしている。

 野党は14日、ローラン・ラモーテ首相の辞任を勝ち取っており、今や目標を「大統領辞任」一本に絞って攻勢をかけている。 

ブラジルで外国人医師1万4500人が勤務

 ブラジルでは、ルセフ政権の「マイス・メジコス」(もっと医師を!)政策に基づき、1万4462人の外国人医師が働いている。医師が不足していた3785市および、無医村に等しかった先住民共同体34カ所で勤務している。

 そのうち1万1429人はクーバ人医師。クーバ人医師団は2013年7月に為された契約によって導入された。

 政府は、クーバ人をはじめ外国人医師たちをさらに導入する方針。 

パラグアイで新たな諜報制度発足

 パラグアイで12月24日、新しい諜報機関を設置する「国家情報制度(SINAI)創設法」が公布された。SINAIには内務省、国防省、麻薬取締庁(SEAND)、資金洗浄防止庁(SPRELAD)が参加する。

 新設されるのは、国家情報会議(CNI)と、大統領直属の国家情報庁(SNI)。当面は、ゲリラ組織「パラグアイ人民軍」(EPP)対策が主要任務になるという。

2014年12月25日木曜日

アルゼンチン陸軍司令官に新たな容疑加わる

 アルヘンティーナ北部のトゥクマン州検察は12月24日、陸軍総司令官セサル・ミラーニ将軍を不正蓄財容疑などで取り調べるよう、法廷に要請した。

 ミラーニは、1976年3月クーデターで登場したビデーラ軍政下の同年6月、トゥクマン州内の基地に配属されていた徴兵新兵アルベルト・レドの強制失踪事件に関与した容疑で既に調査されている。

 同年7月初め、レドの母親が誕生日祝いに基地を訪ねたところ、息子が前月「行方不明」なっていたことを告げられた。母親は裁判所や人権団体に訴え、息子の捜索を始めた。

 陸軍は同7月末になって捜索を始めたが、レドは「作戦中の脱走」と発表された。当時、同基地に勤務していたミラーニは、レド失踪に関与した大尉と当時連絡を取り合っていた。

 将軍の疑惑は総司令官任命前に明らかになっていたが、クリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネル大統領は批判を押し切って任命した。このため、大統領の責任論も浮上している。

 ビデーラに始まる1976~83年の軍政時代に、亜国で3万2000人が殺害された。レドはその一人だ。

ニカラグア農民が運河建設に反対して道路封鎖

 ニカラグア警察は12月24日、パナメリカン道路を閉鎖していた農民300人を同日、警察機動隊が排除した際、市民6、警官15の計21人が負傷、警官1人は重傷、と発表した。農民らはニカラグア横断運河建設に反対している。工事で土地を奪われるからだ。

 警察によると、農民は銃、マチェテ(山刀)、投石で戦い、警官隊は催涙ガス、ゴム弾で制圧した。農民30人が逮捕された。

 現場は、首都マナグア南東260kmのリオサンフアン県エル・トゥーレ。全国で農民3万人が工事により土地を追われる模様。今後、各地で工事に反対する闘争が拡がる可能性がある。

ベネズエラの「経済戦争」は2015年も続く

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は12月24日、今年を振り返って、人民勢力が極右勢力による街頭暴力と
憎悪を抑え込んだ、と強調し、2015年も「経済戦争」が続く、と述べた。

 この国の経済は、経済の命綱である原油の国際価格が9月以降下がり続け、現在1b=50d台前半。かつての1b=100dの半分近くになった。来年の国家予算歳出は1b=60dで組まれている。インフレは60%に達し、庶民は生活苦を訴えている。国内総生産(GDP)は18%減ったとの見方がある。

 コロンビアなど国境を接する国々に一日10万bの原油が密輸で流出しているのも打撃だ。年間30億dの損出になる。政府は国軍を動員して、密輸を取り締まっている。

 通貨ボリーバル(bf)と米ドルとの交換率が3通りあるのも問題だ。食糧、薬品など必需重要物資を輸入するための優遇交換率は1d=6・3bf、SICADと呼ばれる第2の固定率は1d=11bf、第3の変動率は1d=約50bf。

 食糧などの輸入業者が優遇率で安くドルを買い、輸入せずにドルを国外の銀行に貯蓄するという不正が横行しており、一大問題になっている。この種の外貨不正流出は2000億dに及ぶとされる。政府は、15年前半に1d=30~40bfに一本化することを検討中。 

メキシコで学生の一団が略奪品を貧者に配る

 メヒコ・ゲレロ首都チルパンシンゴで12月24日、学生らの一団が、3時間に亘る食品輸送車略奪、商店強制提供などによって集めた菓子や清涼飲料剤を同市内の貧困地区で配った。学生らは、ナビダー(クリスマス)のパパ・ノエル(サンタクロース)役を担った。

 学生の一団の中心は、近郊にあるアヨツィナパ農村教師養成学校の学生。同校生43人は9月下旬、同州イグアラ市で警官らに連行され、行方不明になった。うち一人の遺骨は12月初め、43人のうちの一人のものであることが判明している。

 一方、同州教職員組合はチルパンシンゴ中心街にナビダーの木を立て、43人の写真を飾った。「43人が生還するまではナビダーも新年もない」と書かれた紙も取り付けられている。

2014年12月24日水曜日

ボリビアと米国が外交関係正常化で交渉開始

 ボリビアのダビー・チョケウアンカ外相は12月23日、米外交使節団がラパスに到着しており、大使級外交関係復活について話し合う、と発表した。ボリビア政府は今月11日、高級交渉開始を求めていた。

 エボ・モラレス大統領は2008年10月、米政府が政変を画策したとして米大使を追放し、翌11月には米麻薬捜査局(DEA)駐在官を国外退去させた。大統領は、同年9月の反政府暴動の背後で米政府が動いていたと指摘した。

 だが両国は2011年11月、外交関係正常化の枠組みで合意し、緊張関係を緩和させつつ、低級の話し合いを続けていた。

 外相は、モラレス大統領とバラク・オバーマ米大統領の首脳会談設定も話し合われており、最終的には首脳会議で正常化が決まる、と明らかにした。

2014年12月23日火曜日

米側の計らいでキューバ人元囚人の妻が妊娠

 スパイ罪で16年間米国で服役し12月17日クーバに帰還した元諜報機関員ヘラルド・エルナンデスの妻アドリアーナ(44)は1月初め女児を産む。なぜ彼女が妊娠できたのか、そこには人道的計らいがあった。

 エルナンデスは米国で1998年9月逮捕された「5人の英雄」(米国では「マイアミ・ファイヴ」)の代表格で、「終身刑2回および禁錮15年」という常軌を逸した実刑判決を受け、カリフォルニア州内の刑務所で服役していた。この判決は「ヘイトクライム」とも呼べるものだった。

 だが米玖国交正常化を願う米連邦議員が司法省に掛け合い、今年初め、エルナンデスの精液を妻に送ることに成功した。アドリアーナは人工授精で妊娠した。

 彼女は42歳だった2012年、「夫は長期刑に服役しており、私が母親になれないまま時が経つばかり」と、あるインタビューで述べた。これが米議員と司法省を動かした。

 同省は12月22日、仲介の労を取ったことを認めた。人工授精は、米玖交渉がカナダで極秘裏に展開されていたさなかに施された。クーバでは、エルナンデス夫妻があちこちで祝福されている。

★ニカラグア横断運河建設工事始まる

 ニカラグアの太平洋岸ブリート港とカリブ海岸のプンタゴルダ河口を結ぶ総延長278kmの「ニカラグア大運河」の着工式が12月22日、太平洋岸のりバスで行なわれた。モイーセス=オマール・アジェスレベンス副大統領、工事を請け負った香港HKNDの王靖(ワンジン)社長らが出席した。

 副大統領は、「大運河はニカラグアの歴史と地理だけでなく、経済を大きく変える」と述べた。王社長は「この日は歴史に刻まれる」と語った。

 運河建設は昨年6月に正式決定した。総工費は当初400億ドルと見積もられていたが、今では500億ドルとされている。ニカラグア政府とHKNDは、諸外国や国際金融界に融資を仰いでいる。

 運河は幅230m~520m。深さ30m。建設中のパナマ運河第3閘門式水路よりも規模が大きい。278kmのうち105kmは、太平洋岸に近いニカラグア湖(コシボルカ湖)を通過する。このため、湖の環境汚染が最大の問題となっている。

 工事は、運河建設地への接近路確保のため、自動車道建設、港湾整備、鉄筋・セメント製造工場などの建設から始まる。最終的には、運河両出入地の深海港、運河沿いの自動車道、空港、人造湖、観光複合体、自由貿易港などが建設される。

 運河開通時期は2020年代前半とされる。開通すれば、世界海洋貿易の5%を担うことになるという。工事はニカラグア人20万人に職を与えると期待されている。この国の経済成長率は4~5%だが、政府は、工事開始後の2015年は10%、16年は15%に膨らむと計算している。

 ニカラグア横断運河構想は19世紀初めからあったが、20世紀初めのパナマ運河建設に先を越された。ダニエル・オルテガ現大統領は、貧困脱出と、自ら歴史に名を残すことを願って、一大土木事業に挑んだ。

 だが、建設用地として土地を奪われる農民は激しく反発している。この日もリバス近郊で道路を封鎖し、タイヤを燃やして抗議した。環境団体も反対している。環境調査を請け負っている英ERM社は、調査結果を提出するが工事続行・停止などの助言はしない、と表明している。

 かつてオルテガと同志だった作家セルヒオ・ラミーレスは、「悲劇的な日だ。主権が大国に渡される」と嘆いた。首都マナグアでは、オルテガ主催の着工行事が催されることになている。

 パナマをはじめラ米諸国は、完成への懐疑心を抱きつつ、工事開始を見守っている。

2014年12月22日月曜日

ベネズエラ政府が欧州議会決議をはねつける

 ベネスエラ外務省は12月21日、欧州議会が18日採択した同国内政に関する決議を「内政干渉、主権侵害」としてはねつけた。同時に、欧州連合外交上級代表による同様の発言にも反駁した。

 欧州議会は、ベネスエラで今年2月始まったグアリンバ(街頭暴力)を教唆した罪で同国法廷で裁かれている右翼指導者の一人レオポルド・ロペス被告らの釈放を要求し、反政府勢力との対話を求めている。

 ベネスエラ政府は、オバーマ米政権および米議会と欧州連合、欧州議会が連携して圧力をかけていると見ている。

 欧州議会決議は賛成476、反対109、棄権49で可決された。
 

ハイチ暫定首相決まる

 アイチのミシェル・マルテリ大統領は12月21日、任期30日間の暫定首相にフローランス・ギヨーム保健相を任命した。次期首相は、その30日間に国会議決を経て決定する。

 同国では今月12日、野党勢力が大統領と、当時のローラン・ラモーテ首相の辞任を求めてデモを掛けた。デモ隊は警官隊と国連派遣部隊に解散させられたが、ラモーテ首相は14日辞任した。

 国会では野党が多数派であり、大統領は首相人事をめぐって野党との話し合いを続けている。 

2014年12月21日日曜日

キューバ議長が国会で社会主義堅持を強調

 クーバのラウール・カストロ国家評議会議長は12月20日、人民権力全国会議(国会)の閉会演説で、「対米関係改善のためクーバは理想を捨てるべきだ、と企図してはならない」と述べ、社会主義の理想を堅持することを強調した。

 議長は、「我々は一度も米国に政治制度の変更を要求したことはない。米国は我々の政治制度を尊重すべきだ」と述べた。また、「米国はクーバが主権国家であることを理解すべきだ。クーバ人民は国民投票で社会主義憲法を承認し、社会主義の道を選んだ」と語った。

 さらに、「クーバはあらゆる問題を話し合う用意がある。それには米国の国内問題も含まれる」と言い、米国の人権や民主に問題があるのを懸念していると述べた。

 「解決すべき本質的な問題が残っている。それは経済・通商・金融封鎖だ」と指摘した。

 「対米国交再開は、(ベネスエラなど)地域の同盟諸国と関係を忘れることを意味しない」と述べ、一部にあるクーバ・ベネスエラ「分断工作説」を牽制した。

 ラウールは、今年のクーバ経済の成長率は1・4%だったと明らかにし、来年の目標として4%を挙げた。

米国は暴力扇動、とベネズエラ国防相が非難

 ベネスエラのブラディーミル・パドゥリーノ国防相は12月20日、「米国の内政干渉はベネスエラに暴力を再発させる狙いを持つ」と非難した。

 「内政干渉」とは、今年2~5月発生した街頭暴力事件を取り締まった政府高官への査証発給を禁止することなどを規定した米新法を指す。

 国防相は、「米国は非通常戦争を我々に仕掛けている。コロンビア国境地帯に居る準軍部隊は危険だ」と指摘した。また「国軍の士気は高い」とも述べた。

米軍侵攻25周年に際しパナマ政府が調査開始へ

 パナマは12月20日、米軍軍事侵攻25周年記念日を迎え、パナマ市内のエル・チョリージョ地区を中心に追悼行事が催された。米軍に殺害された市民らの遺族は中心街から、パナマ運河に近い同地区まで行進し、式典に臨んだ。黒服姿で歩くことから「黒い行進」と呼ばれる。同地区では米軍の爆撃で多数の市民が殺された。

 フアン=カルロス・バレーラ大統領は同地区に建立されている犠牲者追悼碑に花輪を捧げ、黙祷した。1990年の記念日以来、大統領が追悼行事に参列したのは初めて。

 米国のジョージ・ブッシュ(父)大統領は、「米国の秘密を知りすぎた男」マヌエル・ノリエガ将軍を米国に連行し、米国に都合の悪い機密資料などを破壊するため侵攻した。侵攻作戦には皮肉にも「正当な大義」と、正反対の名前が被せられた。

 これまでの大まかな調査では、侵攻で殺されたパナマ人は5000~8000人とされる。政府は正式に調査したことがなく、犠牲者数は依然不明。

 遺族会のトゥリニダー・アヨラ代表は、バレーラ大統領に、12月20日を「国喪の日」に指定すること、犠牲者・不明者数確定、米国への賠償・謝罪要求、記念館開設などを訴えた。

 大統領は調査委員会を設置し、アヨラ代表の要請のすべてを調査項目に含めると約束した。委員長には、イサベル・デサンマロ副大統領兼外相が就任する。

 ノリエガ将軍は1990年初め米軍によってマイアミに連行され、麻薬取引罪などで禁錮20年に処せされた後、フランスで2年間収監され、帰国後はパナマで暗殺命令罪などで長期刑に服している。 

2014年12月20日土曜日

LATINA誌「乱反射」はメキシコ学生43人強制失踪事件特集

◎最近の伊高浩昭執筆記事など

★共同通信12月18日配信、19日朝刊以降掲載;「識者評論-米玖国交正常化合意」

★毎日新聞19日付朝刊掲載;「米玖国交正常化合意に関する談話」

★TBSラジオ19日2200以降「セッション22」出演;「米玖国交正常化について」


☆月刊誌LATINA2015年1月号(12月20日刊)

「ラ米乱反射」連載第105回;「体制テロリズムが学生43人の<教員の夢>砕く  <死の政治>の頂点・大統領に世論が辞任を要求」(メヒコ情勢)

書評;『葉巻を片手に中南米』渡邊尚人著、山愛書院

☆そんりさ書評;『マエストラ山脈からサンティアゴデクーバへ-戦略的逆襲』フィデル・カストロ、クーバ国家評議会出版局 邦訳・明石書店

ベネズエラ経済は4%縮小か

 格付け会社の間で、ベネスエラ経済が今年4%減少し、来年も停滞する、との見通しが出ている。

 ベネスエラは、原油国際価格が1バレル=60米ドルとすると、年間170億ドルの減収となり、財政がその分苦しくなる。外貨保有高は214億ドルだが、その72%は黄金。

 対外債務は1500億ドルで、来年105億ドルの返済を迫られる。原油安が続けば、ベネスエラが来年、債務不履行に陥る可能性があると指摘する声もある。

オバーマ米大統領の新法署名にベネズエラ政府が反駁

 バラク・オバーマ米大統領は12月18日、米議会が10日可決したベネスエラ高官への査証発給停止、高官らの在米資産凍結を定めた新法に署名した。

 これに対し、ラファエル・ラミーレス外相は19日、ベネスエラはこの件を国際機関に諮ると述べ、ニコラース・マドゥーロ大統領がしかるべき措置をとる、と語った。

 マドゥーロは、米国はベネスエラに圧力をかけることで、変革を目指す地域の新機軸に影響を及ぼそうと企んでいる、とし、「米国は誤った進み方をしている」と批判した。

 大統領はまた、オバーマの新法署名と17日の米玖国交正常化合意は「相関関係にある」と指摘した。一方でクーバと仲直りすべく決断し、もう一方でベネスエラに内政干渉する両面戦略に出ている、と見ているわけだ。

 ベネスエラは2015年元日から2年間、国連安保理非常任理事国を務める。安保理の場で両国の論戦が展開されることになるだろう。

 米国がクーバとベネスエラの分断を図っているとの見方があるが、クーバはベネスエラ原油に深く依存しており、クーバ・ベネスエラ関係が米国に揺さぶられることはありそうもない。
 

キューバ国会が対米国交正常化合意支持を宣言

 クーバ人民権力全国会議(国会)は12月19日、ラウール・カストロ国家評議会議長が17日発表した対米関係正常化合意を支持する宣言を全会一致で可決した。

 同全国会議の幹部機関である国家評議会が最高意思を決定する。同評議会議長が国家元首。

 それぞれ旧ソ連のソビエト最高会議、最高会議幹部会に倣って1976年に発足した。

2014年12月19日金曜日

チレ政界でボリビアとの国交回復論議出る

 チレ政権党連合の中心政党の一つキリスト教民主党(PDC)のイグナシオ・ウォーカー党首は12月18日、エラルド・ムニョス外相に、国交が断絶して久しいボリビアとの外交関係を再開してはどうかと提案した。玖米両国が17日、国交正常化で合意したのを受けた発想だ。

 これに対し外相は、発案としては聞いておくが、外交は大統領の専権事項であるため提案としては受け入れられないと応じた。

 旧ボリビア軍政のウーゴ・バンセル大統領は、太平洋岸領土回復交渉がこじれたため1978年、当時のピノチェー・チレ軍政と
断交した。以来、領事・通商関係しかない。

 現在のモラレス・ボリビア政権は「海への出口奪回」を国策の前面に押し出し、国際司法裁判所に裁定を仰いでいる。

 ボリビアはペルーとともに、チレ相手に戦った1879年の太平洋戦争に敗れ、海岸領土を失った。今日のチレ・アントファガスタ州である。戦争を仕掛けたのは、錫採掘採掘条件をめぐるボリビアとの抗争を経て出兵したチレだった。

2014年12月18日木曜日

米キューバ国交正常化合意めぐりTBSラジオで語る

★お知らせ: 

 伊高浩昭は、クーバ・米国間の国交正常化合意について、12月 19日(金)2240ごろから、TBSラジオ「セッション22」で、荻上チキさんの質問に答える形で小一時間、話すことになっています。

 ご連絡まで。

ボリビアのメルコスール加盟は来年に延期

 南部共同市場(メルコスール)は12月17日、亜国エンテレリオス州都パラナー市で第47回首脳会議を開いた。協賛国ボリビアは当初、今会議で加盟が正式に認められるはずだったが、ブラジル、パラグアイ両国の国会がメルコスール条約の加盟条項修正を承認していないため、加盟は来年前半の次回首脳会議に持ち越された。

