2014年3月5日水曜日

『アイヌ文化の実践 ≪ヤイユーカラの森≫の20年(上)』を読む

 札幌市に「ヤイユーカラの森」という組織がある。「自ら行動する人々の森」という意味だ。アイヌ文化をアイヌ自ら調査・研究し継承していくのを目的に、1992年結成された。以来20年間に刊行された同名の会報(季刊)を2001年発行分までまとめてある。この会の運営委員長計良光範(けいら・みつのり)編。

 アイヌ、先住民族、差別など国内問題の記述だけでなく、世界中の先住民族の在り方や問題を交流を通じて紹介している。ブラジル・アマゾニーアの先住民族ヤノマミ、グアテマラのマヤ、メヒコのマヤ系EZLN(サパティスタ民族解放軍)など、ラ米の先住民族の問題もしばしば登場する。ラ米学徒にとっても極めて興味深い本だ。

 巻末には「アイヌ史略年表」が付いている。(下)は今秋刊行の予定。発行所は、ヤイユーカラの森。