2014年7月25日金曜日

チリ検察が「ピノチェー公金横領事件」で6人を起訴

 チレ検察は7月24日、旧軍政独裁者アウグスト・ピノチェー(故人)の公金横領事件に関与した陸軍退役将軍3人、同大佐3人を公金横領、詐取などの容疑で起訴した。

 事件は2004年7月、米上院が米リッグス銀行にあったピノチェー隠し口座の存在を暴いたことで明るみに出た。このため「リッグス事件」とも呼ばれる。ピノチェーは1994年から隠し口座を使っていた。当初、隠し資金は2700万ドルに及ぶとされたが、今回の起訴では2130万ドルとされている。

 検察はピノチェーを起訴したが、本人は06年12月、91歳で死去した。元独裁者は、死によって公金横領、人道犯罪、旅券偽造の罪を免れた。

 検察は、ピノチェー未亡人と5人の子供を起訴したが、13年8月、それらの起訴を取り下げた。遺族は、ピノチェーが残した豪邸、別荘、アパルタミエントなどを相続しているが、これらの不動産総額もピノチェーの財力をはるかに超えている。

 ピノチェーは公金横領が明るみに出たことで「大統領経験者資格」を剥奪され、一時自宅軟禁状態となり、権威が完全に失墜した。

 6人の元陸軍高官は、「ピノチェーの私設秘書のごとく」立ち振る舞い、公金650万ドルを横領して隠し口座に入れた 容疑などで起訴された。検察は10年間の調査・捜査によって、この日の起訴にこぎつけた。

 だが、遺族が誰も罪を咎められず遺産を享受していることに、世論の反発は強い。