2015年12月20日日曜日

キューバ難民問題めぐりコスタ・リカが中米政治会合参加を停止

 コスタ・リカ(CR)のルイス・ソリース大統領は12月18日サンホセで記者会見し、中米統合機構(SICA=シカ)の政治会合参加を無期限停止する、と発表した。

 大統領は同日サンサルバドールで開かれたSICA首脳会議に出席したが、CRが切り出した、米国行き希望のクーバ人経済難民問題の実効ある解決策を会議が真剣に討議しなかったとして、参加停止に踏み切った。だがCRはSICAの経済、通商など他分野には従来通り参加する。

 CR国内には、クーバ人難民がニカラグア国境地帯に5989人、パナマ国境地帯に2053人がいる。ソリース大統領は「中米3国が解決を阻んでいる」と非難したが、それは同難民の入国と領内通過を認めないニカラグア、グアテマラ、ベリーズを指す。

 大統領はSICA会議で、問題解決のため中米に「人道回廊」を開こうと訴えたが、グアテマラは「(米国への入り口である)メヒコが受け入れを保障しなければ我が国に留まってしまう。ただでさえ今年10万人を超える難民がグアテマラを通過した」と異議を唱え、クーバ人が(政治難民でなく)経済難民である点も共感を得にくいとの見方を示した。

 ニカラグアは会議で、米政府が米領に足を踏み入れたクーバ人に定住権を与える「キューバ調整法」を維持しているため難民問題が起きるとして、「CRから米国へのクーバ人空輸」を提案したが、会議は議題として取り上げなかった。

 CR大統領は、今後はクーバ人経済難民に査証を発給しない、と表明した。問題の背景には、玖米復交で「キューバ調整法」が廃止されるのではないかとの観測が、正規の米移住手続きを待てないクーバ人の間に拡がったことがある。この種のクーバ難民は今年4万5000に達している。