 会議は、クーバと米国の国交正常化合意を支持した。ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は「オバーマ米大統領の勇気」を讃えた。

 会議の声明は、米国のヘッジファンドの債権取り立て攻勢に遭っている亜国への支持、マルビーナス諸島領有権問題での亜国支持、米議会によるベネスエラへの「制裁」措置糾弾などを謳っている。

 メルコスール域内貿易は数年来下落傾向にあり、深刻な問題点として指摘された。ベネスエラ、ブラジル、アルゼンチンなど産油国にとり原油国際価格の下落が響いていることも指摘された。

 会議では、将来の「メルコスール市民」の資格確立も話し合われた。

 加盟5カ国の輪番制議長国は、亜国からブラジルに移った。亜国、ブラジル、ウルグアイ、パラグアイ、ベネスエラの5カ国大統領と、ボリビア大統領が出席した。

★★★キューバと米国が国交正常化で同時発表

 クーバのラウール・カストロ国家評議会議長は12月17日、米国と外交関係を復活させることで合意した、と国営テレビ全国放送で発表した。

 ラウールは、クーバ人囚人3人と米国人囚人2人との交換実現に触れ、仲介したバティカン(ローマ法王庁)に謝意を表した。米国人囚人はアラン・グロスと、20年以上収監されていた元諜報機関員。クーバ人3人は16年間収監されていた。

 議長は、16日にバラク・オバーマ米大統領と電話会談したことを明らかにし、「人権、政治、主権などをめぐる両国間の隔たりは依然大きい」と述べた。

 その上で、「諸国は相互の違いを認めつつ文明的に共存すべきだ」とし、「国交正常化は国際法の原則に基づいてなされなければならない」と強調した。

 一方、オバーマ大統領も同時刻にワシントンで、米国人囚人2人と同クーバ人3人が交換釈放されたと発表し、仲介したバティカンと、米玖交渉の場を提供したカナダ政府に感謝した。クーバ側が「政治囚」釈放を約束したことも明らかにした。

 大統領は、「米国は過去半世紀の対玖関係上のくびきを打ち壊し、関係を正常化させる。過去と異なる結果を期待する」と述べ、経済封鎖を柱とする敵対政策が破綻したことを認めた。だが、封鎖を支持する強硬派もいる在米クーバ人亡命社会に対しては、「これまでの貢献に感謝する」と配慮を示した。

 オバーマは、外交関係樹立のためジョン・ケリー国務長官をはじめ高官らをハバナに派遣するとし、近くハバナに大使館を開く方針を明らかにした。

 クーバに関する米市民へのさまざまな規制を見直すこと、米玖間の旅行自由化、対玖貿易拡大を図っていく方針も打ち出した。米国人はクーバでクレジットカードを使えるようになり、クーバ政府は米国で市銀口座を開設できるようになる、とも述べた。

 経済封鎖については法制化されているものが多く、撤廃のため議会と折衝していくと語った。大統領も、ラウールが言ったように、両国の考え方の隔たりが依然大きいことを指摘した。

 オバーマは最後にスペイン語で、「トドス・ソモス・アメリカーノス」(我々は皆、米州人だ)と述べた。

  

キューバが米国人受刑囚を釈放

 クーバは12月17日、スパイ罪で禁錮刑に処していた米国人アラン・グロス(65)を人道的措置により釈放した。グロスは直ちに米政府機で米国に向かった。米政府も、これを確認した。

 ラウール・カストロ議長とバラク・オバーマ大統領は17日、同時刻に両国関係について相互に発表する、と伝えられる。

 クーバでは、1998年9月12日にスパイ罪で逮捕され禁錮刑に処せられた元クーバ諜報機関員5人のうち、既に釈放された2人を除く3人がグロスと引き換えに釈放される、との観測が高まっている。

 グロスは2009年12月4日、米国際開発局(USAID)の契約要員として電子通信機器などをクーバに持ち込み、逮捕された。スパイ罪で禁錮15年の実刑に処せられたが、健康不調により、このところはハバナの軍事病院に収容されていた。

 ラウールとオバーマは昨年12月、ネルソン・マンデーラ元南ア大統領の国葬の場で握手し、短い会話を交わした。来年4月パナマで開かれる第7回米州首脳会議には、ラウールがクーバ元首として初めて出席することが決まっている。

 玖米関係改善は、オバーマの課題だった。

2014年12月17日水曜日

ガルシア=マルケスが来年からコロンビア通貨に登場

 コロンビア国会は12月16日、作家ガブリエル・ガルシア=マルケス(1927~2014)の肖像を通貨ペソの紙幣および硬貨に入れる法案を可決した。大統領の署名をもって発効し、1月施行される。

 GGMはノーベル文学賞作家で、今年4月、永住地のメヒコ市で死去した。

 コロンビアでは、GGMを「過去100年間で最も重要なコロンビア人」とする評価がなされている。

2014年12月16日火曜日

NYT紙が米政府にキューバ経済改革支援を呼び掛け

 ニューヨークタイムズ紙は12月15日論説で、オバーマ米政権に対し、クーバを「テロリズム支援国家」指定から外し、クーバの自営業者ら起業家を支援するよう呼び掛けた。

 同紙は、「従来の強硬政策は、経済改革に慎重なクーバの保守派の立場を強めることになるだけだ」とし、在米クーバ系市民のクーバ起業家への投資参加も求めた。

 また、クーバ通貨ペソの購買力は、ソ連が存続した1991年末までの購買力の28%しかないと指摘した。

 一方、サンティアゴデクーバにあるダメックス造船所は15日、ベネスエラ政府が発注していた多目的貨物船(4隻目)を同国に引き渡した。貨物積載量は740トン、コンテナならば42個積むことができる。

 同造船所は、ベネスエラ発注の巡視艇(2隻目)を建造中。

ベネズエラで「米帝国主義糾弾」の抗議行動

 カラカスで12月15日、「傲慢な米帝国主義による内政干渉」を糾弾する政府支持派数万人の抗議デモ行進と集会があった。公務員や政権党員らが参加した。

 これは米議会がこのほど、ベネスエラ政府高官40~50人への米査証発給禁止などを規定した法を「人権蹂躙」を理由に可決したことに対する反撃行動。この行動は、故ウーゴ・チャベス大統領が制定した現行のボリバリアーナ憲法が国民投票で承認された15周年記念日に合わせて実施された。バラク・オバーマ大統領は、まだ同法に署名していない。

 集会でニコラース・マドゥ-ロ大統領は、「米国に他国を制裁する道徳的資格はない」と論駁した。グアナタナモ米軍基地強制収容所での拷問事件、黒人を殺害した白人警官不起訴など米国の人権蹂躙状況を踏まえている。

 さらに大統領は「リビア、イラク、シリアを爆撃した人道犯罪者を戦犯として国際刑事法廷で裁くため、委員会を設置すべきだ」と前置きし、ディオスダード・カベージョ国会議長に、国会内に委員会を設置するよう要請した。

 マドゥーロは、イラク侵攻を命じたジョージ・ブッシュ元米大統領、ディック・チェイニー元副大統領、ドナルド・ラムズフェルド元国防長官、および、ホセ=マリーア・アスナール元スペイン首相を被告候補に挙げている。アスナールは、スペインがイラク戦争に派兵した時の首相。

2014年12月15日月曜日

米州ボリバリアーナ同盟が結成10周年機に首脳会議

 米州ボリバリアーナ同盟(ALBA)は12月14日、創設10周年記念日に合わせて第13回首脳会議をハバナで開き、創設者のフィデル・カストロ前クーバ国家評議会議長と故ウーゴ・チャベスVEN大統領の功績を讃えた。

 会議は43項目の宣言を採択して終了した。カリブ海のセントキッツネヴィス、グレナダ両国の加盟が認められた。これにより加盟国はクーバ、ベネスエラ、ボリビア、エクアドール、ニカラグアのラ米5カ国と、カリブ英連邦加盟6カ国の計11カ国となった。

 これにより、ラ米・カリブ諸国共同体(CELAC、33カ国加盟)の3分の1がALBA加盟国となり、ALBAブロックの発言権は増す。

 会議にはクーバ議長(ラウール・カストロ)、ベネスエラ、ボリビア、ニカラグアの大統領、エクアドール副大統領、英連邦6カ国首相が出席した。

 宣言は、2015年に非同盟議長国となるベネスエラ祝福、ボリビアで15年開かれる「母なる大地のための世界社会運動」会議支援、ALBAとペトロカリーベ(カリブ石油連帯機構)による経済開発地域(ZED)設立促進を謳っている。

 また、米支配下にあるプエルト・リーコの「ラ米性とカリブ性」確認と植民地状態脱出および独立の希求支持、ベネスエラに内政干渉している米国糾弾、米国によるクーバ経済封鎖糾弾、亜国によるマルビーナス諸島領有権奪回の主張支持なども盛り込まれた。

 ALBAは2010年に域内決済単一制度(スクレ)を発効させたが、これにより貿易5657件(総額25億ドル)が米ドルなど外貨を介在させずに決済された。

 会議では、ベネスエラが提唱している、ALBA、ペトロカリーベ、南部共同市場(メルコスール)による経済圏結成についても話し合われた。国際原油価格は1バレル=60ドルと低迷しているが、これは議題としては取り上げられなかった。

 一方、ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は、同国のテレベン放送ニュース番組にハバナからビデオ参加し、野党勢力に対し新たな対話を呼び掛けた。だが、野党連合MUDに最高指導者がいないことや、MUDに「国益を第一とする意志が欠けていること」を指摘した。

ハイチのローラン・ラモーテ首相が辞任

 アイチ(ハイチ)のローラン・ラモーテ首相は12月14日辞任した。ミシェル・マルテリ大統領と同首相の辞任を要求する野党勢力の圧力が長らく続き国政が麻痺していたことから、首相は辞任を余儀なくだれた。

 マルテリ大統領は事態打開のため諮問委員会を設置していたが、同委は9日、首相辞任、政治囚釈放などを大統領に提示していた。

 首相は辞任に際し、極貧率を31%から24%に引き下げたこと、通学児童を88%に押し上げたこと、2010年の大震災被災者のうち140万人を収容所から自宅に戻したこと、地震で破壊された建物・公共施設・空港などを再建したこと、総延長700kmの道路建設計画に着手したこと、などを施政の成果として列挙した。

 大統領は11日、政治囚を解放している。野党が首相辞任を受けてどう対応するかが焦点となる。

2014年12月14日日曜日

来年の米州首脳会議にラウール・キューバ議長出席へ

 パナマのイサベル・サンマロ外相は12月13日、来年4月パナマで開かれる第7回米州首脳会議にクーバのラウール・カストロ国家評議会議長(国家元首)が出席すると明らかにした。

 この首脳会議は、米州諸国機構(OEA)加盟34カ国の会合だが、1962年に米国の圧力でOEAを追放されたクーバはこれまで参加する機会はなかった。あったとしても、OEAを「米国のラ米支配の道具」と見なしているクーバに出席する意図はなかった。

 ところが昨年12月、ネルソン・マンデーラ南ア元大統領の葬儀の場でバラク・オバーマ米大統領がラウール議長に歩み寄って握手したことや、パナマに進歩的なフアンカルロス・バレーラ大統領が7月1日就任したことで状況は変化し、バレーラ政権は「米州の冷戦を打破するため」クーバ議長に招待状を送っていた。

 一方、クーバ文化省は13日、米国際開発局(USAID)が在米クーバ系音楽家らを使ってクーバ不安定化工作をしようと企図していたことを糾弾した。米AP通信が11日、工作が存在していたことを暴露した。

 それによると、USAIDは興行会社を介在させ2008~12年、フロリダ州タンパ市に住むクーバ系ラッパー、アルド・ロドリゲスが率いる「ロス・アルデアーノス」などと契約したが、これにはクーバ不安定化の意図が隠されていた。

 アルドは、クーバ社会主義政権を厳しく批判してきた。だが、不安定化工作に加担する意志はない。

 USAIDは過去に、クーバにトゥッターのような「スンスネオ」を設置したり、ラ米諸国の青年たちをクーバに送り込んだりして不安定化工作を図ろうとして失敗していた。

 同機関は、コロンビア人歌手フアネス、クーバ人歌手シルビオ・ロドリゲスらにも触手を伸ばしていた、と伝えられる。

2014年12月13日土曜日

メキシコの学生43人拉致事件でFBIが捜査協力

 メヒコ検察庁のヘスース・ムリージョ長官は12月12日、テレビ放送「40チャネル」に対し、学生43人拉致事件の捜査を開始した10月上旬、政府は米連邦捜査局(FBI)に協力を依頼した、と明らかにした。FBI要員は以来、現在までメヒコで捜査に協力している、という。

 長官が捜査結果として以下を明らかにした。

 学生たちは事件当日の9月26日、所属するアヨツィナパ農村教員養成学校から東方10km前後の距離にあるゲレロ州都チルパンシンゴで、10月2日メヒコ市で行なわれるトラテロルコ虐殺46周年記念行事に参加するためのバス料金を募金する目的でバスに乗った。だが北方100kmのイグアラ市に連れて行かれ、当時の同市市長夫婦による政治集会を妨害するのに動員された。

 これによって学生はイグアラ市警と衝突した。学生は投石し、市警は銃撃で応じ、学生3人を含む6人の死者が出た。「学生たちをだましてイグアラ市に連れていった長髪の男」の行方を追っている。

 その後、43人の学生は麻薬組織の殺し屋に引き渡され、殺害された。イグアラ市と隣接するコクーラ市の市警も事件当日イグアラ市警に協力しており、コクーラ市長を取り調べ中。

 長官は、逃亡中の容疑者を逮捕し、その取り調べが済むまで捜査を続ける、と述べた。これまでに80人が逮捕されている。

社会主義キューバで100%外資の企業9社が営業

 ラウール・カストロ政権が市場原理を採り入れているクーバでは、100%外資の法人が9社営業している。貿易・外資省(MINCEX)高官が12月12日グランマ紙上で明らかにした。

 企業名は明らかにしていないが、進出分野はエネルギー(油田開発、発電)、鉱業、工業基盤など、という。

 このほか199社が外資とクーバの合弁企業として存続している。100%外資企業は、今年6月28日発効した新外資法で可能になった。

 外資100%企業と合弁会社を合わせた208社の42%は観光で、ホテル建設・運営、ゴルフ場建設などが中心。エネルギーと鉱業は合わせて13%を占める。

 出資国は西加伊ベネスエラ仏英など。建設、農業、食品加工などへの投資も目立つ。

 高官は、クーバ経済が年率5~7%の成長を達成するには、年間20~25億ドルの外資導入が必要、としている。

 政府は、ハバナ西方45kmのマリエル港地区に建設中のマリエル経済特区が完成すれば外資が増える、と期待している。この特区はシンガポール法人が運営することになっている。

2014年12月12日金曜日

グアテマラのリオス=モント裁判再審開始が成るか否か、関心高まる

 グアテマラでは、軍政期の軍人独裁者エフライン・リオス=モント退役将軍の大量虐殺事件の再審が来年1月5日始まることになっている。だが、司法の最高決定機関である憲法裁判所(CC)の最終判断が依然なく、予定通り再審が始まるかどうかわからない。

 CCは13年5月20日、法廷で直前に下された禁錮80年の実刑判決を無効とし、再審を命じた。だが、その再審が今、始まるかどうか危ぶまれているわけだ。

 リオス=モント軍政期に佐官だったオットーペレス=モリーナ現大統領らは、部隊指揮官として人道犯罪に深く関与した疑いがもたれている。

 再審となれば、新たな証言が出てくるのは必至だ。現大統領らに都合の悪いことも少なくないはずであり、この辺りに再審開始が不確かな理由があると見る向きも少なくない。

ニカラグアとベネズエラが衛星2個共同打ち上げで協定

 ニカラグアとベネスエラは12月11日マナグアで、地上監視衛星2個を共同で打ち上げる協定を結んだ。

 衛星は「ミランダ」と「シモン・ボリーバル」と名付けられている。地表、気象を監視し、また地震予知に役立てるという。

米議会がベネスエラ当局者「制裁」を決めるも、同国は一蹴

 米国議会(上院12月8日、下院10日)は、「人権蹂躙に関与したベネスエラ政府当局者たち」への査証発給を禁止し、その在米資産を凍結するという「制裁」法案を可決した。バラク・オバーマ大統領が署名すれば発効する。

 ベネスエラは、「制裁」を受けるいわれはないとの立場だ。ニコラース・マドゥーロ大統領は11日、
「米国は圧力をかける術がない。どんな圧力をかけてきても、殺人犯を獄中から解放することはない」と一蹴した。

 またベネスエラが盟主を務める「米州ボリバリアーナ同盟」(ALBA)は11日、「米議会決定は内政干渉だ」と、米国を糾弾する声明を発表した。

 米国が「人権蹂躙」と形容しているのは、ことし2~5月、野党、右翼勢力、学生らが、米国やコロンビアの右翼勢力、内外メディアの支援を得て、ベネスエラ国内の野党市長のいる都市を中心に反政府街頭暴力事件を展開した際、当局が厳しく取り締まったことを指している。

 ベネスエラ政府は、「治安維持上、当然のことをしたまで」という立場だ。

 マドゥーロ大統領が言う「殺人犯」とは、死傷者多数が出た街頭暴力事件を、その初期の段階で教唆したとして起訴され裁判にかけられている、野党「武闘派」指導者格のレオポルド・ロペス被告らを指す。 

フィデル・カストロ前議長が「孔子平和賞」を受賞

 クーバのフィデル・カストロ前国家評議会議長(88)が第5回孔子平和賞を12月9日受賞したことが、11日明らかにされた。

 この賞は、ノーベル平和賞に対抗する賞として中国で2010年に創設され、賞状、賞金、孔子像が贈られる。

 フィデルは、米国から敵対行為を受けながら「平和裏に対応した」ことなどが評価された。

 これまでにプーチン露大統領、アナン元国連事務総長らが受賞している。

 フィデルは、朴韓国大統領、パン国連事務総長を含む20人の候補の中から選ばれた。

 フィデルはクーバ革命の最高指導者で、革命軍最高司令官、共産党第1書記、国家評議会議長(元首)、閣僚評議会議長(首相)の実務を2006年7月、病気で倒れるまで担った。

 現在は実弟ラウール・カストロが議長を務め、フィデルは「革命の指導者」の敬称を持つ。

ブラジル真実委員会が「恩赦法」廃止を政府に要請

 ブラジルの国家真実委員会(CNV)は12月10日、軍政時代の人道犯罪に関する報告書をヂウマ・ルセフ大統領に提出した際、人道犯罪追及の障害となっている恩赦法を無効とするよう大統領に要請した。

 CNVは併せて、首都ブラジリアに「記憶博物館」を建設すること、行方不明者の遺骨を探し続けること、軍部の内部文書の公開を要請した。

2014年12月11日木曜日

グリーンピースがナスカ地上絵地域に侵入し大問題に

 環境活動団体グリーンピースの若者すくなくとも12人が12月8日、ペルー・ナスカの地上絵のある地域に侵入し、「変化すべき時」など文字を象った布のような物を並べた。

 折からリマで開かれているCOP20会議の参加者やマスメディアに注目させるためだったようだ。

 場所は、地上絵の中でも最需要の「ハチドリ」のすぐ近く。現地で被害状況を調査した文化省は驚愕し9日、検察庁に告発した。

 検察庁は、「修復不能な害」が及んでいると表明した。ペルー政府はグリーンピース側の謝罪を拒否し、法的措置を取る構えだ。活動家のうちの外国人は出国を禁止されるもよう。

