2015年5月30日土曜日

米政府がキューバを<テロ支援国家指定>から外す

 米政府は5月29日、規定方針通り、「テロリズム支援国家指定」からクーバを外した。早ければ6月の国交再開に弾みがついた。

 問題は、日本紙の報道ぶりだ。あたかもクーバがテロを積極的に支援し、それが「正義の味方米国」にとって制裁されていたかのような書きっぷりが数なくない。

 クーバにしてみれば、革命後のおびただしい回数の破壊活動、対人テロ、フィデル・カストロら要人暗殺未遂、ヒロン浜侵攻、空爆など、クーバに対しテロや破壊活動を恣にしていたのは米国だった。この点に全く触れずに書くから、記事に重みがない。

 クーバ航空旅客機空中爆破事件の主犯ルイス・ポサーダ=カリーレスをマイアミで匿っているのも米当局である。

 「テロ支援国家指定」は、レーガン米政権が1982年、スペインの「バスク国と自由」(ETA)およびコロンビア革命軍(FARC)の要員を匿ったり支援したりしているとしてクーバに適用した。

 だが当時、レーガン政権はサンディニスタ・ニカラグア政権を倒すため、隣国オンドゥーラスで反革命(コントゥラレボルシオナリア)ゲリラを編成し攻め込ませ、1980年代のニカラグアを内戦に陥れた。

 このような政府によるテロを国家テロと呼ぶが、クーバや国際社会から見れば、玖米両国を比べた場合、「テロ支援国」は明確に米国だった。

 米国による対玖経済封鎖についても、「経済制裁」と書く記者たちが多すぎる。米政府でさえ「エンバーゴ」(禁輸など)と言う用語を使い、必ずしも「サンクション」(制裁)ばかりを使っているわけではない。

 クーバは「ブロケオ」(封鎖)を使うが、「制裁」などを受けるいわれもなければ、米国に他国を「制裁」する特権があるなどと全く認めていないからだ。

 若い記者らに勉強を促したい。東西冷戦後の対米軍事同盟一辺倒の時代に育った日本人記者の多くは、日本政府同様に、対米従属に違和感を抱いていないかに見える。

 軍産複合体が戦前の日本を帝国主義に導き、日本を破滅させた。いままた同じ道を日本が歩もうとしている。記者の報道ぶりをみていると、政府の暴走にブレーキをかける役割が役不足と映り、心もとない。

 一方、ブルーノ・ロドリゲス玖外相は28日、米共和党下院議員団と会合、国交再開について話し合った。経済封鎖解除が大使級外交関係再開後の最重要課題となる。