2015年3月28日土曜日

メキシコの教員養成学校生43人失踪事件から半年

 メヒコ・ゲレロ州アヨツィナパの教員養成学校生43人が昨年9月、同州イグアラ市で強制失踪に陥れられてから3月26日で半年経った。当局は容疑者104人を逮捕したが、事件の真相は未解明で、責任者も処罰されていない。

 この日、全国各地で事件半年を記念する抗議行動が展開された。首都メヒコ市では、学生の家族、支援者ら1500人が学生たちの顔写真を掲げて中心街を行進した。

 デモ隊は「学生は生きている、闘争は続く」、「国家犯罪糾弾」などと書かれたプラカードを掲げ、政府に事件の全貌を一刻も早く解明するよう要求した。

 米州諸国機構(OEA)の米州人権委員会(CIDH)派遣団がメヒコ政府の事件解明作業に協力しているが、メヒコ検察庁は「麻薬組織の殺し屋が43人を殺し遺体を焼き川に捨てた」という結論を下している。CIDHは検察庁に捜査続行を勧告している。

 学生の家族らは、6月7日実施されるゲレロ州会議員選挙と州内での国会議員選挙が「ナルコポリティコ(麻薬に汚染された政治家)を選ぶことになる」として、選挙中止を求めてる。

 しかし事件から半年、熱く沸騰していた内外世論が覚めたのは否めず、家族や支援者は焦燥の色を隠せない。「時が経てば忘れられる」というのが、まさにエンリケ・ペニャ=ニエト大統領らの戦略だ。

 事件には、殺し屋だけでなく、イグアラ市長夫婦、イグアラ市警、イグアラ駐屯陸軍なども関与した。この点、特に陸軍関与の解明が遅れている。