 ナスカ地上絵は、世界遺産に指定されている。

国際アムネスティがメヒコ検察に43人事件への政府関与捜査を要請

 アムネスティ・インターナショナル(AI)は12月10日、メヒコ検察庁に12万人の署名を渡し、学生43人拉致事件をはじめ、2万2000人の強制失踪者の捜査を徹底的に行なうよう要請した。

 AIは特に、43人事件への政府の関与について捜査すべきだと述べた。

 署名はメヒコ、ウルグアイ、チレ、カナダ、米国、スペイン、イタリア、ベルギーで集められた。

 一方、10日オスロで催されたノーベル平和賞授賞式の場に、メヒコ人の若者が駆け込んで、「メヒコを忘れないで」と、受賞者のマララさんに話しかけた。

 若者は、一部に血の付いた大きなメヒコ国旗を持っていた。

 メヒコ国立自治大学(UNAM)の学生アダーン・コルテス=サラス君(19)と判明した。

在米キューバ代表部が領事業務継続と発表

 ワシントンのクーバ利益代表部は12月10日、来年3月末まで、領事部業務を継続すると明らかにした。

 米国による金融封鎖で、領事部の口座を新たに受け入れる米市銀がなく、それまでの取引銀行は今年2月14日、取引を停止した。

 同利益代表部は、取引銀行は依然決まっていないが、領事業務は3月まで続けると述べた。

 利益代表部は、国交のない国同士が大使館の代わりに設置するもので、ハバナには米利益代表部がある。

ブラジル真実委員会が軍政期の人道犯罪で報告書提出

 ブラジルの国家真実委員会(CNV)は12月10日、軍政時代の人道犯罪に関する最終報告書を政府に提出した。

 報告書は4328ページ。1964~85年の軍政期には434人が殺害、強制失踪の被害者となった。うち210人は不明のまま、190人は殺害され、33人は他殺体として発見された。

 拷問、殺害など犯罪の直接の責任者は軍、警察、民間人ら計377人。カステロ=ブランコ、コスタ=イ=シルヴァ、ガラスタズ=メヂチ、ガイゼル、フィゲイレドの5人の将軍大統領も含まれている。

 軍政期の1979年に恩赦法が成立し、責任者は処罰されない。それゆえに犯罪加担者もCNVで証言した。

 弁護士会は2010年、恩赦法は違憲として訴えた。だが最高裁は合憲と判断した。

 犯罪責任者、被害者の特定は、公式文書、当事者証言に基づいて行なわれ、伝聞や状況証拠は排除された。責任者と被害者の実名が報告書に盛り込まれている。

 ヂウマ・ルセフ現大統領は2012年5月CNVを設置した。大統領は若い日にゲリラ組織に参加し捕えられて拷問された被害者。

 ルセフは報告書について10日演説したが、「被害者」という言葉を使った際、感極まって声が詰まった。聴衆全員が起立して拍手し、大統領を励ました。

アルゼンチンもキューバ人医師団受け入れへ

 アルヘンティーナのエル・チャコ、ラ・パンパ両州は、クーバ人医師団を長期間、診療のため雇うことを決めた。それぞれの州都を離れた内陸部で医師が不足しているため。

 クーバ政府は、医師団派遣の見返りとして、小麦、牛肉、香辛料、原材料などの現物を受け取る。また医師の月給は3400ユーロになるもよう。

 これに対し両州の医師会から異議が出ている。両州では医師の月給が多くて1900ユーロ程度だからだ。

 医師会は、州内の僻地に医師が行きたがらないとの批判に対し、診療環境が劣悪のためであり、環境が改善されれば行く、と釈明している。

 クーバ人医師団はベネスエラ、ブラジルなどラ米諸国で勤務している。

2014年12月10日水曜日

イベロアメリカ首脳会議とカリコム・キューバ首脳会議終わる

 ベラクルスでの第24回イベロアメリカ首脳会議は12月9日、「変化過程にある世界における教育・刷新・文化」と題した文書を採択して閉会した。

 一方ハバナで8日開かれた第5回カリコム(カリブ共同体)・クーバ首脳会議は、経済・通商関係強化、保健・教育・気候変動問題での協力、域内統合努力強化を謳った文書を採択して終了した。

イベロアメリカ首脳会議開催、6カ国首脳欠席

 メヒコのベラクルスで12月8日、第24回イベロアメリカ首脳会議が開会した。日程は9日までの2日間。

 ラ米20ヵ国中、ハイチを除く19カ国と、イベリア半島のスペイン、ポルトガル、アンドーラの3国、合わせて22カ国が加盟している。

 だがブラジル、アルヘンティーナ、ベネスエラ、ボリビア、ニカラグア、クーバの6カ国首脳は欠席した。メヒコ社会を揺さぶっている学生43人拉致事件が首脳会議に影を落とし、左翼、中道左翼の首脳を遠ざけたのは疑いない。

 またエル・サルバドールのサルバドール・サンチェス大統領は出席したが、体調不良のため帰国した。

2014年12月8日月曜日

メキシコ検察庁が学生一人の遺骨の身元判明と発表

 メヒコ検察庁のヘスース・ムリージョ長官は12月7日、43学生拉致事件の被害者の一人の遺骨が特定された、と発表した。

 アレクサンデル・モラ君(19)。オーストリアのインスブルック大学法医学研究所が12月4日、DNA鑑定の結果、判断した。

 父親のエセキエル・モラさんは、「大統領が正義を施さなければ、反市民行動に同意していると見なす。我々農民は抗議できない。すれば拷問され殺される。政府は市民を守らない。腐敗した犯罪政府だ」と、大統領と政府を厳しく批判した。

 エンリケ・ペニャ=ニエト大統領に対しては、辞任を要求する声が市民の間で高まっている。

 一方、メヒコ湾岸のベラクルスで8、9両日、第24回イベロアメリカ首脳会議が開かれる。ハイチを除くラ米19カ国と、スぺイン、ポルトガル、アンドーラの計22か国が加盟しているが、首脳陣がどれだけ来訪するかに関心が集まっている。

 数が少なければ、学生事件の影響と見なされる。

グアンタナモ米基地収容所から解放された6人がウルグアイ到着

 クーバ島東部のグアンタナモ米海軍基地に収容されていたアラブ人6人が12月7日、モンテビデオに到着した。6人は直ちに病院で健康診断を受けた。

 6人は、シリア人4人、チュニジア人とパレスティーナ人各一人。

 ウルグアイのホセ・ムヒーカ大統領は、「6人は政治亡命者として迎え入れた。国内を自由に移動できる。ウルグアイ定住を強制しない」と語っている。

 グアンタナモ基地は、米国が1898年以後、事実上の占領地として使用してきた。クーバは返還を要求している。この基地の問題の本質は、収容所閉鎖の是非ではなく、クーバへの返還が成るか否かだ。

2014年12月7日日曜日

政治は職業でなく献身だ-ムヒーカ・ウルグアイ大統領語る

 ウルグアイのホセ・ムヒーカ大統領は12月6日、メヒコ中西部のハリスコ州都グアダラハーラにあるグアダラハーラ大学で講演した。「政治は職業でなく献身だ。金(かね)のために政治をしてはならない」と強調し、喝采を浴びた。

 大統領は、「私はウルグアイ人民が生きるために必要としているもの以上は必要としない」と述べた。

 さらに、「富裕層がより多く支払う税制改革、公務員給与の引き下げ、労働者への尊厳ある労働提供が必要だ」と語った。

 講演後の記者会見で、先に学生43人拉致事件の解決が遅れているメヒコ政府について「失敗国家ではないか」と語ったことについて訊かれると、「思っていたことを言ったまでだ。これはラ米全体の問題でもある」と答えた。

 ムヒーカは7日には、グアダラハーラ書籍見本市で対談する。8、9両日はベラクルスでのイベロアメリカ首脳会議に出席する。

メキシコ不明43学生の一人の身元が判明

 メヒコ政府当局者は12月6日、拉致され行方不明になっている学生43人のうちの一人の遺体の身元が確認された、と明らかにした。検察庁は7日記者会見し、正式に発表する。

 政府は、オーストリアのインスブルック大学法医学研究所に遺骨のDNA鑑定を委託していた。同研究所は5日、メヒコ政府および、メヒコに派遣されているアルへンティーナ法医学調査団に報告した。亜国調査団は同日夜、遺骨の身元が判明した学生アレクサンデル・モラ(19)の遺族に事実を伝えた。

 拉致事件は9月26日、ゲレロ州イグアラ市で発生した。同市で募金活動をし約100km南方のアヨツィナパ農村教師養成学校にバスで帰ろうとしていた学生約80人をイグアラ市警と近隣のコクーラ市警の警官隊が襲撃、3人を殺害、二十数人に重軽傷を負わせた。43人を拘禁し、身柄を地元の麻薬マフィアに引き渡した。

 マフィアはコクーラのゴミ捨て場で43人を殺害し、遺体を燃やしてから袋詰めにし、近くの川やごみの中に投棄していた。

 学生一人の身元が判明したことで、事態は重大局面に入った。「全員生還」とエンリケ・ペニャ=ニエト(EPN)大統領辞任を求める抗議行動が全国各地で続いているが、5~6日、首都メヒコ市では4000人の農民が騎馬やトラクター43台を連ねて抗議行進した。

 これはメヒコ革命(1910~17)で活躍したエミリアーノ・サパタ、パンチョ・ビーヤらの農民軍に倣っている。「貧農派革命」の潮流は今も、農村部に流れている。事件犠牲者が農村教員を志す学生だったため、連帯している。

 一方、ベラクルスでは8~9両日、第24回イベロアメリカ首脳会議(23カ国加盟)が開かれる。メヒコ政府は、学生事件が会議に影響することはない、と6日表明した。

2014年12月6日土曜日

キト郊外に南米諸国連合の本部開く

 南米諸国連合(ウナスール)首脳陣は12月5日、キト郊外の赤道碑のある「世界の中央」(ミタ・デル・ムンド)で、新設されたウナスール本部建物の開場式に臨んだ。

 本部には、ウナスール結成に貢献し初代事務局長を務めた故ネストル・キルチネル亜国大統領の名前が付けられている。夫人のクリスティーナ・フェルナンデス現大統領が、本部前に建てられたキルチネルの銅像の除幕式を行なった。

 4日グアヤキルで始まった今首脳会議は、「いつの日か域内を自由通行できる南米市民を創る」ことなどを盛り込んだ最終宣言を採択して終了した。

 ウナスールは08年の結成から6年を経た今年、非合憲政権の加盟資格を停止させる「民主条項」が発効した。本部ができ、「南米市民」構想を打ち出したことで、新しい一歩を踏み出した。

 会議にはメヒコのホセアントニオ・メアデ外相が招待出席し、今月8~9日ベラクルスで開かれるイベロアメリカ首脳会議へのウナスール首脳陣の出席をあらためて要請した。

 一方、米国務省は5日、来年4月パナマで開かれる第7回米州首脳会議にクーバが出席することについて、「それによっても会議の信頼性は変わらない」と表明した。同省は、バラク・オバーマ大統領が同会議に出席するか否かは明らかにしていない。

2014年12月5日金曜日

フォークランド戦争期にキューバが亜国に潜水艦派遣を提案か

 亜英マルビーナス(フォークランド)戦争(1982・4・2・~6・14)の開戦後間もない82年4月10日、亜国駐在クーバ大使は、亜国軍政のレオポルド・ガルティエリ大統領に会い、英艦撃沈のため潜水艦一隻を戦域に派遣する用意があるとの、フィデル・カストロ玖議長(当時)の意思を伝えた。

 ガルティエリは、謝意を表しながらも玖潜水艦の参戦を受け入れれば国際的な大問題となることを認識しており、断った。

 これは、メネム亜国政権(1989~99)期の諜報機関SIの長官だったフアン=バウティスタ・ショフレ氏が12月2日公表した。

エクアドールで南米諸国連合首脳会議開く

 南米諸国連合(ウナスール)は12月4日、エクアドールのグアヤキルで臨時首脳会議を開いた。会議議長のラファエル・コレア大統領は開会演説で、「これまで連合はあまり機能してこなかったが、それは統合を望まない域内外の勢力の意思を代表する拒否権があるからだ」と指摘し、全会一致による決議方法を改め、多数決とするよう提案した。

 コレアはまた、ネストル・キルチネル元亜国大統領とウーゴ・チャベス前ベネスエラ大統領の死は打撃だっと述べ、「加盟国はイデオロギーの違いを超えて統合に向かうべきだ」と強調した。

 事務局長のエルネスト・サンペル元コロンビア大統領は、「南米市民」の概念を確立することで合意がなされた、と発表した。

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は、「南米の意識を軍人に植え付けるため軍人を南米で教育する制度を創設すべきだ」と提案した。従来、米国で教育される場合がほとんどで、米国の意思によりクーデターを演じる軍幹部が多かった。

 首脳会議は5日首都キトに場所を移し、北15km郊外の赤道記念碑のある「世界の中央」に建てられたウナスール本部の開場式に臨む。本部は総工費4350万ドルで建てられた。

 ウナスールの輪番制議長国はスリナムからウルグアイに移った。議長になったホセ・ムヒーカ大統領は来年3月1日、タバレー・バスケス(次期大統領)と交代する。

2014年12月3日水曜日

ハバナで12月8日、第5回カリコム・キューバ首脳会議開催へ

 クーバ外務省は12月2日、ハバナで8日、第5回カリコム・クーバ首脳会議を開くと発表した。

 カリコム(カリブ共同体)諸国の多くは、革命後のクーバが実現した平等主義的発展や社会福祉に学んできた。

ピノチェー独裁時代は遠く、陸軍勲章名が変更さる

 チリ国防省は12月1日、陸軍が授与する最高勲章の名称を、従来の「アウグスト・ピノチェー大将・陸軍最高司令官章」から、「陸軍最高司令官章」に名称を変更した。

 独裁者だったピノチェーは、自ら「カピタン・ヘネラル(大将)」位を新設し、そこに<昇進>した。勲章に自分の名を刻み込んでいた。

 ピノチェー2006年12月に死去。8年経ったいま、ようやく、お手盛り昇進独裁者の名が勲章から排除されたわけだ。

2014年12月2日火曜日

メキシコ各地で大統領辞任要求デモ

 メヒコ大統領エンリケ・ペニャ=ニエト就任2周年の12月1日、全国60都市で大統領辞任を求める抗議デモが行なわれた。9月26日発生した師範学校生43人の強制失踪事件の真相をいまだに解明する気のない大統領は施政3年目に入る日に、無能の烙印をあらためて押され、窮地に陥っている。

 EPN大統領支持率は39%に落ちた。失踪事件が発生したゲレロ州イグアラ市を3日訪ねる予定だったが、急遽中止した。

 首都メヒコ市での抗議行動は、大統領政庁のある憲法広場(ソカロ)からレフォルマ大通りの独立記念碑まで5000人が行進した。抗議行動の終わるころ、覆面をした約50人が銀行の現金引き出し所、商店などを破壊し、略奪した。覆面組には、平和デモを貶めるため、当局の回し者が入っている場合が多い。

 43人事件は、メヒコの政界、財界、麻薬組織が一体化した「国家の犯罪」と受け止められており、国際社会の関心も集めている。政府は地方警察や麻薬組織による「よくある」拉致・殺害事件として片付けようとしたが、学生の家族が立ち上がり、支援が内外に拡がって、政府は動きが取れなくなっている。

 真相に迫れば、政権基盤がぐらつくとの見方もある。EPNはメヒコ州知事時代や、大統領候補としての選挙運動期間中に腐敗、不正、暴力がつきまとっていた。最近は、7億円とされる豪邸を、高速鉄道建設工事を落札した企業集団関係者から建ててもらうという癒着が暴露された。

2014年12月1日月曜日

ウルグアイ次期大統領はタバレー・バスケス

 ウルグアイで11月30日実施された大統領選挙決選で、政権党・拡大戦線(FA)のタバレー・バスケス候補(前大統領)が当確となった。相手の国民党候補ルイス・ラカージェ候補も敗北を認めた。
 
 これでバスケス-ホセ・ムヒーカ現大統領ーバスケスと、2代・連続3期のFA政権(計15年)が続くことになった。

2014年11月29日土曜日

ジュリアン・アサンジ氏がラ米に独自のインターネット網を持つべきと勧める

 ウィキリークス創設者ジュリア・アサンジは11月28日、ラ米諸国は通信の主権を守るためには、独自のインターネット網を持つべきだ、と述べた。

 同氏は亡命しているロンドンのエクアドール大使館から、キトにあるラ米通信研究所主催のビデオ会議に参加し、発言した。

2014年11月28日金曜日

メキシコ・ゲレロ州で首無しの11遺体発見さる

 メヒコ南部のゲレロ州内で11月27日、首のない11人の遺体が道路脇に放置されているのが発見された。年齢は20~25歳。一部の遺体は焼かれた跡があった。地元紙は写真付きで報じ、社会に衝撃を与えている。

 発見現場は、9月末、師範学校生43人が拉致された地域。殺害に関与したと見られる麻薬マフィアが、敵対する麻薬マフィアに当てたメッセージが残されていた。

 43人はイグアラ市警が拉致し、「ゲレーロス・ウニードス」というマフィアに引き渡した。同マフィアの殺し屋十数人が43人を殺害した可能性が濃厚だ。

 43人の一部の遺体は先ごろ発見されており、現在オーストリアの法医学所でDNA鑑定作業が行なわれている。

 一方、エンリケ・ペニャ=ニエト大統領は、11人の遺体発見直後の27日、腐敗の著しい全国の市警を廃止し、32州ごとに州警察として一本化する改憲案を12月1日、国会に提出すると発表した。

 大統領は事件への対応が遅く、43人の家族や多くの支援者から大統領辞任を求める声が出ている。窮地に陥ったため、唐突ながら改革政策を打ち出さざるを得なくなったのだが、有効性には疑問が出てくるだろう。

 大統領はまた、犯罪への関与が明白になった市政の権限を中央政府が代行するか、市政を交代させるかする法案も提出する。

 さらに全国規模の行方不明者捜索機関とDNA鑑定所を新設する法案も出す。この司法改革政策を打ち出す直前に11人の遺体が見つかったことで、大統領は一層厳しい立場に追い込まれた。

NYT論説委員がグランマ紙本社を訪問

 NYT紙論説委員エルネスト・ロンドーニョ(コロンビア人)が11月27日、ハバナのクーバ共産党機関紙グランマの本社を訪問した。2時間に亘って、ペラヨ・テリ-編集局長と会談し、社内を視察した。

 NYTには19人の論説委員がいて、週3回会合し、取り上げる主題を決める。同紙は9月から、米政府に対しクーバとの関係正常化を訴える論陣を張ってきた。

 グランマによると、同論説委員は今後も同じ論陣を張ると述べたという。 

2014年11月27日木曜日

メキシコ・ゲレロ州でもう一件、学生大量拉致事件発生か

 メヒコ内務省は11月26日、政府はゲレロ州で7月17日発生した可能性のある中等学校生31人の拉致事件を捜査中、と発表した。

 同州コクーラ市で31人は学期末の日の白昼、警察車に乗せられて連れ去られたまま行方不明なっている、という。

 拉致した一味は目出し帽姿。親たちは、事件を公にすれば子供たちの命はないと脅されてきたため、事件発生を届けるのが遅れたとされる。

 11月26日は、ゲレロ州イグアラ市で師範学校生43人が拉致され行方不明になってから2か月経つ日。31人の親たちは脅迫をついにはねつけて政府に捜索を訴えた。

2014年11月26日水曜日

伊高浩昭講演会「南米政治の潮流」終わる

 「南米政治の潮流」と題した伊高浩昭講演会が11月25日夜、山手線目黒駅に近い文化サロン「カフェ・イ・リブロス」で開かれた。

 2023年のモンロー教義宣言200周年と、ラ米独立200年期が鬩ぎ合う米州の状況を巡り、75分間の講演と、休憩を挟んでの45分間の質疑応答があった。

 サロンを埋めた聴衆はラ米に関心の深い人々がほとんどで、活発な質疑応答と意見交換があった。

ニカラグア運河建設は12月22日開始へ

 ニカラグア両洋運河の建設工事は12月22日着手する、と施工者HKNDが11月23日明らかにした。この日、太平洋岸のブリート河口の港に建設用の重機械などが中国から搬入される。

