2014年12月7日日曜日

メキシコ不明43学生の一人の身元が判明

 メヒコ政府当局者は12月6日、拉致され行方不明になっている学生43人のうちの一人の遺体の身元が確認された、と明らかにした。検察庁は7日記者会見し、正式に発表する。

 政府は、オーストリアのインスブルック大学法医学研究所に遺骨のDNA鑑定を委託していた。同研究所は5日、メヒコ政府および、メヒコに派遣されているアルへンティーナ法医学調査団に報告した。亜国調査団は同日夜、遺骨の身元が判明した学生アレクサンデル・モラ(19)の遺族に事実を伝えた。

 拉致事件は9月26日、ゲレロ州イグアラ市で発生した。同市で募金活動をし約100km南方のアヨツィナパ農村教師養成学校にバスで帰ろうとしていた学生約80人をイグアラ市警と近隣のコクーラ市警の警官隊が襲撃、3人を殺害、二十数人に重軽傷を負わせた。43人を拘禁し、身柄を地元の麻薬マフィアに引き渡した。

 マフィアはコクーラのゴミ捨て場で43人を殺害し、遺体を燃やしてから袋詰めにし、近くの川やごみの中に投棄していた。

 学生一人の身元が判明したことで、事態は重大局面に入った。「全員生還」とエンリケ・ペニャ=ニエト(EPN)大統領辞任を求める抗議行動が全国各地で続いているが、5~6日、首都メヒコ市では4000人の農民が騎馬やトラクター43台を連ねて抗議行進した。

 これはメヒコ革命(1910~17)で活躍したエミリアーノ・サパタ、パンチョ・ビーヤらの農民軍に倣っている。「貧農派革命」の潮流は今も、農村部に流れている。事件犠牲者が農村教員を志す学生だったため、連帯している。

 一方、ベラクルスでは8~9両日、第24回イベロアメリカ首脳会議(23カ国加盟)が開かれる。メヒコ政府は、学生事件が会議に影響することはない、と6日表明した。