2014年12月21日日曜日

米軍侵攻25周年に際しパナマ政府が調査開始へ

 パナマは12月20日、米軍軍事侵攻25周年記念日を迎え、パナマ市内のエル・チョリージョ地区を中心に追悼行事が催された。米軍に殺害された市民らの遺族は中心街から、パナマ運河に近い同地区まで行進し、式典に臨んだ。黒服姿で歩くことから「黒い行進」と呼ばれる。同地区では米軍の爆撃で多数の市民が殺された。

 フアン=カルロス・バレーラ大統領は同地区に建立されている犠牲者追悼碑に花輪を捧げ、黙祷した。1990年の記念日以来、大統領が追悼行事に参列したのは初めて。

 米国のジョージ・ブッシュ(父)大統領は、「米国の秘密を知りすぎた男」マヌエル・ノリエガ将軍を米国に連行し、米国に都合の悪い機密資料などを破壊するため侵攻した。侵攻作戦には皮肉にも「正当な大義」と、正反対の名前が被せられた。

 これまでの大まかな調査では、侵攻で殺されたパナマ人は5000~8000人とされる。政府は正式に調査したことがなく、犠牲者数は依然不明。

 遺族会のトゥリニダー・アヨラ代表は、バレーラ大統領に、12月20日を「国喪の日」に指定すること、犠牲者・不明者数確定、米国への賠償・謝罪要求、記念館開設などを訴えた。

 大統領は調査委員会を設置し、アヨラ代表の要請のすべてを調査項目に含めると約束した。委員長には、イサベル・デサンマロ副大統領兼外相が就任する。

 ノリエガ将軍は1990年初め米軍によってマイアミに連行され、麻薬取引罪などで禁錮20年に処せされた後、フランスで2年間収監され、帰国後はパナマで暗殺命令罪などで長期刑に服している。