2016年1月1日金曜日

読者への挨拶と、2016年ラ米情勢展望

 2016年元日に際し、このブログ「現代ラテンアメリカ情勢」を善意をもって読む読者の皆さんに「謹賀新年」と挨拶の言葉を送ります。

 今年のラ米は荒れ模様です。1月5日に新国会が始まるベネスエラでは、政権と、野党が圧倒的多数を握る国会に「ねじれ」が生じ、激しい鬩ぎ合いが続くでしょう。憲法で保障された大統領罷免の是非を問う国民投票もありうるでしょう。

 アルヘンティーナのマクリ保守・右翼政権は、ペロン派前政権が12年間に亘って積み重ねてきた行政の実績を大急ぎで潰しにかかっています。国論は二分され、先鋭化していくでしょう。

 コロンビアは3月23日の内戦終結合意実現を目指して、政府とFARCが相互停戦、武装解除など最後の難題の交渉に取り組みます。ハバナでの交渉を注視します。

 ブラジルは、ヂウマ・ルセフ大統領弾劾の動きがカーニヴァル明けの2月、国会でどう展開していくかが最大の焦点です。

 ボリビアは、エボ・モラレス大統領の4選出馬を可能にするための改憲国民投票が2月21日実施されます。否定されれば、2020年まで続くモラレス政権は勢いが陰るでしょう。

 エクアドールのコレア政権は、南米諸国の保守化・右傾化を横目に、日和見主義的施政を一層鮮明にするでしょう。そのくらい慎重な舵取りが必要になっているわけです。

 ペルーでは4月10日、大統領選挙が実施されます。ケイコ・フジモリが決選に進出し当選するか否かが焦点です。

 チレは、銅収益の10%を軍備に回す「銅収益指定法」の廃止が成るかどうかです。新憲法制定の動きがどこまで進むかも重要です。

 パナマでは、今年半ばの運河第3水路開通が待たれます。ニカラグアは2014年12月に建設工事が始まった「大運河」の「実現可能性」がどこまで形をとるかが関心の的です。

 グアテマラでは1月14日、喜劇役者出身のジミー・モラレス大統領が就任します。伝統的支配勢力の傀儡になりそうなのが懸念されています。

 メヒコは、大統領夫人の邸宅腐敗疑惑、真相解明が進まない学生43人強制失踪事件、麻薬王脱走などで威厳を失ったEPN大統領の下で、経済不調も手伝って、施政は混迷の度を深めていきそうです。

 ハイチは、大統領選挙の不正が繰り返され、決選が無期限延期されたまま越年しました。米国の事実上の植民地支配下にあり、心ある市民には苦しく厳しい日々が続くでしょう。

 クーバは4月16日、第7回共産党大会を開きます。党中枢人事と中期的政策に関心が集まっています。Bオバーマ米大統領の訪玖があるでしょう。

 南米右傾化を歓迎する米国では11月、次期大統領が決まります。ラ米は、それを待っています。米植民地プエルト・リコの将来が決まるのも新新政権の下ででしょう。