 国内では、運河建設路線周辺の住民の間で、環境破壊を懸念し建設に反対する声が出ている。
しかしHKNDの環境影響調査の結果発表は、来年3月になる見込み。

南米横断鉄道のボリビア通過は来年8月までに決定

 ボリビア公共事業省は11月25日、南米横断両洋鉄道のボリビア国内通過路線および建設の是非は来年8月31日までに決まる、と発表した。

 この両用鉄道は、ブラジルのサントス港からペルーのイロ港を結ぶ構想で、中国が資金・技術援助をする。路線は、ブラジルとペルーのアマゾニーア(アマゾン川流域地方)を通過するものと、間にボリビアを挟むものがある。

 内陸国ボリビアにとって国内通過は、「両洋への鉄道による出口」を確保する重要な意味を持つ。

 ボリビアはまた、太平洋岸領土をボリビアから奪ったチレ領内を両洋鉄道が通過する「第三の選択肢」の設定には強く反対している。

メキシコ野党、民主革命党のクアウテモク・カルデナスが離党

 メヒコ野党「民主革命党」(PRD)の創設者クアウテモク・カルデナス元党首(80)が11月25日、離党した。

 ゲレロ州イグアラ市で9月26日発生した師範学校生43人の拉致・行方不明事件に、PRD党員の市長が関与していたことから、カルデナスはカルロス・ナバレテ現党首ら執行部に辞任を求めていた。だが執行部が辞任しなため、自ら党を去った。

 カルデナスは、メヒコ革命中興者ラサロ・カルデナス元大統領の息子。上院議員、ミチョアカン州知事、首都メヒコ連邦区長(メヒコ市長)を歴任した。

 大統領選挙に3回出馬した。最初の1988年の選挙では事実上勝利したが、開票操作で勝利を奪われた。

 カルデナスはPRDの長老で、「精神的指導者」だった。PRDは派閥抗争を抱えており、カルデナスが去ったことで、内部対立は一層深まるもようだ。

ウルグアイ決選は政権党候補T・バスケス優勢

 ウルグアイ大統領選挙決選は11月30日実施される。25日明らかにされた支持率調査では、
ムヒーカ現政権の政権党「拡大戦線」(FA)のタバレー・バスケス候補(前大統領)が52%で、国民党(PN)のルイス・ラカージェ候補の37%を大きく引き離している。

 残る11%は、「未定」ないし「無回答」。

2014年11月25日火曜日

ベネズエラのラテンジャズを東京で満喫

 素晴らしいラテンジャズだった。先ごろ(11月14日)、東京・青山のショーレストラン「ブルーノート」で、ベネスエラの「トゥリオ・アルデマーロ・ロメーロ」の演奏会があった。

 故アルデマーロ・ロメーロ(1928~2007)は、ベネスエラの民俗音楽とジャズを融合させ、「新しい音調」を創った。ブラジルのボサノヴァへの対抗意識があった。

 トゥリオは、グスタボ・カルシー(ギター)、ペドロ・ロペス(ピアノ)、ミゲル・デビセンソ(ドラム)。特にカルシーの電響ギターとロペスのピアノが良かった。

 歌手カルメーラ・ラミーレスは悪くなかったが、声量がいま一つだった。日本人女性2人のアルパ演奏と歌もあった。

 初来日で、豊橋、大阪、駒ケ根で演奏し、青山に来た。「ベネスエラ文化週間」の行事として催された。

スペイン外相がキューバを公式訪問

 スペインのホセ=マヌエル・ガルシアマルガージョ外相は11月24日クーバを公式訪問し、リカルド・カブリーサス副首相と会談した。

 スペインの国民党(PP)政権は従来、社会主義クーバに厳しい姿勢をとっていたが、欧州連合諸国が相次いでクーバとの関係強化に動いているため、ラホーイ政権はバスに乗り遅れるなと外相を送り込んだ。

 ガルシアマルガージョは、ブルーノ・ロドリゲス外相、ロドリーゴ・マルミエルカ貿易・外資相、ハイメ・オルテガ枢機卿(ハバナ大司教)とも会談する。

 

セルバンテス賞にフアン・ゴイティソロ決まる

 スペイン人作家フアン・ゴイティソロ(83)が今年度のセルバンテス賞に11月24日決まった。授賞式は来年3月、マドリーで。賞金は12万5000ユーロ(15万5000米ドル)。

 ゴイティソロはフランコ独裁を嫌って長らくパリに住んだが、1966年以降、モロッコのマラケシュを拠点にしている。西仏アラビア語をこなす。

 作品には『祭の終わり』、『フリアン伯爵の名誉回復』、『手の遊び』、『イデンティダーの徴』など。

 内戦時のサライェヴォの状況を書いたルポルタージュ『サライェヴォノート』などのジャーナリズム作品も多い。
 

ガルシア=マルケスの資料はテキサス大学が購入

 米テキサス大学が故ガブリエル・ガルシア=マルケス(GGM)の資料を買い取ったことが11月24日明らかにされた。GGMは4月にメヒコ市で死去。以来、資料の行き先が関心を集めていた。

 資料には、取材メモ、写真、書簡、タイプ打ち原稿などが含まれている。代表作の一つ『孤独の百年』(邦題「百年の孤独」)の原稿もある。

 テキサス大学のハリー・ランサム研究所には、ホルヘ=ルイス・ボルヘス、ジェイムス・ジョイス、アーネスト・ヘミングウェイ、ウィリアム・フォークナーらの資料の取集がある。ここに加えられる。

 書簡は約2000点ある。グレアム・グリーン、ギュンター・グラス、フリオ・コルタサル、カルロス・フエンテスからの手紙も含まれている。

 コロンビアでは、コロンビア人のGGMの貴重な資料を買わなかったとして政府批判が起きている。これについて政府は24日、GGMの遺族が売り渡し先を決めたのであって、政府に責任はない、と釈明した。

ラ米2大経済機構が統合テーマに初の対話

 チレ首都サンティアゴのガブリエーラ・ミストゥラル文化セントロで11月24日、「AP-メルコスール:地域統合についての対話」と題したセミナリオ(セミナー)が開かれた。チレ政府が主催、サンティアゴにある国連ラ米・カリブ委員会(CEPAL)が協賛した。

 太平洋同盟(AP。チレ、ペルー、コロンビア、メヒコ加盟)と南部共同市場(メルコスール。ブラジル、アルヘンティーナ、ウルグアイ、パラグアイ、ベネスエラ加盟)は合わせて、ラ米域内貿易の80%、国内総生産の80%、外資導入額の80%を占める。

 セミナリオには両機構加盟国の外相、通商担当相、企業家、労組代表らが出席した。LAC(中米・カリブ)代表としてグアテマラも参加した。

 ミチェル・バチェレー智大統領は開会演説で、「多様性を持つからこそ世界に対して堅固さを示すことができる」と述べた。APは市場原理至上主義の新自由主義、メルコス-ルは社会政策重視のポスト新自由主義(改良型新自由主義)で、これまで対話がなかった。バチェレーは両機構の間に橋を懸けようとしている。

 エラルド・ムニョス智外相は閉会演説で、「少なくとも本日、接近不能との神話を取り除いた。統合は選択肢でなく必要性だ。来年1月CELAC(ラ米・カリブ諸国共同体)と中国の首脳会合がある。その時、LACは一体化して臨めるかどうかが重要だ」と指摘した。

 両機構のほかに、ベネスエラ、社会主義クーバなど9カ国が加盟する左翼諸国の相互援助機構「米州ボリバリアーナ同盟」(ALBA)がある。

2014年11月22日土曜日

ペルー最高裁がフジモリ受刑囚の自宅軟禁要請を拒否

 ペルー最高裁特別刑事法廷は11月20日、自宅軟禁への変更を求める受刑囚アルベルト・フジモリ元大統領の要請を却下した。

 フジモリは、大統領時代に軍と警察が実行した2件の計画的集団殺人事件の最高責任者として禁錮25年の刑に服役中。
 

カリブ石油連帯機構は従来通り運営へ

 カリブ石油連帯機構(ペトロカリーベ)の第14回石油相会議が11月20日カラカスで開かれ、ベネスエラのラファエル・ラミーレス外相(前石油相)は、同国政府は従来通り機構との公約を守る、と言明した。

 国際原油価格低下、マドゥーロ政権のガソリン値上げ方針などから、機構の運営に変調を来すのではないかとの懸念が加盟国に広がりつつあった。ラミーレスは、これを払拭した。

 機構にはベネズエラと、中米・カリブ地域の18カ国が加盟している。最新の加盟国は、サンチェス左翼政権が今年発足したエル・サルバドールである。

 機構は、加盟国ともに432事業を実施し、14合弁製油所を建設してきた。

第1回GGM物語賞にアルゼンチン人の『むかつく幸福』

 第1回ガブリエル・ガルシア=マルケス物語イスパノアメリカ賞に、アルヘンティーナのギジェルモ・マルティネスが決まり、11月21日ボゴタで授賞式が催された。

 受賞作は『ウナ・フェリシダー・レプルシーバ』(むかつく幸福)。マルティネスは、フアン・サントス大統領とマリアーナ・ガルセス文化相から表彰状と賞金10万ドルを手渡された。

 この賞は、コロンビアの文化省と国立図書館の主催で、スペインのセルバンテス研究所が協賛している。今回は2013年刊行のスペイン語文学123点が審査対象だった。

メキシコで若者らが抗議デモで大統領辞任を要求

 メキシコ市中心部の憲法広場(ソカロ)に11月20日、大学生ら若者を中心に3万人が集結し、大統領政庁に向かって、「43人を生きて返せ」と訴え、併せて大統領辞任を要求した。

 43人とは、9月23日に警官に拉致され、麻薬マフィアの殺し屋に殺害されたとされるゲレロ州内の師範学校生。抗議行動には43人の親や家族も参加した。

 エンリケ・ペニャ=ニエト大統領は、43人事件を依然解決できないことや、企業の協力で豪邸を建てた事実が暴露されたことから支持率が急速に落ちている。

 この日、ゲレロ州、北部のチウアウア州など7州でも抗議行動があった。

チリ大統領の父空将拷問死の責任者に禁錮刑

 チレ法廷は11月21日、ミチェル・バチェレー大統領の父、故アルベルト・バチェレー空将を拷問死させた空軍退役大佐二人に禁錮3年と2年の実刑を言い渡した。

 バチェレー空将はアジェンデ社会政権の物資補給の責任者だった。73年9月11日軍事クーデターで同政権が倒された後、ピノチェー軍政から反逆罪で投獄された。空将がクーデターに同調しなかったためだ。

 空将は獄中で拷問され、74年3月12日、死去した。

 拷問の最高責任者は軍事政権中枢だったことから、両元大佐の刑は軽くなった。

2014年11月20日木曜日

伊高浩昭講演会「南米政治の潮流」のお知らせ

◎伊高浩昭講演会

主題 南米政治の潮流
日時 11月25日(火)1900~2100
場所 「カフェ・イ・リブロス」:品川区上大崎2-20-4
会費 2000円
申し込み 電話03-6228-0234 

パラグアイで12月に第一回「言語展」開催へ

 アスンシオンで第一回「パラグアイ言語展」が12月3~5日、催される。この国の二大言語は公用語のグアラニー語とスペイン語だが、他にも少数先住民らの言語がある。

 それらを図表や文字で示し、専門家がシンポジウムで話し合う。言語の多様性、それと関連する文化の多様性、少数者言語の尊重などがテーマとなる。

ティアナク文明の「豊穣の神」像がスイスからボリビアに帰還へ

 ボリビアのエボ・モラレス大統領は11月19日記者会見し、豊穣の神エケコの石像が還ってくる、と発表した。

 この像は、ティアナク文明期の紀元前200年から紀元後200年の間に制作されたとされ、ティティカカ湖畔の神殿に祀られていた。

 ボリビア政府の調査によると、1858年スイス人によって盗まれ、1929年にベルン歴史博物館に売却された。

 ボリビア政府は3年前から外交交渉を通じて石像返還を求め、このほどスイス側が応じた。

 エケコの祭は毎年1月24日にある。エボは、来年のこの日、石像を迎えて盛大な祭典を催すと述べた。

ハイチでデモ隊が衝突、4人死傷

 アイチ(ハイチ)首都ポルトープランスの低所得者居住地域で11月18日、反政府勢力がミシェル・マルテリ大統領辞任を求めてデモ行進し、大統領支持派と衝突、1人が死亡、3人が負傷した。

 反政府の「民主愛国運動」および「憲法順守愛国団」は、政府が延期し続けてきた国会議員選挙と市長・市会議員選挙の早期実施と政治囚解放も要求していた。

 警官隊も出動し、催涙弾でデモ隊を解散させようとした。目撃者は、野党議員がライフル銃で大統領支持派側を撃っていた、と語っている。

コロンビアとニカラグアが経済水域めぐり条約交渉へ

 コロンビアのフアン・サントス大統領は11月18日、カリブ海の同国領サナンデレス諸島およびプロビデンシア諸島近海の経済利権についてニカラグアと条約を締結する交渉に入る、と発表した。

 2年前の2014年11月、国際司法裁判所の裁定により、それまでコロンビアが支配していたカリブ海経済水域のうち9万平方kmがニカラグアの水域となった。

 ニカラグア北方約220kmにある両諸島は、ニカラグアに認められた経済水域に包み込まれるようになっている。このため両諸島住民は漁業など経済利権をニカラグア政府に保障させるよう、コロンビア政府に働きかけてきた。

 ニカラグアのダニエル・オルテガ大統領は19日、サントスの発表を認めた。12年12月初め、EPNメヒコ大統領就任式に出席した折サントスと会談し、条約交渉開始で合意していた、と明らかにした。  

エボラ出血熱と闘うキューバ人医師が感染

 クーバ保健省は11月19日、西アフリカにエボラ出血熱治療のため派遣した医師一人がエボラに感染した、と発表した。

 10月からシエラレオネで医療任務に当たっていたフェリックス・バエス医師(43)で、18日に39度の高熱が出た。同医師はスイスの専門病院に搬送される。

 クーバはシエラレオネ、リベリア、ギニアの西アフリカ3国に256人の医師団を派遣している。この「国際主義任務」は世界中で高く評価されている。 

2014年11月18日火曜日

ウルグアイ大統領選挙決選はバスケス前大統領優勢

 ウルグアイ大統領選挙の決選は11月30日実施される。支持率調査によると、政権党「拡大戦線」(FA)候補のタバレー・バスケス前大統領が53%で、当選する勢いを示している。

 対立候補は国民党(PN、ブランコ党)のルイス・ラカージェで、38%。伝統政党コロラード党はラカージェ支援に回っている。

 国会は10月26日の選挙で、拡大戦線が下院99議席中の50、上院31議席中の15を占めることが決まっている。上院の16番目の議席は決選で決まる副大統領が占める。

 政権党が従来通り、上下両院で過半数を占める公算が大きい。

メキシコやハイチに多い「現代の奴隷」

 11月17日公表された「2014年世界奴隷指標」によると、ラ米ではメヒコ26万6000人、アイチ(ハイチ)23万7700人、ブラジル15万5000人、コロンビア10万5400人などが多い。

 「現代の奴隷」と言うべき、極悪の待遇の下で強制労働を課せられている人々の統計で、メヒコの場合は組織犯罪者絡みがほとんどだ。

 米国に密入国するためメヒコに入る中米北部3国(グアテマラ、エル・サルバドール、オンドゥーラス)の人々が犯罪組織に強制され働かされる例が多い。 

ベネズエラ労働会議がガソリン値上げを決議

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は11月17日、「世界一安いガソリン価格を支えている補助金を社会政策に回すとの労働者会議の決議を検討する」と述べた。

 政権党・ベネスエラ統一社会党(PSUV)の支持母体の一つである、「労働者社会主義ボリバリアーナ中央連盟」(CBST)による第一回労働者階級全国会議の閉会演説で明らかにした。

 このところの国際原油価格下落で、ベネスエラの石油収入は35%減った。財政赤字がかさむ国庫に、痛手が重なる形となっている。

 政府は、世界一安いガソリン価格を維持するため年間125~150億ドルの補助金を費やしてきた。だが財政健全化のため補助金廃止は不可欠の要素となっている。

 しかし、この経済調整でガソリン価格が上がれば、他の物資や公共料金の値上げを招くことになり、政権党は支持を失うばかりか、暴動さえ起こりかねない。

 来年9月に予想される国会議員選挙を控えて、マドゥーロ政権は慎重にガソリン値上げを図ろうとしている。だから政府でなく、CBSTに値上げを決議させたのだ。

米政府はキューバ人医師亡命を奨励、とNYTが批判

 ニューヨークタイムズは11月17日の論説で、米政府がクーバの頭脳流出を促進している、と非難した。

 クーバは国際主義保健協力派遣政策で、全世界に5万人の医師、看護師、医療技術者らを送り込んでいるが、その医師を米国に亡命させる米政府の政策を非難したもの。

 2013年9月から14年9月までの1年間に1278人のクーバ人医師が米国に亡命した。この政策は06年にブッシュ前政権が始めた。

 亡命奨励政策は米政府が、クーバの国際主義政策が成果を挙げていることに脅威を感じていることを示している。

 現在、西アフリカでクーバ人医師256人がエボラ出血熱患者の治療に従事しているが、彼らは米政府が建設した医療施設内で働いている。いつでも米大使館に駆け込むことができる、とNYT紙は指摘している。

 同紙は9月末から、米玖関係正常化を促す論陣を張ってきた。

2014年11月17日月曜日

ハバナが建都495周年迎える

 クーバの首都ハバナ=サンクリストーバル・デ・ラ・アバーナが11月16日、建都495周年を迎えた。

 ハバナ市は1519年のこの日、スペイン人ディエゴ・ベラスケスによって建設された。1982年、世界遺産に指定された。

 1959年の革命後、カストロ政権は都市部を冷遇する政策をとった。このためハバナは荒れ果て、「化粧しない美人」とも称された。

 1990年代以降、観光重視政策と相俟って、ラ・アバーナ・ビエハ(旧市街)の修復工事が進み、現在は往時の姿がかなり復元されている。

コロンビア革命軍(FARC)が陸軍少将を拉致

 コロンビア国防省は11月16日、チョコー県都キブドー市近郊の密林を流れるアトゥラト川で、陸軍対ゲリラ戦特殊部隊「ティタン(タイタン)」司令官ルベーン=ダリーオ・アルサテ少将がゲリラ組織コロンビア革命軍(FARC)に拉致された、と発表した。

 少将は、これまでFARCに拉致・誘拐された軍人の中で最高位。
 
 この日は日曜だったため、私服姿で快速艇に乗り川遊びを楽しみ、岸に上がろうとした際、拉致された。FARCは、少将と共に部下ら二人を拉致し、快速艇で川下に走り去ったという。

 政府とFARCは2012年11月からハバナで和平交渉を断続的に続けてきた。現在は休止中で、今月18日再開の予定だったが、フアン・サントス大統領は16日、拉致事件発生を受けて和平交渉再開を差し止めると発表した。
 

