2015年12月16日水曜日

コロンビア政府とFARCが犠牲者賠償と責任者断罪で合意

 ハバナで内戦終結のための和平交渉を続けているコロンビア政府と、ゲリラFARC(コロンビア革命軍)は12月15日、和平議題のうち妥結が最も困難と見なされてきた「内戦人道犯罪などの被害者・犠牲者への賠償と正義(法的断罪)」で合意が成立した、と発表した。

 5項目の「統合的制度」合意は、①真実究明委員会設置②行方不明者捜索特別部隊編成③和平特別法制(JEP)制定④統合的賠償制度確立⑤内戦人道犯罪を繰り返さない保障-。

 JEPは9月23日の和平合意で決まっていたが、人道犯罪に直接・間接的に関与した政府治安部隊とFARCの双方の当事者も断罪の対象と明記されたのが新しい。

 この点で譲歩したFARCは、政府軍の補完勢力だった極右殺戮部隊パラミリタレスの「解体・断罪」を勝ち取った。

 2012年に始まった和平交渉で、農地、政治参加、麻薬の3議題に次ぎ、今回の賠償が合意された。残るは、FARCの武装解除、復員、検証を含む「最終停戦」だ。

 一方、コロンビア国会は14日、和平合意承認の是非を問う国民投票実施、およびJMサントス大統領に和平合意実施のため政令を発する特権を与える法案を可決した。下院は可決済みで、憲法裁判所の合憲性の確認作業を経て大統領が署名すれば発効する。

 フアン・クリスト内相は、2016年前半に法的整備が整えば、その後に国民投票が実施されると展望した。サントスは、「コロンビアは来年、戦争のない国として夜明けを迎える」と語った。

 サントスは15日カリ市での第4回コロンビア・エクアドール(赤道国)合同閣僚会議にラファエル・コレア赤大統領とともに出席、アンデス共同体のコロンビア、ペルーの先進両国が欧州共同体(EU)と結んでいる特恵関税を含む多目的協定への赤国加盟を支持すると表明した。サントスはまた、赤国は、コロンビア、ペルー、チレ、メヒコで構成する太平洋同盟(AP)の加盟候補国だと指摘した。

 両国合同閣僚会議では、治安、防衛、基礎構造、教育、通商、環境、スポーツなどで両国統合的な協力関係を樹立することで合意した。