ブラジル国営石油会社ペトロブラスの裏金事件、重大局面に

 ブラジルのヂウマ・ルセフ大統領は11月16日、G20首脳会議に出席した豪州ブリスベーンでブラジル人記者団と会見し、ブラジルの犯罪者無処罰の悪しき伝統は永久に変わる、と述べた。

 これは、腐敗の疑いが持たれている国営石油会社PETROBRAS(ペトロブラス)の重役18人を14日逮捕した事実を踏まえての発言。事件は重大局面に達している。

 同社の腐敗事件は3月、一人の重役が逮捕されたことから明るみに出た。同社の裏金を政権党・労働者党(PT)に政治資金として回していた、と同重役は自供した。

 ルイス・ルーラ前大統領から続く2代3期のPT政権に回された闇資金は、計39億ドルに上るとされる。

 ルセフは10月26日、大統領選挙決選で再選を果たしたが、選挙戦では対立候補陣営はペトロブラス腐敗問題を前面に打ち出してルセフ再選を阻もうとした。
 

2014年11月15日土曜日

LATINA12月号「乱反射」は、ベネズエラ知識人インタビュー特集

◎最近の伊高浩昭執筆記事

★月刊誌LATINA12月号(11月20日刊)連載企画「ラ米乱反射」第104回:「石油収益で脱石油経済モデル構築を ベネズエラの知識人ルイス・ブリート博士語る」=インタビュー特集=

 書評:岡田裕成著『ラテンアメリカ 越境する美術』(筑摩書房)

★週刊金曜日誌10月31日号 ブラジル大統領選挙決選結果分析

★NGO機関誌そんりさ10月号 グアテマラのマヤ民族分断統治について

ベネズエラが国会議員殺害犯引き渡しを要求へ

 ベネスエラ最高裁は11月14日政府に対し、コロンビア人殺人犯レイベル・パディージャ=メンドサの身柄引き渡しをコロンビア政府に要求するのを許可した。

 パディージャは、10月1日カラカス市内で、政権党ベネスエラ統一社会党(PSUV)国会議員ロバート・セラと妻マリーア・エレーラの自宅に侵入し、2人を刃物で惨殺した。セラは首を切り落とされた。

 ベネスエラ政府は、この事件を政治不安定化のための政治的暗殺と捉え、諜報機関を動員して捜査した。その結果、国会警備隊長らベネスエラ人警官2人が事件に関与していたことが明るみに出た。

 2人の供述から、パディージャの率いるコロンビア人殺し屋一味8人が実行犯だったことが判明した。

 政府は、国際刑事警察機構(インターポール)を通じて捜査をコロンビア警察に要求した。コロンビア警察は11月2日カルタヘーナ市内でパディージャを逮捕した。

 ベネスエラ警官2人とコロンビア人一味は、総額50万ドルで犯行を請け負ったとされる。黒幕については、明らかにされていない。

キューバのラ米医学校(ELAM)が創立15周年迎える

 ハバナ郊外にあるラ米医学校(ELAM=エラム)が11月15日、創立15周年を迎えた。前日14日、同校で記念式典が挙行された。政府を代表して、医師資格を持つホセ=ラモーン・マチャード共産党第2書記が主催した。

 現在、同校では117か国の留学生6075人が学んでいる。卒業生は33か国の2万4486人。帰国して医療活動に従事している。

 ELAMはキューバの「国際主義」政策の要であり、ラ米統合や発展途上諸国保健支援に多大な貢献をしてきた。

2014年11月13日木曜日

キューバで一人3台まで携帯電話使用認めらる

 クーバ人成人は来年2月から、携帯電話を一人3台所有できることになった。それぞれ契約は一年ごとに更新する。官報が11月11日発表した。

 ラウール・カストロ政権は2008年、携帯電話を解禁した。以来、その使用は急増し、多くのクーバ人にとって日常生活の必需品になっている。

 国営のクーバ電気通信会社(ETECSA=エテクサ)が契約を扱う。同社は、携帯電話での電郵(イーメイル)サービスも開始することになった。

 

2014年11月11日火曜日

中国でウマーラ・ペルー大統領と安倍首相が会談

 ペルーのオヤンタ・ウマーラ大統領は11月10日、APEC首脳会議開催中の中国で安倍首相と会談した。大統領は冒頭、7月の首相のラ米歴訪でペルーが訪問先から外されたのを「残念だった」と伝えた。

 首相は、謝罪するとともに、ペルーは日本にとって重要な国だと伝えた。先の歴訪で首相は、メヒコ、TT、コロンビア、チレ、ブラジルを訪問した。

 メヒコ、コロンビア、チレはペルーとともに太平洋同盟(AP)を組んでいる。その中からペルーだけが外されたため、当時ペルー政府内に不信感が募っていた。これが、今回の首脳会談で解消されたことになる。

 双方は協力、投資を活発化させることで一致した、とペルー政府は明らかにしている。

12月はラ米・南米で首脳会議相次ぐ

 ボリビアのエボ・モラレス大統領は11月10日、12月の外遊日程を明かにした。ラ米諸国首脳の外交日程と重なる部分が多い。

 12月1~12日はリマで、国連気候変動年次会議が開かれ、エボは3日ごろ出席する見通し。

 次いで12月4~5日、キトで南米諸国連合(ウナスール)首脳会議がある。

 メヒコのベラクルス市で12月8~9日、イベロアメリカ首脳会議が開かれる。

 ハバナでは12月14日、米州ボリバリアーナ同盟(ALBA)創設10周年記念首脳会議がある。

 そして12月半ばアルヘンティーナのエンテレリオス州で、南部共同市場(メルコスール)首脳会議が開催される。

ニューヨークタイムズが5週連続でキューバとの関係正常化を訴え

 ニューヨークタイムズ紙は10月11日以来5週間に亘り週末の論説で、クーバとの関係を正常化させるよう米政府に訴えた。

 歴代米政権が半世紀余り維持してきた対玖経済封鎖は失敗しとして、オバーマ政権に解除を求めている。また、根拠の乏しい「テロリズモ支援国家」指定からクーバを解除せよと訴えている。

 さらに、クーバでスパイ罪で服役している米人アラン・グロスと、米国で長期刑に服しているクーバ人諜報員3人の「交換釈放」を提案している。

 同紙は、来年4月パナマで開催される米州首脳会議にラウール・カストロ国家評議会議長の出席が予想されるのを踏まえて、その前にバラク・オバーマ大統領は対玖姿勢を変化させることが可能だ、と指摘している。

2014年11月10日月曜日

メキシコの学生43人は殺害され焼かれたと検察が発表

 メヒコ検察庁は11月7日、拉致された師範学校生43人は全員殺害され、遺体を焼かれた後、川に捨てられた、と発表した。43人はゲレロ州アヤツィナパの学生で、9月26日、同州イグアラ市の警察に拉致され、行方不明になっていた。

 発表によると、市警は43人を地元麻薬業者の殺し屋たちに渡した。学生たちは州政や市政をかねがね批判していた、という。市警を動員したイグアラ市長は既に逮捕されている。

 政府や当局は、9月下旬の事件発生直後に迅速に動かなかった。動いていれば、学生たちの命は助かったかもしれない。メヒコの「無処罰」主義という司法の堕落と弱さ、無名で弱い立場の者を無視する伝統が政府当局の遅すぎた対応に現れた。父兄らの抗議行動を受けて初めて検察が動き、事件の全貌が明らかになった。

 学生、教師、市民らは8日、ゲレロ州都チルパンシンゴの州政庁前で自動車十数台を焼いて、事件に激しく抗議した。州警察は、これを取り締まらなかった。

 メヒコ市中心街でも、抗議の暴動が起きた。エンリケ・ペニャ=ニエト大統領は9日、43人のための国喪が続いていると述べ、破壊活動を止めるよう訴えた。

 一方、あるメディアは、メヒコ市とケレタロー市を結ぶ高速鉄道を建設する中国系業者らの企業集団が建設したという同大統領の豪壮な私邸の存在を暴露し、建物内部の様子や写真などを報じた。

2014年11月7日金曜日

講演会「南米政治の潮流」のお知らせ

◎南米政治の潮流

 先のブラジル大統領選挙、ベネスエラ情勢、太平洋同盟諸国、中国の接近などを踏まえ、最新の
動きを語ります。

講師: 伊高浩昭 
略歴: ジャーナリスト、元共同通信記者、1967年からラテンアメリカ全域を取材、
著書・訳書多数、月刊誌LATINAに「ラ米乱反射」連載中
 
日時:2014年11月25日(火) 19:00~21:00 (質疑応答含む)

会場:Café y Librosホール、品川区上大崎2-20- (地図参照)

参加費: 2000円(コーヒー、菓子付き)

申し込み:Cafe y Libosまで tel:03-6228-0234info@cafeylibros.com


ブラジルがキューバ人専門医導入を希望

 クーバ駐在のブラジル大使セザリオ・メラントニオは11月6日、ルセフ政権の「マイス・メジコ」(もっと医師を)政策により、既にブラジル国内でクーバ人総合医師1万1800人が働いているが、可能ならば今後はクーバから専門医を導入したい、と述べた。

 同大使によると、ブラジル人のうち4800万人がクーバ人医師の診察を受けてきたが、その88%は満足している。

 ブラジルは、クーバ人医師による医療サービスに対し、年間85億ドルをクーバに支払っている。両国貿易は年間20億ドルであり、医療サービスはその4倍強に及ぶ。
 
 クーバの医師、医療技術者、看護師ら医療労働者は48万人。うち5万人が世界66カ国で活動している。その中には、西アフリカのエボラ出血熱が深刻な3国で働く数百人が含まれている。

 クーバでは、対外医療活動は「国際主義任務」と呼ばれ、自発的参加が期待されている。

パナマ運河第3水路の最後の閘門一式が到着へ

 パナマ運河庁は11月6日、閘門式第3水路の建設工事は80%強進んでいる、と明らかにした。完成は来年末で、2016年1月15日開通を予定している。

 同水路に用いられる閘門一式は、イタリアのトゥリエステ港から中国の特殊貨物船で運ばれており、運河のカリブ海側に11日到着する。これをもって閘門は全て到着したことになる。

 建設工事の遅れは、資金不足と閘門建設の遅れが原因。当初、第3水路開通は、パナマ運河開通100周年の今年8月15日に予定されていた。

在米グアテマラ人労働者の送金額は54億ドルになる見込み

 グアテマラ政府は11月6日、今年1~10月の在米同胞出稼ぎ労働者による送金額は46億5000万ドルに達し、年末には史上最高の54億7200万ドルになる見込み、と発表した。

 在外グアテマラ人は150万人で、その半分は米国にいる。その多くは不法滞在者で、今年既に4万5000人が国外退去させられている。

 在外労働者からの送金額は、この国の年間輸出額の約半分に匹敵する。

2014年11月6日木曜日

米共和党の議会選勝利で対キューバ関係改善機運遠のく

 オバーマ米政権の与党・民主党が連邦議会(国会)の上下両院で過半数を共和党に奪われたことで、米玖関係改善の機運は遠のいたと見ることができる。

 バラク・オバーマ大統領は、任期内に対玖経済封鎖をなくし関係を正常化させたいとの願いを示唆していた。だが経済封鎖の重要部分は議会議決事項であり、保守・右翼・極右を包含する共和党が多数派では議決は覚束ない。

 クーバ政府は米議会選挙結果についてまだ言及していないが、民主党の勝利を期待していたのは確かだ。クーバに厳しい頑迷な反カストロ派議員のほとんどは共和党にいる。

 クーバとしては今後、2年後の米大統領選挙で民主党が勝つのを期待することになる。

 ジョージ・ブッシュ前大統領の弟ジェブ・ブッシュは、共和党の大統領候補の一人と目されている。ジェブは14年前フロリダ州知事だった当時、大統領選挙の同州内での開票作業で兄ジョージに有利に計らい、アル・ゴア民主党候補から勝利を奪うのに貢献したと伝えられた。

 ジェブが次期大統領にでもなれば、クーバにとっては厄介な事態が続くことになるだろう。
 
 

拉致学生43人の両親らがメキシコ政府に「生きて返せ」と迫る

 メヒコ南部のゲレロ州イグワラ市で9月26日、師範学校生43人が拉致され行方不明になった事件で、学生たちの両親、親戚、友人らの一行が11月5日、メヒコ市憲法広場(ソカロ)に到着し、「息子・娘たちを生きて返せ」と顔写真を掲げて政府に要求した。

 ソカロには、大統領政庁(国家宮殿)がある。親たちは、エンリケ・ペニャ=ニエト政権の無策を厳しく批判している。

 43人の一部は10月、遺体で集団墓から発見されたと伝えられたが、その後、学生たちの遺体でないことが判明した。

 学生たちは州内アヤツィナパの師範学校生で、イグワラ市政にかねがね批判的だった。拉致事件にはイグワラ市警が実行犯として関与しており、市長は昨4日ようやく逮捕された。

 この日の行進とソカロでの集会には、各地の師範学校生、大学生、教員組合、労組、芸術家、知識人、一般市民が連帯し、2万人に膨らんだ。
 
 

キューバのマリエル特区への外資導入は年末以降開始へ

 ハバナ西方45kmにあるマリエル開発特区(ZEDM)への外資投入が今年末から来年初めにかけて始まる。共産党機関紙グランマが11月5日報じた。

 投資対象の事業計画は246種あり、投資額は計87億ドル。農業/食糧、石油代替エネルギーの両分野にまず投下される見込み。

 西伊中露仏越伯墨蘭加など30か国が投資計画を提示している。日本にもその動きがある。

2014年11月5日水曜日

エクアドール国会が大統領無期限再選のため改憲審議へ

 エクアドール憲法裁判所は10月31日、大統領無期限再選を可能にするため改憲を国会の議決に委ねることを可とする判断を下した。野党が要求していた国民投票は不要とされた。

 ラファエル・コレア大統領は2007年就任し、08年の新憲法下で現在2期目にある。途中で終わった07年開始の任期を入れれば、通算3期目にある。

 08年憲法は、大統領は任期4年で、連続もしくは非連続で一回限り再選可能と規定している。

 国会で多数派の政権党「パイース同盟」(AP)は6月26日、大統領再選を無期限可能とする改憲を憲法裁に求めた。政権党は年内に改憲法案を策定し、来年中に改憲する方針。

 ラ米ではベネスエラとニカラグアが大統領無期限再選制をとっている。

ウルグアイ大統領選挙決選は政権党候補バスケス有利

 ウルグアイ大統領選挙の決選は11月30日実施される。5日公表された最新の支持率調査によると、政権党・拡大戦線(FA)候補タバレー・バスケス前大統領が52%で、国民党(PN)候補ルイス・ラカージェ上院議員の36%を引き離している。

 残り12%は、未定、白票、棄権など。

 10月26日実施の第一回投票では、バスケス47・8%、ラカージェ30・9%だった。

伊高浩昭講演会「南米政治の潮流」

 ◎講演会「南米政治の潮流」のお知らせ

講師 伊高浩昭(ジャーナリスト)

日時 11月25日(火)1900~2100

場所 「カフェ・イ・リブロ」=品川区上大崎2-20-4

費用 2000円(カフェと菓子込み)

申し込み 電話6228-0234

2014年10月31日金曜日

エクアドールとペルーが国境共同開発で合意

 エクアドール(赤道国)のラファエル・コレア、ペルーのオヤンタ・ウマーラの両大統領は10月30日、両国国境地帯のエクアドール側アレニージャスで会談し、国境地帯の統合、開発を共同で推進することを決めた。

 国境河川を堰き止めてダムを建設する計画も決まった。

 両首脳は国境地帯を自転車で25kmも走破し、関係を深めた。

 両国は1995年に国境地帯で領土問題をめぐって戦火を交えた。その後、国境線は確定した。この戦争当時のペルー大統領はアルベルト・フジモリだった。

 この戦争の前後に一帯には、大量の地雷が敷設された。既に4000個が除去されたが、依然8000~1万個が埋まっている。この除去作業も継続される。

国連総会が圧倒的多数でキューバ経済封鎖廃止に賛成

 国連総会は10月28日、米国による対キューバ経済封鎖に終止符を打つことを求める決議を賛成188、反対2、棄権3で可決した。1992年以来、連続23回可決された。拘束力はない。

 決議案はキューバのブルーノ・ロドリゲス外相が提出した。反対したのは米国とイスラエル。棄権はパラオ、マーシャル諸島、ミクロネシアの米自由連合3国だった。

 米国は1959年元日のキューバ革命直後、アイゼンハワー政権が経済封鎖を段階的に進め、次のケネディ政権が全面封鎖した。

 以来半世紀余り、ジョンソン、ニクソン、フォード、カーター、レーガン、ブッシュ父、クリントン、ブッシュ息子、オバーマの各政権が維持してきた。

 カーター、オバーマの民主党政権は対玖関係正常化を志したが、カーターの努力は実らなかった。ケネディもミサイル危機後、正常化を考えたが、発想して間もなく暗殺された。

 クーバ政府は、封鎖によりクーバが被った損害の総額は1兆1120億米ドルに上る、と発表している。

 今回もまた、米国の孤立が鮮明になった。

 オバーマ政権が対玖政策でどう動くかは、「中間選挙」の結果に左右される。なぜなら封鎖は連邦議会決議に依っており、行政府の意思だけでは廃止できないからだ。

2014年10月30日木曜日

ベネズエラのインフレは来年120%にも達する見込み

 ベネスエラで10月29日、経済専門家たちが来年の同国経済を展望する会議が開かれ、インフレは110~120%に達するとの見通しを打ち出した。去年は年率56%、今年は72~75%と予測されている。

 今年の国内総生産GDPは4%後退する見込み。財政赤字はGDPの20%になるもよう。

 一家四人の標準家庭の食費は今年、月790ドルだった。2012年には290ドルだった。

 通貨ボリーバルは、国際原油価格が上がらなければ来年、39~60%の切り下げを余儀なくされる。

 同価格は今年1バレル当たり平均93~94ドルになる見込み。従来の100ドル前後から大幅に落ちている。

 来年1月には、1バレル80ドル台に下落することもありうる。原因は米国の原油生産の増大、中国経済の伸び悩みによる需要減少など。

 一部専門家は、場合によっては、中国からの援助資金の返済に充てられている原油、およびクーバへの優遇輸出原油の量を減らす必要に迫られる、と見ている。

 ある専門家は、「経済は激流であり、川の流れを変えようとすれば、たちまち氾濫する」と指摘し、国家による経済介入を暗に批判した。

 ベネスエラは「政治が経済の上位にある」とする政治至上主義を取っており、企業の自由を最大限に認めている新自由主義を規制している。
 

チリで医療用大麻の種蒔き実施

 チリの首都サンティアゴ市のラ・フロリーダ区は10月29日、医療用大麻の種850個を区内の特別栽培所の鉢に蒔いた。発芽後、苗床に移され、収穫される。

 政府は9月8日、同市に許可を与えていた。この種の認可はラ米初という。収穫された大麻の成分は癌患者ら200人の医療に用いられる。

 同栽培所は厳戒態勢下にある。

ボリビア政権党「社会主義運動」が国会両院で絶対多数獲得

 ボリビア選管は10月29日、大統領・国会議員選挙(12日実施)の最終結果を発表した。3選されたエボ・モラレス大統領の得票率は61・36%だった。

 政権党・社会主義運動(MAS)は、定数36の上院で25、同130の下院で89の議席をそれぞれ獲得した。いすれも3分の2を上回る絶対多数であり、改憲や重要法案採決に圧倒的に有利になった。

 野党議席は、民主連合(UD)が上院9、下院31、キリスト教民主党(PDC)が同2、10だった。

2014年10月28日火曜日

ルセフ・ブラジル大統領が11月から経済政策調整へ

 10月26日再選されたブラジルのヂウマ・ルセフ大統領は27日、一連の報道機関によるインタビューで、11月から年末にかけて経済政策を見直す、と明らかにした。

 ルセフの労働者党(PT)政権は、ルーラ前政権以来12年に亘って社会政策を重視する経済路線を採り続けてきた。だがマクロ経済が伸び悩み、中産上層、富裕層、大企業など新自由主義派の間で不満が募っていた。それが大統領選挙決選の僅差勝利に繋がった。

 大統領は、「政治が経済の上にあり、政治は企業に従属しない」という政府復権主義の立場にあり、必要に応じて経済に介入する政策を維持している。

 ルセフはまた、国営石油会社ペトロブラスが企業との契約金に上乗せ金を含ませ、それを闇資金とし、PTに政治資金として回していた、という「ペトロブラス腐敗事件」を調査するとも明らかにした。

 大統領は、その調査結果が来年1月から4年間の第2期政権を不安定にするとは思わな、と述べた。

 一方、豪州ブリスベーンで11月15~16日、G20首脳会議が開かれる。ルセフは、同会議期間中にクリスティーナ・フェルナンデス=デ・キルチネル亜国大統領と会談する。

ベネズエラ政府が国軍の給与を45%引き上げへ

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は10月27日、国軍(FANB)要員全員の月給を11月1日から45%引き上げる、と発表した。インフレで物価高となっているため、実質購買力を高めるのが狙い。

 だが今年3月、空軍の将軍3人らが「謀反を企てた」ため逮捕され、数十人の佐官・尉官が取り調べを受けた。政権安定には国軍の支持が欠かせず、大統領は真っ先に給与を引き上げた。

 今後、各分野の労働者の同様の昇給・賃上げを図っていく、という。

 一方、政府は26日、国営石油会社PDVSA(ペデベサ)が米国内に所有するCITGO製油所の
売却方針を撤回すると発表した。政府は80~100億ドルで売却する方針だったが、購入希望者からは、はるかに安い金額しか提示されなかった。このため売却方針を中断した。

 ベネズエラは2015~17年、公共債務100億ドルの返済期限を迎える。このため100億ドルでのCITGO売却を期待していた。

 CITGOは昨年、7億7800万ドルの純益を挙げている。

2014年10月27日月曜日

ブラジル大統領選挙決選はヂウマ・ルセフ再選

 ブラジル大統領に現職のヂウマ・ルセフが再選された。10月26日実施の決選投票で労働者党(PT)のルセフは、開票率99%強の段階で得票率51・58%で、ブラジル民社党(PSDB)のアエシオ・ネヴェス(48・42%、上院議員)を破った。

 決選はいつにない接戦で、選挙戦終盤にルセフが優勢になった。これに対しネヴェス陣営は、決選前日の25日までメディアを使ってルセフ失墜工作をする形振り構わぬ汚い戦術に出た。

 ルセフ勝利で、2003年にルイス・ルーラ大統領によって始まったPT政権は、来年15年から19年までさらに4年続くことになった。弱肉強食の新自由主義経済路線に社会政策と進歩主義外交を加えた「ポスト・ネオリベラリズモ」ないし「改良型新自由主義」がまだ必要だと有権者の過半数が判断した。

 元大統領タンクレード・ネヴェスの孫アエシオは新自由主義路線で、富裕層、中産上層、大手メディア、大企業、大土地所有者、米企業から支持されていた。

 ルセフ再選で、ラ米の左翼ないし中道左翼の政治の潮流は維持強化された。

 一方、同日実施のウルグアイ大統領選挙は予想通り、政権党・拡大戦線(FA)のタバレー・バスケス前大統領(44%)と、国民党(PN)のルイス・ラカージェ(32%)が、11月30日実施の決選に臨むことになった。

2014年10月25日土曜日

ベネズエラ政府がスペインとの関係を見直しへ

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は10月24日、ラファエル・ラミーレス外相に対し、スペイン政府による非友好的言動および、ベネスエラ極右勢力支援について総点検するよう命じた。

 これは22日、スペインのマリアーノ・ラホーイ首相が、拘禁されているベネスエラ極右指導者レオポルド・ロペス(LL)被告の妻リリアンとマドリードの政庁で会い、LLの置かれている状況への懸念を表し、その懸念を欧州連合(EU)に伝えると語ったのを受けたもの。

 大統領は、ラホーイ発言を内政干渉と捉え、対スペイン関係の見直しを外相に指示した。

 ベネスエラとスペインのメディアは、このニュースを大きく取り上げている。

 LLは今年2月カラカスなどで起きたグアリンバ(街頭破壊活動)を扇動した罪で逮捕、起訴されている。

 ラホーイ首相は、スペイン内戦で勝ったフランコファシスト政権の流を汲む右翼の国民党(PP)党首。

ブラジル大統領選挙決選は現職ヂウマ・ルセフ優勢

 ブラジル大統領選挙決選は10月26日実施される。23日から24日にかけて公表された最終支持率調査の結果は2対1で、現職ヂウマ・ルセフ大統領(労働者党=PT)が野党候補アエシオ・ネヴェス上院議員(ブラジル民社党=PSDB)を凌いでいる。

 フォーリャ・デ・サンパウロか紙はルセフ53%、ネヴェス47%、オ・エスタード・デ・サンパウロ紙はルセフ54%、ネヴェス46%で、いずれも大統領の勝利を予測している。

 一方、センサス社はネヴェス54・6%、ルセフ45・4%で、ネヴェス当選を予想している。

 10月5日の第1回投票で大統領とネヴェスは得票率が1、2位となり、決選に進出した。6日開始の選挙戦では、3位のマリーナ・シルヴァ候補のブラジル社会党(PSB)がべヴェス支持に回ったため、ネヴェスが2週間余り、リードしていた。

 ところが今週、サンパウロ市やサンパウロ州一帯で水不足が重大問題として浮上。PSB党員のサンパウロ州知事は水不足を遺憾とした。ネヴェスは中央政府に責任をなすりつけたが、ルセフ陣営から攻撃され、支持率を急激に落とした。

 第一回選挙前は、どの支持率調査でも、決選がルセフ対ネヴェスになった場合、ルセフの勝利を予測していた。結局、決選の2日目になって、本来の支持率に戻ったわけだ。

 中産層と貧困層は、新自由主義に社会政策を加味したPT政権を支持する。富裕層、中産上層、大企業、保守派は新自由主義復活を目指すネヴェスを支持している。
 

2014年10月23日木曜日

ALBA首脳会議がエボラ対策で救援宣言を採択

 エボラ出血熱対策を協議するALBA(米州ボリバリアーナ同盟)特別首脳会議が10月20日ハバナで開かれ、エボラが蔓延しつつあるアフリカ諸国との連帯と支援強化を謳う23項目の宣言を採択した。会議は同日閉会した。

 クーバは既にシエラレオーネに165人の医師団を派遣しているが、新たに21日、ギネアとリベリアに計256人の医師団を派遣した。キューバには2万3000人の医師、看護師、医療技術者がエボラ対策の訓練を受けて待機している。

 クーバはアフリカ全土に32医師団(計6269人)を派遣しているが、従来どおり維持する。

 ベネスエラは、国連エボラ信託基金に500万ドルを提供した。

 会議には、クーバ議長、ベネスエラ、ボリビア、ニカラグア3国大統領、ALBA準加盟国アイチの大統領、カリブ2カ国首相らが出席した。また国連基金、米州保健機関、東カリブ諸国機構の代表も出席した。

 ALBAは10月29~30日、加盟諸国エボラ専門家会議を開く。またALBA諸国保健相は11月5日までに行動計画を策定する。

2014年10月21日火曜日

NYTがキューバ医師団のエボラとの戦いを褒め、関係正常化を訴える

 ニューヨークタイムズ(NYT)は10月20日の社説で、クーバ医師団が危険を冒して西アフリカでエボら出血熱と戦っている事実に鑑み、米国はクーバと国交を正常化すべきだ、と訴えた。同紙が米玖国交正常化を社説で訴えたのは、10月12日に次ぎ今月2度目。

 社説は、「キューバはエボラとの戦いで最も際立っており、その姿勢は称賛され真似されるべきだ」とし、「対玖正常化は危険よりもはるかに大きな利益をもたらす」と主張した。

 また「クーバの医師団派遣は、エボラ対策資金を提供してきた米国を含む諸国の対応と対比される」と指摘し、現地に派遣された米軍はクーバ医師団の警備にも当たるべきだと訴えた。

 社説は「西アフリカは患者隔離所、診察所などの即時設置を望んでいる」、「世界保健機構(WHO)は為す術を明確には把握していない」とも述べた。

 さらに「クーバは最も死活的な任務を遂行して終わってしまうかもしれない。クーバ医師団はエボラに侵されるだろう。エボラがクーバにもたらされれば大変な危機に陥り、米州全域に波及する」と警告した。

 そんな時に「クーバを敵視するのは生死を分ける問題だ」と強調し、米政府に正常化を呼び掛けた。社説は、ジョン・ケリー国務長官がクーバ医師団の名を挙げずに、その勇気を讃えたことにも触れた。

 フィデル・カストロ前議長は18日、米政府にエボラ対策で連携を提唱し、「これは国交正常化を求めているからではない」と付け加えた。

ALBAがハバナでエボラ出血熱対策で首脳会議開催

 ハバナで10月20日、エボラ出血熱対策をめぐり、米州ボリバリアーナ同盟(ALBA、加盟9カ国)の緊急首脳会議が開かれる。国連の呼び掛けに応じたベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領の提唱で開かれることになった。マドゥーロは19日ハバナ入りした。

 クーバは既に西アフリカにエボラ患者に対処するため医師団を派遣している。フィデル・カストロ前国家評議会議長は18日、米国に対しエボラ対策で連携するよう呼び掛けた。

 ALBAは会議で米州保健機関(OPS)と協議し、結果をラ米・カリブ諸国保健省、ラ米・カリブ諸国共同体(CELAC)に報告し、対応策を要請する。

 ハバナにはサンビセンテ・グラナディーンのラルフ・ゴンサルベス首相、セントルシーアのマニー・アンソニー首相も到着した。会議にはALBA賛同国からも代表団が出席するもよう。

2014年10月19日日曜日

ブラジル左翼がルセフ労働党政権打倒運動を糾弾

 ブラジル大統領選挙決選は10月26日実施される。現職ヂウマ・ルセフ大統領(労働者党=PT)と、上院議員アエシオ・ネヴェス(伯民社党=PSDB)の一騎討ちだ。

 この組み合わせではルセフが圧倒的に有利だったが、このところの支持率調査では、ネヴェス有利に変わっている。危機感を募らせた左翼陣営は18日、「ルセフ政権継続を阻もうとする一種のクーデターが進行しつつある」と捉える声明を発表した。

 知識人、大学教授、芸術家、社会運動家ら2000人は、「大企業、銀行家、マスメディア、右翼、在外勢力(米国など)が結託してルセフ再選を阻止しようとしている」と糾弾した。

 2000人が署名した声明は、「米国の介入からブラジルとラ米を守るにはルセフ政権を継続させねばならない」と訴えた。また「90年代のカルドーゾPSDB政権期のように、ブラジルを金融資本と米国の意思に支配させてはならない」と強調した。

 声明は、「彼らは<腐敗>、<経済停滞>、<超インフレ>などを誇張し、労働党政権に不利な世論づくりの運動を展開している」と糾弾した。

 ルセフ打倒運動の中心にいるマリーナ・シルヴァや、元大統領フェルナンド=エンリケ・カルドーゾらは、1982年に結成された新自由主義路線の「米州対話」の会員だ、とも指摘している。

 声明は、マルクス・レーニン主義共産党(PCML)機関紙「インヴェルタ」(逆転、変革)に掲載された。決選は、ルセフの「ポスト新自由主義」(社会政策を大幅に加えた改良型新自由主義)と、ネヴェスの「野蛮な新自由主義」と戦い、と位置付けられている。

2014年10月18日土曜日

LATINA11月号「乱反射」はアルゼンチン債務問題

◎最近の伊高浩昭執筆記事

★週刊金曜日 10月17日号 「たとえば世界でいま」欄 「ボリビア大統領選挙で現職エボ・モラレスが三選」

★月刊LATINA 11月号(10月20日発売) 「ラ米乱反射」連載第103回 亜国債務問題:「禿鷹投資業者に小股掬われたアルヘンティーナ  財政破綻を招きかねない<不本意な債務不履行>の罠」 (併用写真4枚)

 書評1 「ネルーダ事件」(推理小説) ロベルト・アンプエロ著、宮崎真紀訳、早川書房

 書評2 「マヤ・アンデス・琉球 環境考古学で読み解く<敗者の文明>」 青山和夫ら4人の共著、朝日新聞社 

2014年10月17日金曜日

アルゼンチンが通信衛星打ち上げに成功

 アルヘンティーナは10月16日、仏領ギアナで通信衛星Arsat-1の打ち上げに成功した。地上300kmの軌道に乗り、10日後に作動する。

 この衛星は、国営人工衛星起業ARSAT社がリオネグロ州立INVAP社に発注、同社は7年をかけ完成させた。部品の半分は国産、他の半分は輸入品。

 通信サービスは亜国のほか、ウルグアイ、パラグアイ、チレにも及ぶ。

 CFK大統領は、「(国産部品は半分だが)亜国の衛星技術は先進諸国の仲間入りをした」と喜びを表した。

 来年にはArsat-2の打ち上げが予定されている。

ベネズエラが国連安保理非常任理事国に当選

 ベネスエラは10月16日、国連総会での安保理非常任理事国改選で当選し、来年元日から2年間安保理任務を果たすことになった。22年ぶりの復帰となる。

 国連加盟193カ国中、賛成181、反対1、棄権10、無効1だった。反対は米国と見られている。米国連代表部は早速、不快感を公式に表明した。イスラエルは無効ないし棄権に回ったもよう。

 総会に出席していたラファエル・ラミーレス外相は、「圧勝だ。この勝利は故ウーゴ・チャベス司令官に捧げる。我々は絶え間ない反ベネスエラの中傷運動にも拘わらず勝利した」と述べた。

 過去ベネスエラは1960年代初頭から90年代前半にかけて4回非常任理事国を経験している。だが、チャベス政権が1999年に発足してからは初めて。06年に立候補したが、落選している。今回はラ米・カリブ諸国(GRULAC=グルラック)のベネスエラ以外の32カ国から反対国は出なかった。 

2014年10月15日水曜日

コロンビア上院が大統領再選禁止法案を可決

 コロンビア国会上院は10月14日、大統領再選を禁止する法案を可決した。最終的な法案成立までには追加審議が必要だが、成立する方向が定まった。

 任期4年、一人1回限りの大統領の地位は、アルバロ・ウリーベ前政権期(2002~06)に、一回のみ再選可能と修正された。ウリーベは2期目(06~1)に3選を可能にする改憲を志したが、オバーマ米政権の警告を受けて断念した。

 フアン・サントス現大統領は今年8月、2期目に入ったが、選挙戦中に、大統領再選禁止を公約していた。今回の上院での法案可決は、公約に沿っている。

 法案は、次期以降の政権は再選復活法を制定できないとし、復活させる場合は国民投票もしくは制憲議会開設による改憲が不可欠、と規定している。

 
 ウリーベの率いる右翼政党「民主同盟」は、現行法通り一回限りの再選を認めるべきだと、異議を唱えていた。

2014年10月14日火曜日

ニューヨークタイムズがキューバとの国交正常化を米政府に呼び掛け

 ニューヨークタイムズは10月12日論説で、オバーマ米政権にクーバへの経済封鎖を解除し、米玖国交正常化を促進すべく真剣に考えるべきだと呼び掛けた。カストロ政権は、「経済封鎖を内政失敗とクーバの孤立の原因だと言い訳してきた」と指摘している。

 論説は、米国内の世論の変化とクーバの内政改革が、国交正常化の基盤を初めてつくりつつある、と見ている。オバーマ政権は、この好機を1961年1月の対玖断交以来途絶えてきた国交の正常化のために利用すべきだ、と訴えている。

 論説はまた、クーバ系米市民の68%は国交正常化に賛成しており、その若い世代では90%が賛成していると捉え、反対する世代は消えつつあると見ている。

2014年10月13日月曜日

ボリビア大統領選挙は現職エボ・モラレスが圧勝で3選

 ボリビア大統領選挙が10月12日実施され、現職のエボ・モラレス(社会主義運動=MAS)が得票率60%で、予想通り3選を果たした。来年1月22日就任する。新任期は2020年1月までの5年間。

 現行の09年憲法は大統領の連続再選を1回だけ認めているが、エボは2025年まで政権に留まる意志を表明している。そのためには憲法当該条項の改正が必要であり、国会上下両院で3分の2の議席が必要になる。この日同時に実施された国会議員選挙ではMASが議席を増やしており、3分の2を超えるかが焦点。

 しかし、仮に3分の2に達しなくとも、改憲を国会多数決で採択し、国民投票にかければ改憲は成り立つ。MASは、有権者の62%を占める先住民族の支持を得ており、改憲は確実視されている。

 得票2位は、保守の実業家サムエル・ドリーア(民主連合=UD)25%、3位は保守の元暫定大統領ホルヘ・キローガ(キリスト教民主党=PDC)9%。他に2人の候補者がいる。

 エボは05年12月の大統領選挙で初当選し、06年石油・天然ガス産業を再国有化した。09年憲法で先住民優先の「他民族国家」を確立し、同年末の大統領選挙で2選された。

 激しい反米口調が持ち味だが、政治経済政策ともに極めて実利的だ。かつては政敵だったサンタクルース市の財界とも良好な関係を維持している。

 エボ3選は今月26日実施のブラジル大統領選挙決選およびウルグアイ大統領選挙で、それぞれの進歩主義候補に有利に作用するはずだ。

  

2014年10月12日日曜日

チリ法廷がフレイ元大統領の暗殺事実を確認

 チレ法廷は10月11日、エドゥアルド・フレイ=モンタルバ元大統領(任期1964~70)はピノチェー軍政に暗殺された、との最終h判断を確認した。

 フレイは1982年1月22日、サンティアゴ市内のサンタマリーア診療所で毒物を注入され、死亡した。この事件で医師5人と元軍政秘密警察要員の計6人が起訴された。医師3人が実行、2人が証拠を隠滅した。同要員は共犯だった。

 フレイの息子エドゥアルド・フレイ=ルイスタグレ元大統領は11日、司法当局に謝意を表した。

 一方、ノーベル文学賞詩人パブロ・ネルーダは、ピノチェークーデター直後の1973年9月23日、同じ診療所で死去した。詩人は前立腺末期癌だったが、毒物による暗殺の可能性も濃厚だった。

 昨年、遺族らの要請で、詩人の遺体(遺骨)が米西両国の専門機関での毒物検査に付されたが、毒物の痕跡は発見されなかった。だが、痕跡が消えてしまう場合もあり、ネルーダ暗殺の疑惑は依然消えていない。

2014年10月10日金曜日

シリア難民42人がウルグアイに到着

 シリア難民42人が10月9日、モンテビデオ空港に到着し、ホセ・ムヒーカ大統領や政府高官の出迎えを受けた。ベイルート経由30時間の長旅だった。

 ウルグアイ政府はシリア難民120人を受け入れることにしており、到着したのは第1陣。

 今後数か月間、スペイン語とウルグアイの生活習慣を教えられ、その後、国内各地に住むことになる。就職も斡旋される。

 将来、シリアに帰国するかウルグアイに留まるかは自由。
 

ブラジル大統領選挙決選は野党のネヴェスがリード

 ブラジル大統領選挙決選投票は10月26日実施されるが、9日公表された二つの支持率調査はいずれも野党、伯民社党(PSDB)候補アエシオ・ネヴェス上院議員が現職で労働者党(PT)候補のヂウマ・ルセフを上回っている。

 「ネヴェス51%、ルセフ49%」、「ネヴェス46%、ルセフ44%」。

 5日の第1回投票で得票3位のマリーナ・シルヴァ候補(伯社会党)の票の64%はネヴェスに回り、ルセフは18%しか得ていない。残る2週間余の選挙戦が当落を分けることになる。

2014年10月8日水曜日

興味深い「エクアドル映画週間」

 立教大学池袋キャンパス7号館で、10月6日から「エクアドール映画週間」が催されている。在日エクアドール大使館と立教ラ米研の共催で11日まで続く。19時上映開始。入場無料。会場は280人が着席できる大教室のため、ゆったりと観賞できる。

 初日6日は「君の目を盗んで」だった。主人公は、首都キト市内の貧しい南部出身の若者で、豊かな北部で銀行員として生きている。ひょんなことで、魅力的なコロンビア娘と知り合うが、そこから悲喜劇が始まる。

 7日の「二人の祖父」は、カルラ・バレンシア=ダビラ監督の父母両方の祖父の生と死を辿るドキュメンタリーだ。1973年9月11日のピノチェー軍事クーデターに関わる秘話が浮き彫りになる。このクーデター直後のチレを取材した私にとっても参考になった。

 本日8日は、「娘の御名の下に」、明日9日は「凍りついた時」と「縁の下の力持ち」。10日は「釣師」で、1830から私が解説する。

 最終日の11日は17~20時、「凍りついた時」上映後、エクアドール映画の専門家3人によるシンポジウムがある。問い合わせは、ラ米研03-3985-2578。

2014年10月7日火曜日

ハイチ沖の帆船残骸はコロンブス旗艦ではない、とユネスコ断定

 ユネスコは10月6日、ハイチ北岸の大西洋で5月発見された沈没船の残骸は、コロンブスの旗艦サンタマリーア号のものではない、と発表した。

 発見者は、米国人バリー・クリフォード。発見者が表明してきた過剰な期待から、「ほぼ間違いない」とする見方が広がっていた。

 帆船サンタマリーア号は、コロンブスの第一回航海のさなかの1492年12月24~25日、ハイチ沖で座礁し沈没した。

 ユネスコは9月9~14日、海底での調査を実施、残骸は17世紀末から18世紀初めにかけて建造された帆船と断定した。

ニカラグアでまた運河建設反対デモ

 ニカラグア政府は「ニカラグア大運河」(両洋運河)建設工事に12月着手する予定だが、運河建設予定地一帯では反対運動が続いている。10月3日、運河が通過するニカラグア湖畔のリバス県サンホルヘ市で農民ら数百人の市民が行進し、運河建設反対を訴えた。

 反対行動は、香港拠点の中国系施工会社HKNDが9月、住民立退きと賠償に備えて住民調査を開始して以来、4度目。主として、生まれ故郷からの立退きと環境汚染に反対している。

 デモ隊は「売国奴オルテガ」の横断幕や、「中国人、出て行け」のプラカードを掲げていた。出動した警官隊と小競り合いがあった。

 ギャラップが9月23日に公表した世論調査では、53%が運河建設に賛成している。 
 

パラグアイ軍が「農村ゲリラ」3人を逮捕

 パラグイア軍合同作戦部隊(FTC)は10月6日、農村ゲリラ「武装農民集団」(ACA)の要員2人と、同「パラグアイ人民軍」(EPP)の1人を5日コンセプシオン県内で逮捕した、と発表した。

 ACAはEPPの分派だが、両組織は相互に支援し合っている、という。

 EPPには、軍・警察が組織した「官製ゲリラ」説もあり、正体はいまひとつ定かでない。

  

ベネズエラのデング熱感染者は今年5万人

 ベネスエラ保健省は10月6日、今年初めからの国内のデング熱感染者は5万1865人、と発表した。

 うち2995人は、9月14~20日に感染した。

2014年10月6日月曜日

竹田邦夫メキシコ彫銀展は名古屋に移動

 メヒコ在住42年の彫銀師竹田邦夫は毎年この季節に渡り鳥のようにやってきて、東京と名古屋で展示販売会を開く。東京での今回最初の彫銀展は9月23日~10月4日、新宿区内の地下鉄曙橋駅に近い画廊「ゑいじう」で催された。

 最終日に訪ね、バーボンやワインを飲み交わしながら、作品、メヒコ、思い出を語り合った。

 第2回展は10月17~19日、中野区上高田の「土日画廊」(電話5343-1842)で開かれる。

 その間、10月9~15日、名古屋市内の丸栄8階アートステージ(052-264-5385)で彫銀展を開く。さらに10月22~26日、愛知県長久手市の「木もれ陽」(0561-61-1150)で同じく催す。

 つまり、東京と名古屋方面を行ったり来たりしながら展示会を開くのだ。銀にオパロ(オパール)を加えたブローチなどの作品は年ごとに新しい。

 作家は老いぼれていくが、作品は新しくなっていく。この乖離から創作が出てくる。

メキシコ南部ゲレロ州で28人の他殺体発見

 メヒコ中南部ゲレロ州内で10月4~5日、地中の穴に埋められていた28人の遺体が発掘された。9月26日に拉致された師範学校生の遺体と見られている。

 学生の拉致を命じたのは、同州イグアラ市警察の長官で、市警は9月25日、州内のアヨツィパン市にある農村師範学校の学生を襲撃し、6人を射殺、17人を負傷させた。

 次いで26日学生43人を拉致し、殺し屋集団に学生を引き渡し、全員を殺害するよう命じた。逮捕された殺し屋2人が自白した。

 学生たちは切り刻まれて惨殺され、ガソリンをかけられて焼かれ、穴に放り込まれた。焼死体となっているため、身元確認が困難を極めている。残る学生15人の所在ないし遺体の在り処は不明。

 市警の背後には、麻薬暴力組織「ゲレロ・ウニード」がおり、市警と組んで悪行を働いていた実態が明るみに出た。ゲレロ州当局との関係を指摘する向きもある。

 同師範学校生は左翼で、1970年代に州内で壊滅させられた農村ゲリラ2組織の指導者ヘナロ・バスケスとルシオ・カバーニャスを讃えていたという。

 首都メヒコ市の南のゲレロ州には、銀の町タスコ、イグアラ、州都チルパンシンゴ、太平洋岸の観光地アカプルコと繋がる観光路がある。だが麻薬組織が根を張り、血なまぐさい殺傷事件が絶えない。

ブラジル大統領選挙は現職ルセフと上議ネヴェスが26日の決選へ

 ブラジルで大統領選挙が10月5日実施され、政権党である労働者党(PT)の現職ヂウマ・ルセフが得票率41・6%(4330万票)で1位、野党の伯民社党(PSDB)の上院議員アエシオ・ネヴェスが33・6%(3490万票)で2位となり、両候補が26日実施の決選投票に臨むことになった。

 支持率調査で2位になると見られていた野党ブラジル社会党(PSB)の元環境相マリーナ・シルヴァは21・3%(2220万票)で3位に甘んじた。有権者は1億4280万人。投票率は80%強だった。

 決選では、シルヴァ票の多くがネヴェスに流れると見られており、ルセフは棄権票や浮動票の掘り起こしが不可欠。決選は接戦になると予想されている。

ハイチ元独裁者ジャンクロード・デュヴァリエが死去

 アイチ(ハイチ)を1971~86年独裁支配した元大統領ジャンクロード・デュヴァリエ(63)が10月4日、首都ポルトープランスで心臓発作により死去した。86年に政権を追われフランスに亡命したが、25年後の2011年、帰国していた。

 父親フランソワ・デュヴァリエは1957~71年独裁支配した。父子2代30年の独裁は、殺害組織トントンマクートを使って反対者や批判者を容赦なく葬る血塗られた圧政だった。

 首都高裁はことし2月、ジャンクロードに人道犯罪責任を負わせることを決め、同罪での起訴を復活させた。だが裁かれず罪を償わずに死んでしまった。法廷は、死後も追及すると明らかにしている。

2014年10月3日金曜日

ベネズエラの夕べでオリヴァー・ストーン監督「我が友ウーゴ」上映

 ベネスエラ映画と対話の夕べが10月2日夜、東京のセルバンテス文化セントロで催された。オリヴァー・ストーン監督・出演のドキュメンタリー「我が友ウーゴ」(56分)は、故ウーゴ・チャベス大統領の生き方を、腰部癌に罹ってから死ぬまでの期間、撮影し描いている。

 ニコラース・マドゥーロ、ホセ=ビセンテ・ランヘール、エリーアス・ハウーア、ディオスダード・カベージョ、ラファエル・ラミーレス、アダン・チャベス、シリア・フローレスらベネズエラの要人たちが、ストーンからインタビューされる。

 亜国、ボリビア、ウルグアイ、ブラジル、エクアドール、コロンビア、クーバの最高指導者らも同じく登場する。近年のラ米政治地図を理解するうえで興味深い内容だ。

 映画に続いて、3度目の来日を果たしたベネスエラ中央大学(UCV)教授・法学博士のルイス・ブリート氏が、ジャーナリスト伊高浩昭の質問に答えて、チャベスやベネズエラ情勢について語った。

 チャベスについては、「人間的でありすぎ、敵を許した。それが弱さだった」と指摘した。引き続き、会場からの質問に応じた。

 近く「ラテンビート」映画祭で、シモン・ボリーバルの生涯を描く「解放者(エル・リベルタドール)」が上映される。

キューバ医師団がエボラの蔓延するシエラ・レオーネに向かう

 クーバ医療派遣団が10月2日ハバナ空港を出発し、エボラ出血熱が蔓延しているシエラ・レオーネに向かった。医師63人、看護師102人の計165人。

 空港では、ラウール・カストロ国家評議会議長が一人一人と握手を交わし、激励した。ホセ=ラモーン・マチャード副議長兼共産党第2書記ら高官も見送った。

 団員の多くは、国際医療協力を誇る革命クーバの名誉を担う国際主義任務を、既にアフリカで経験している。

ボリビア大統領選挙は現職エボ・モラレス3選の公算大

 ボリビア大統領選挙は10月12日実施される。2日発表の最新支持率調査結果によると、3選を目指す現職のエボ・モラエス大統領(社会主義運動=MAS)が得票率59%で、決選を待たずに当選する公算が大きい。

 2位以下は次の通り。サムエル・ドリーア(民主連合=UD)18%、ホセ・キローガ(キリスト教民主党=PDC)9%、フアン・デルグラナード(恐れない運動=MSM)3%、フェルナンド・バルガス(ボリビア緑の党=PVB)2%。

ベネズエラ政権党の国会議員が惨殺さる

 政権党ベネスエラ統一社会党(PSUV=ペスーブ)のロバート・セラ国会議員(27)と連れ合いマリーア・エレーラが10月1日夜、カラカス市内の自宅で、殺し屋によって刃物で惨殺された。

 ニコラース・マドゥーロ大統領は2日、国会議事堂での告別式で、暗殺と断定した。

 セラはPSUV青年部の指導者で、故ウーゴ・チャベス大統領の申し子のような存在だった。

 カラカス市内では9月、425人が暴力死している。内務省は、セラ殺害事件は一般的な事件ではなく、政治的殺人と見て捜査している。 

2014年10月1日水曜日

キューバが通貨一本化のため高額紙幣発行へ

 クーバ中央銀行(BCC)のエルネスト・メディーナ総裁は9月30日、現行の二重通貨制を一本化する政策の一環として、通貨ペソ(CUP)の流通量を増やし、高額紙幣を発行する、と語った。

 現在、CUPと、兌換ペソ(CUC)が流通しており、公定交換率は、1CUC=1米ドル=25CUP。

 現在の物資・商品の小売価格を維持するのを基本とする。CUC払いでないと買えない高額商品をCUPで売買するとなると、高額のCUP紙幣が必要となる。

 クーバ人労働者の月平均賃金は466CUP。

ラテンアメリカ進歩主義者会合がラ米への不安定化工作を糾弾

 キトで9月29、30両日、ラ米進歩主義者会合(ELAP2014)が、エクアドール政権党パイース同盟(AP)の主催で開かれた。グアテマラ、コスタ・リーカ、ハイチを除くラ米17か国から計37の政党・団体が参加した。

 会合は30日、「キト宣言」を発表、域内の進歩主義政権を支持し、これに介入する帝国主義を糾弾した。また、進歩主義諸国での民主主義を、若者や女性の参加拡大によって一層本質的なものとすることを呼びかけた。

 宣言はさらに、CELAC、ウナスール、ALBAなどによるラ米・カリブ統合努力支持、マドゥーロ・ベネスエラ政権への右翼勢力の介入糾弾、ラ米の一部であるプエルト・リーコの米国による支配糾弾を訴えた。

 宣言は、サイバースパイと生物多様性奪取に対する共同対策策定の必要性、不法に膨大な利益を得ようとしている禿鷹投資会社糾弾、その被害に遭っている亜国政権支持、亜国のマルビーナス諸島領有権の主張支持、米国による対クーバ経済封鎖糾弾と早期解除要求を謳っている。

 会合にはスペイン、ドイツ、ギリシャの政党などが招待され参加した。

ペルーとコロンビアが国境地帯の共同開発で合意

 ペルーのオヤンタ・ウマーラ、コロンビアのフアン・サントスの両大統領は9月30日、ペルーアマソニーア中心地イキートス市で会談し、国境河川プトゥマヨ川流域を中心とする1600kmの両国国境地帯の共同開発について協力し合うことで合意、協定に調印した。

 両首脳はまた、同川流域での麻薬取引、鉱山不法開発などの犯罪を取り締まることでも合意した。

ブラジル大統領選挙は現職ヂウマ・ルセフ再選の公算

 ブラジル大統領選挙は10月5日に第1回投票が実施される。9月30日発表された二つの支持率調査は、いずれも決選投票で現職のヂウマ・ルセフ大統領(労働者党=PT)が当選すると予測している。

 1つの調査は、ルセフ40%、マリーナ・シルヴァ(伯社会党=PSB)25%、アエシオ・ネヴェス(伯民社党=PSDB)20%。決選ではルセフが49%で、41%のシルヴァを制す。

 もう一つはルセフ39%、シルヴァ25%、ネヴェス19%。決選はルセフ42%、シルヴァ38%で、ルセフが当選する。

 ネヴェスが決選に進出した場合でも、45%対35%、50%対41%で、ルセフが勝つ。

 シルヴァは9月半ばまでの調査では、決選で逆転勝利の公算が大きいとされていた。9月後半からルセフに追い抜かれたのは、シルヴァの大企業優先策など新自由主義路線が嫌われたため。

 シルヴァは急遽、労働党政権が12年間続け成果を上げた貧困対策を継続すると表明したが、「政策が定まっていない」と逆に攻撃され、支持率が減少した。

2014年9月29日月曜日

ベネズエラ人の四分の三が経済安定を望む

 ベネスエラの現状に関する最新の世論調査結果が9月28日公表された。75%が経済安定を望んでいるが、24%は経済の現状への不満を表明した。

 民放テレビ「テレベン」の日曜定例番組で、ジャーナリストのホセ=ビセンテ・ランヘール(元大統領)が明らかにした。

 状況の展望では、62%が楽観、37%が悲観。状況の受け止め方は61%が静観、37%が混乱状態。だが現在の状況については、63%が懸念、36%が安心と、懸念が多かった。

 また現在の生活について50%が満足、47%が不満と答えた。さらに「幸福」が59%、「つらい」が37%だった。

 ニコラース・マドゥーロ大統領については、過半数が「統治能力がある」と見ている。

ペルー政府がクスコ州内の地震被災地の移転を検討

 ペルーのオヤンタ・ウマーラ大統領は9月28日、大地震が27日発生したクスコ州内のミスカ村などに90日間の災害非常事態を発動した。

 大統領はまた、被害のひどいミスカを別の地に移転させる計画を検討中だと明らかにした。

 ミスカでは人口750人のうち575人が被災し、8人が死亡、5人が負傷した。145戸の家屋は、すべてが泥を煉瓦状に固めて乾燥させたアドーベ製で、地震にもろい。多くが全半壊した。

 スペイン植民地時代の18世紀に建設されたカトリック教会も崩落した。今回の地震はM4・9だったが、震源がミスカ一帯直下の地中8kmだったため、振動が激しかった。

キューバ政府がゲバラとチャベスの名を香水名にするのを禁止

 クーバ政府は、国営化粧品会社が同国に縁の深い英雄の名前を香水に付けることを禁止した。
9月28日明らかになったところでは、閣僚評議会は26日、ラビオファム社と話し合った後、禁止を発表した。

 同社は先週半ば、「エルネスト」、「ウーゴ」という2種類の香水を将来発売することを明らかにしていた。チェ・ゲバラとチャベス大統領の両故人の名前であることは誰もが知っている。

 閣僚評議会は、革命の英雄は聖なる象徴であり、使うことは許されないとしている。ゲバラとチャベスの遺族は使用を許可しておらず、今回の「無責任な行為に対し、規律化のため、しかるべき措置がとられる」と厳しい。

 ラビオファム社の社長は、カストロ兄弟の姉、故アンヘラ・カストロの息子ホセ=アントニオ・フラガ=カストロ。ラウール・カストロ国家評議会議長、フィデル前議長の甥である。この点からも、この出来事は関心を集めている。

 市場経済原理を導入するなど、経済改革が徐々に進められているクーバだが、「資本制の害悪の蔓延」を防止するのも政権の至上命令であり、今回の香水名命名の一件は「軽はずみ」だったと判断された。

 同社は、両種の香水は開発中だったため、市場に出回ってはおらず、今後、同じ名称で販売されることはない、と表明している。


2014年9月26日金曜日

ボリビアとウルグアイでも10月大統領選挙

 10月にはブラジルの他、ボリビアとウルグアイでも大統領選挙が実施される。12日投票のボリビアでは、現職で3選を狙うエボ・モラレス(MAS=社会主義運動)が支持率54%で、当選する公算が大きい。

 企業家で米国が支援するサムエル・ドリーア=メディーナ(UD=民主連合)は14%、元大統領ホルヘ・キローガ(PDC=キリスト教民主党)は7%で、モラレスに水を開けられている。

 ウルグアイでは26日実施される。政権党拡大戦線(FA)のタバレー・バスケス前大統領が43%、野党国民党のルイス・ラカージェ(元大統領の息子) が33%、野党コロラード党のペドロ・ボルダベリが15%。

 バスケスとラカージェが11月30日の決選投票に進出する公算が大きい。

マリオ・バルガス=ジョサが、場合によってはマドゥーロ大統領暗殺は正当化されると発言

 ペルー人ノーベル文学賞作家マリオ・バルガス=ジョサ(78)はこのほど、居住地のマドリ-で、「ベネスエラ大統領ニコラース・マドゥーロは独裁者だが、まだ野党にとって合法的に対応する余地がある。それが失われたら、天誅を下すことは完全に正当化される」と述べた。

 メキシコ人右翼ジャーナリスト、ホルヘ・ラモスの質問に答えて語った。ラ米には、作家が暗殺を教唆したと受け取る向きもあって、発言は物議を醸している。

 一方、マドゥーロ大統領は25日、1989年2月のカラカス騒乱事件(カラカソ)の死者は3500人と述べた。

 また、プエルト・リコ独立派指導者で、米国の刑務所に長らく収監されているオスカル・ロペスについて、「ラ米のマンデーラ」だと指摘した。

マクリ亜国大統領らの絡む「脱税天国」事件捜査をパナマ政府が開始

 パナマ政府は4月3日、パナマ市にあるモサック・フォンセカ弁護士事務所の電脳網が侵入され「パナマ文書」と名付けられた機密文書が同日の報道で暴かれた事件の捜査に協力すると表明、同日、捜査を開始した。

 同文書は過去数10年に亘る1150万点に及ぶ膨大な量で、世界200カ国・地域にまたがる21万4000企業、現職・元職の国家元首・政府首班72人らが絡んだ脱税天国事件を記している。

 パナマのJCバレーラ大統領は、パナマが脱税関与国名簿に載っていたのを屈辱とし、金融取引の「完全透明化」を優先政策に掲げ、同名簿からのパナマ除外を勝ち取った。それだけに大統領にとって、今回の暴露は極めて不都合な出来事だ。

 弁護士事務所から電脳で盗奪された機密文書は3日、「国際調査報道ジャーナリスト協会」(ICIJ)加盟のメディアによって一斉に報じられた。ウラディーミル・プーチン露大統領、マウリシオ・マクリ亜大統領、「世界一のサッカー選手」リオネル・メッシ(亜国人)、欧州サッカー連盟前会長ミシェル・プラティーニ(仏)、スペイン人映画監督ペドロ・アルモドーバルら数多くの著名富裕層の関与が指摘されている。

 マクリ亜国大統領は3日、父や兄弟と共に家族会社「フレグ商事」の重役を務めていた事実を認めたが、「たまたま重役になっただけで、資本参加せず配当金も受け取っていない」と釈明した。同社はマクリがブエノスアイレス市長だった2009年まで存続した。

 マクリは、07~08年に米国内に銀行口座を持ち、他国にも持っていたと明かしている。マクリは去る1日、ワシントンでの核物資・兵器安保首脳会議で、安倍首相と会談している。今回の事件暴露で、日本側のマクリを見るめも多少変化するはずだ。
 

コロンビア内戦和平交渉が部分合意

 ハバナで和平交渉を続けているコロンビア政府とコロンビア革命軍(FARC)は9月24日、部分的合意文書を公表した。両者が2012年11月交渉を開始してから最初の具体的成果の公表となった。

 文書は65ページで、農地改革、復員者の政治参加、麻薬の3議題についての合意内容が綴られている。それぞれ13年5月、11月、今年5月に基本合意がなされていた。

 現在ハバナでは、第4議題「内戦犠牲者への賠償」が話し合われている。

 フアン・サントス大統領は25日国連総会で演説し、「コロンビアはかつてなかったほど平和に迫っている」と述べ、拍手を浴びた。

キューバ経済相にマリーノ・ムリージョ副首相が復帰

 クーバ経済相が9月25日、アデル・イスキエルドからマリーノ・ムリージョ副首相(53)に代わった。ムリージョは2009~11年、経済相を務めた。イスキエルドは第1副経済相に降格する。

 ムリージョは、ラウール・カストロ議長が推進する経済改革路線の中心的立案者。従来通り、開発・改革実施常設委員会の委員長も務める。

 国内で「改革の遅れ」への不満が高まっており、ラウール議長は前職の大物ムリージョを再度、経済政策の前線に配置したもよう。

2014年9月24日水曜日

ベネズエラ大統領がNYで米政府を厳しく批判

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は9月23日、ニューヨーク・ブロンクスで社会運動家らと会合し、米政府の内政干渉政策を批判し、米国はベネスエラとラ米から手を引け、と述べた。

 大統領はまた、「米国務省は、チャベス前政権からの過去15年間、ベネスエラに対し偽りの宣伝を続けてきた」と前置きし、バラク・オバーマ大統領はベネスエラの街頭暴力の教唆者である極右政治家への連帯を示した、と非難した。

 マドゥーロは、西側メディアの意図的な反ベネスエラ報道運動の存在を指摘し、攻められている我々ベネスエラが犯した唯一の罪は、資本主義を超える経済、政治、社会のモデルを構築しようと夢想し望んだことだ、と強調した。

 大統領は、国連総会出席のためNYに滞在している。

米国は対キューバ政策見直しを、とコロンビア大統領

 コロンビアのフアン・サントス大統領は9月23日ニューヨークのハーヴァードクラブで学究者と財界人を前に講演し、米国の半世紀を超える経済封鎖などの対クーバ政策は失敗したと思う、と前置きし、米政府は対クーバ政策を見直すべきだと語った。

 サントスは、「異なる立場をとる国同士の友好関係は可能であり、私は隣国ベネスエラの故ウーゴ・チャベス前大統領と良好な関係を維持していた」と述べ、米玖間は関係正常化のための交渉機関を設置すべきだ、と説いた。

ブラジル大統領選挙で現職ルセフに当選の公算

 ブラジル大統領選挙(10月5日)の主要候補支持率は9月23日発表の世論調査で、ヂウマ・ルセフ大統領40%、マリーナ・シルヴァ元環境相36%、アエシオ・ネヴェス上院議員17%だった。

 後日実施の決選投票には上位2候補が進出する。ルセフ46%、シルヴァ39%で、大統領の連続再選の公算が大きくなった。

 これまでの調査ではもっぱら決選でシルヴァが勝利する、という結果だった。ルセフは、シルヴァの大企業優先政策など新自由主義路線を厳しく攻撃し、これが奏功してきた。

 別の調査でも、決選でルセフ42%、シルヴァ41%と出た。だがまだ第一回投票まで12日、決選までは一か月余りあり、予断を許さない。

2014年9月23日火曜日

国連が第1回世界先住民会議を開催

 国連総会は9月22~23日の日程で、第1回世界先住民会議を開いた。2007年に採択された「先住民人権宣言」に盛り込まれた事項の実施状況を検証する。1000人を超える先住民代表が出席している。

 この会議の推進者、ボリビアのエボ・モラレス大統領は演説し、国連に感謝するとともに、「先住民運動の原則は、資本制によって害されてきた生命、母なる大地、平和だ」と述べた。ボリビアの先住民は人口の62・2%とラ米最大。

 グアテマラのノーベル平和賞受賞者リゴベルタ・メンチュー、先住民1100万人がいるメヒコのエンリケ・ペニャ=ニエト大統領も出席した。

 国連ラ米カリブ経済委員会(CEPAL=セパル)は、域内先住民に関する報告を発表した。2010~13年に域内で、鉱山開発やダム建設による自然破壊、土地接収をめぐり先住民が抗議し関与する紛争が200件起きた。

 CEPALはまた、域内の先住民人口は826民族、4500万人で、域内総人口の8・3%と報告した。この民族数は、CEPALが06年に報告した数より200増えている。だが絶滅の危機に瀕している民族が少なくない。

 
 
 先住民族は、ブラジル305(うち70は絶滅の恐れ)、コロンビア102(同35)、ペルー85、メヒコ78、ボリビア39(同13)などに多い。域内10カ国では、先住民は農村よりも都市に住む者の方が多い。

 ボリビアやエクアドールでは、先住民の人権や生活が改善されている。だが多くの国では迫害が続いている。

 

2014年9月21日日曜日

「イスラム国」から脅迫されたと、アルゼンチン大統領が告発

 アルヘンティーナのクリスティーナ・フェルナンデス=デ・キルチネル大統領は9月20日、ローマ法王フランシスコに謁見した後、ローマで、イスラム国から脅迫されたため自国の司法当局に告発した、と明らかにした。

 大統領は、同国人である法王と親しいこと、および、大統領がパレスティーナとイスラエルの共存を支持していることから、脅迫された、と表明した。

 この日、法王とは、国際金融制度、亜国経済などのテーマを含め3時間話し合った、という。

2014年9月20日土曜日

メキシコ在住の竹田鎮三郎・邦夫兄弟が東京、山形、名古屋で展示会

 メヒコ在住半世紀の竹田鎮三郎画伯(79)と「メヒコの愛弟子たち展」が9月18日、神宮前の国連大学斜め裏にあるプロモアルテで開かれた。22日まで続く。

 私は画伯とはメヒコ時代以来47年の付き合いで、オアハーカ産のメスカルを呑みながら、懐かしい再会を果たすことが出来た。80歳直前だが若くはつらつとしており、それがメヒコのお陰であるのは疑いないが、画伯も現代の怪物の一人だ。

 鎮三郎はオアハーカ市にあるオアハーカ州立ベニート・フアレス自治大学で美術学部長を長らく務めており、最近、名誉博士号を授与された。

 出品している4人の弟子は皆オアハーカ州内で生まれた40代半ばのメヒコ人の男性ばかり。作風には、明らかに竹田の影響が見られる。

 現在「メヒコの大地・生命への讃歌 竹田鎮三郎展」が、山形県酒田市の酒田市美術館で開催中。9月13日に始まり、10月19日まで。

 一方メヒコ在住42年の竹田邦夫(65、鎮三郎の実弟)は彫銀師。9月23日~10月4日、新宿区荒木町の画廊「ゑいじう」で、「竹田邦夫彫銀展」を開く。オパロ(オパール)をちりばめたブローチなどが素晴らしい。電話3356-0098。

 10月17~19日は、場所を中野区上高田の「土日画廊」に移して彫銀展を開く。電話5343-1842。

 竹田兄弟は、愛知県瀬戸市出身で、名古屋市でも展示会を開く。

アルゼンチンの貧困層は厚く、衝撃療法は打撃甚大

 世界銀行は9月19日、アルヘンティーナ経済について報告し、貧困層が厚いため、経済健全化のために衝撃療法を採れば打撃が大きくなる、と指摘した。

 亜国の貧困層は33%。日収4~10米ドルの市民が該当する。日収が4ドル未満の極貧層は10・9%。

 世銀は、亜国の貧困対策向けとして2015~18年に計10~12億ドルを融資する方針を決めた。農業取引、農村学校教育、保健、上水道敷設などに回される。

 世銀は過去に45億ドルを亜国に融資していた。だが米財務省が、対外債務返済問題を巡って融資を停止するよう横槍を入れたため、融資は止まっていた。

2014年9月19日金曜日

LATINA誌10月号「乱反射」は英領ジブラルタル特集

 ◎最近の伊高浩昭執筆記事

★月刊LATINA10月号(9月20日刊)
 「ラ米乱反射」第102回 「300年-かくも長き<スペインのジブラルタル(ヒブラルタル・エスパニョール)>不在」、「国土回復の悲願横目に現地住民は英領継続を望む」(写真6枚掲載)

 「書評1」:『ユリイカ』7月「ガルシア=マルケス」特集号

 「書評2」:『国策通信社「同盟」の興亡-通信記者と戦争-』(鳥居英晴著、花伝社)

★週刊読書人9月19日号「書評」:『国策通信社「同盟」の興亡-通信記者と戦争-』(同上)

★月刊「世界」10月号(9月8日刊、岩波書店)「世界の潮」:「ベネスエラ最新情勢」

★週刊金曜日8月29日号「きんようぶんか」欄「書評」:『国策通信社「同盟」の興亡-通信記者と戦争-』(同上」)【※同じ本の書評を重複部分を少なくして3本書き分けた。】

パナマ外相がキューバ議長を米州首脳会議に招待

 クーバのラウール・カストロ国家評議会議長は9月18日、ハバナでパナマ副大統領兼外相イサベル・デサンマロと会談した。その際、来年4月パナマで開かれる第7回米州首脳会議への招待を受けた。

 パナマ外相は、これに先立ち、クーバのブルーノ・ロドリゲス外相と会談した。外相会談の共同声明には、クーバは同招待を建設的に受け止めた、と記された。パナマは11月、クーバに正式の招待状を送ることになる。

 デサンマロは記者団から、クーバ招待は対米関係に問題を生じさせるのではないか、と問われ、「そうなる理由が見当たらない」と否定した。

 共同声明には、クーバ側の意向で、CELAC、イベロアメリカ首脳会議、ラ米統合機構(ALADI)などがLAC(ラ米・カリブ)統合を話し合い推進する場として重要、との文言が盛り込まれた。

チリ警察が爆発物仕掛けた容疑者を逮捕

 チレ内務省は9月18日、過去数月間に首都サンティアゴの地下鉄車内や駅構内商店街などに爆発物を仕掛け負傷者を出した犯行の容疑者として、無政府主義集団の3人を同日逮捕した、と発表した。

 3人は22~24歳の男女で、「火(銃撃)の細胞の陰謀」を名乗る小組織の要員。容疑者はさらにおり、逮捕者は増えるという。

2014年9月18日木曜日

パナマ外相が次回米州首脳会議へのキューバ議長出席を働き掛け

 パナマのイサベル・デサンマロ副大統領兼外相は9月18日キューバを訪問し、来年4月10日パナマで開かれる第7回米州首脳会議にラウール・カストロ国家評議会議長が出席するよう交渉する。

 この会議は米州諸国機構(OEA)加盟34カ国の首脳会議。キューバは革命後の1962年、米国の圧力で加盟資格停止となり、以来、OEAとは縁を切ってきた。

 09年の第5回米州首脳会議で資格停止処分は解除されたが、OEAを「米国のラ米支配の道具」と見なすキューバは復帰する意思を示していない。

 キューバにとっては、米国とカナダの北米両国を除外したラ米・カリブ諸国共同体(CELAC)が重要。ベネスエラの故ウーゴ・チャベス大統領が推進し2011年12月実現したCELACの第2回首脳会議を、キューバは今年1月ハバナで成功裡に開いている。

 パナマでは7月、親米右翼の財界人大統領リカルド・マルティネリから中道のフアン=カルロス・バレーラに代わった。バレーラは就任後早い段階で、次回米州首脳会議へのラウール出席を招待していた。

 背景には昨年12月のネルソン・マンデーラ元南ア大統領の国葬の場で、バラク・オバーマ米大統領が歩み寄ってラウールと握手した事実がある。また「米州35カ国全首脳が出席する初の首脳会議」を開催したいバレーラの思惑もある。

 デサンマロ外相は、キューバの立場を考慮し、巴玖外相会談後の共同声明に「CELACの重要性」を盛り込むことに同意している。

ハイチ沖の難破船はコロンブスの船か?期待膨らむ

 今年5月ハイチ近海で発見された難破船の残骸がクリストーバル・コロン(コロンブス)の旗艦サンタマリーア号のものである可能性が膨らんでいる。

 サンタマリーア号は1492年12月、ハイチ北岸沖の水深3~4・5mの浅海で座礁した。コロンブスはハイチ北岸に砦を建設したが、難破船の板や柱などを砦建設に用いた、とされる。

 発見された遺物には15世紀製の大砲があり、これが有力な手がかりになるという。他の遺物を含め鑑定が進められている。

 発見者の米国人バリー・クリフォード(68)は、サンタマリーア号と判明すれば世紀の大発見となる、と期待している。

ニカラグア運河建設予定地での住民調査が緊張

 ニカラグア「大運河」の建設工事を担う中国系会社HKNDは8月以降、建設路線一帯の住民調査を進めている。調査実施中の南部のリバス県で緊張が高まっている。

 調査は、土地接収に備え、賠償、土地交換、引っ越しなどの実施に必要な資料を得るためとされる。

 リバス県の路線住民の多くは、オルテガ政権の党FSLNの支持者だが、先祖伝来の土地を失いたくないことや環境汚染の恐れが強いことから、工事に反対している。

 調査現場では、「政府は中国におもね、ニカラグア人を疎かにしている」、「中国人よ立ち去れ」などの非難の声が聞かれた。政府は調査団に軍と警察の要員を同行させている。

 HKNDは年末に着工する、と発表している。

ホンジュラスの最近のデング熱患者は2万人に迫る

 オンドゥーラス保健省は9月17日、デング熱患者は今週1169人増え、過去36週間の患者数は1万9175人に達した、と発表した。

 中部のフランシスコ・モラサン県一帯に患者数が集中している、という。

コロンビア内戦の今年の戦況を大統領が発表

 コロンビアのフアン・サントス大統領は9月17日、今年1月以来、内戦の戦闘および待ち伏せ攻撃などで政府軍兵士と警官が計177人死亡し、533人が負傷した、と発表した。

 その間、ゲリラは210人が死亡、2010人が逮捕され、903人が組織を離れた。

 本来ならば国防相や内相が発表すべき統計を大統領がわざわざ発表したのは、ハバナで継続中の政府とコロンビア革命軍(FARC)の和平交渉を政府が有利に進めていることを印象づけるためだ。

2014年9月16日火曜日

ミゲル・リティンの映画「迷路の中のアジェンデ」が11月公開へ

 チリ人映画監督ミゲル・リティンの最新作「アジェンデ・エン・ス・ラベリント」(迷路の中のアジェンデ)の撮影がほぼ終わり、11月公開される。

 故サルバドール・アジェンデ大統領が、軍事クーデターの発生した1973年9月11日、自殺する前の7時間をどのように過ごしたか、が主題。チレ人俳優ダニエル・ムニョスがアジェンデ役を演じている。

 作品は、完全なドキュメンタリーではなく、事実を基に虚構を加えたドキュドラーマ。

 今年のクーデター41周年記念日の9月11日、例年通りサンティアゴをはじめ各地で旧軍政への抗議行動が展開された。ミチェル・バチェレー大統領は政庁(モネーダ宮)で、チレには暴力も恐怖も入る余地はない、と述べ、過去の恐怖政治を糾弾した。

 大統領は、1978年にピノチェー軍政が制定した「恩赦法」の廃止実現に努める、と述べた。廃止法案は2006年に国会に提出されたが、そのままになっている。これを審議して成立させる方針。

 人道犯罪に時効はない、というのが国際通念になっている。73~78年の間に起きた人道犯罪の責任者を無処罰免罪にする同法の存在に拘らず、これまで犯罪責任者らが裁かれ投獄されてきた。

 だが、悪法が依然廃止されていないのは民主が定着した時代にそぐわない、としてバチェレーは同法廃棄の方針を打ち出した。

 この日、若者や暴徒が暴れ、女性一人が銃弾を受けて死亡、逮捕者、負傷者が出た。

ブラジル大統領選挙は新自由主義派に依然勝機

 ブラジル大統領選挙(10月5日実施)の最新の支持率調査によると、候補者11人のうち、有力3者の支持率は、労働者党(PT)ヂウマ・ルセフ大統領36%、ブラジル社会党(PSB)マリーナ・シルヴァ元環境相27%、ブラジル民主社会党(PSDB)アエシオ・ネヴェス上院議員15%。

 上位2人が決選投票に進出し、シルヴァがネヴェス票を加えて42%、ルセフが41%で、シルヴァ当選の可能性が依然続いている。

 シルヴァは「新政策」として公約を打ち出しているが、それは新自由主義経済政策への回帰であり、PSDBのカルドーゾ元政権の政策と同様、大企業優先策が際立っている。

 シルヴァが勝てば、ルイス・ルーラ前大統領から12年間続いてきたPTの「民主革命」路線の成果が失われる公算が大きい。このため、「解放の神学」派神学者レオナルド・ボフら進歩派知識人はルセフ支持に回っている。

マドゥーロ・ベネズエラ大統領支持率は54・3%

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領の支持率は、最新の世論調査では54・3%だった。21・3%は辞任を求めている。

 別の設問で、36・6%は2019年の任期満了を待つ、と答えた。7・6%は来年9月の国会議員選挙の結果を待つ、36・6%は、2016年の大統領罷免の是非を問う