2016年1月16日土曜日

3大陸人民連帯機構(OSPAAAL)が発足50周年迎える

 ハバナリブレホテルの「連帯の広間」で1966年1月3~15日、第1回アジア・アフリカ・アメリカラティーナ3大陸人民連帯会議(略称「トゥリコンティネンタル」)が開かれ、最終日に、同3大陸人民連帯機構(OSPAAAL=オスパアール)が結成されてから15日で50年が過ぎた。

 この会議には、発展途上82カ国の代表512人と招待者270人が参加、この種の国際会議として当時、史上最大規模となった。当時のフィデル・カストロ首相が会議議長を務め、「クーバ革命路線の優位性」を決議した。

 機関誌「トゥリコンティネンタル」は当時、最も進歩的・革命的かつ重要な国際刊行物だった。1967年4月16日発行の同誌特別号は、ボリビアで戦っていたチェ・ゲバラの論文「二つ、三つ、数多くのヴェトナムをつくること、これが合言葉だ」を載せた。

 機構は、3大陸代表各一人とクーバ代表の4人で構成される「国際執行書記局」が運営を主導。1998年には、国連経済社会理事会の諮問資格を持つ国際NGOとなった。
 
 ハバナにある機構本部のルールデス・セルバンテス事務局長は1月13日、「21世紀の今も植民地主義と呼ぶことのできる支配形態がある」と指摘。実例として、米植民地状態から抜け出せないでいるプエルト・リコ、イスラエルから虐げられているパレスティーナ、モロッコに占領されている西サハラ、英植民地マルビーナス(フォークランド)諸島を列挙した。

 ハバナでは会議開催と機構発足の半世紀を記念して、いろいろな行事が催されつつある。ラウール・カストロ国家評議会議長は15日、祝辞で「第三世界の進歩主義勢力の団結と連帯に恒久的に関与する機構」を讃えた。これをJRバラゲール共産党国際局長が代読した。同局長は機構に関与してきた功績により表彰された。

 党機関紙グランマは、「南からの統合を推進して半世紀」の見出しで機構を讃えた。 

 共産党は今週ハバナで中央委員会全体会議を二日間開き、4月16日始まる第7回党大会に提出される文書内容などについて討議した。党機関紙グランマが15日報じたところでは、「社会主義発展のためのクーバ経済社会モデルの概念化」が討議された。

 また経済構造上の問題の解決策として「2030年までの経済社会開発計画」が討議され、「国家展望、戦略基軸、戦略目的、戦略部門」についての報告内容が吟味された。

 2011年4月の第6回党大会で決まった「党・政府の経済社会指針」の実施状況も検証された。これにより、指針313項目のうち21%が実施され、77%が実施過程にあることがわかった。

 全体会議では、国際経済関係担当のリカルド・カブリーサス副首相がクーバの対外債務返済状況と政策について説明した。

 メヒコのイルデフォンソ・グアハルド経済相は14日、圧縮天然ガスの対玖輸出開始について検討を始めた、と明らかにした。昨年11月初めラウール議長がメヒコ公式訪問としてユカタン州都メリダを訪れた折、メヒコ石油会社(PEMEX)が同議長に輸出を持ちかけた。

 メヒコは天然ガスが不足しており、米国からの輸入で補っている。なのに輸出とはと新聞から批判されているが、一方には、このまま何もしなければ早晩クーバ家庭の台所の火力は米国産天然ガスに凌駕されることになる、との危機感がある。

 PEMEXは機能の一部が民営化され、民間投資も為されているが、投資家は新しい投資先の一つとしてクーバを考えているという。

 カマグエイ州では今月から、国内在住のクーバ人のため、旅行部門での通貨ペソ(CUP)の使用が認められている。クーバ人は観光地で施設などを利用する場合、ペソを米ドルと等価の兌換ペソ(CUC)に換えなければならず、不満が高まっていた。

 米商業会議所のトーマス・ドノウエ会頭は14日、ワシントンで2016年の世界経済について講演し、米玖国交再開以来、要人往来や商取引が増大、経済関係は拡大してゆくと展望した。対玖経済封鎖については、国(政府)が民間経済活動を規制するのに反対する立場から、封鎖解除への賛意を表した。

 コスタ・リカ(CR)で足止めを食らっていた約8000人のクーバ経済難民のうちの180人は第1陣として12日、空路CRを経ちエル・サルバドール(ES)首都サンサルバドールに着き、同市からバス4台に分乗してグアテマラを縦断、13日未明メヒコのタパチュラ国境を通過した。

 メヒコ当局は20日間有効の通過査証を与えたが、180人のうち手持ち資金に余裕のある12人は15日、空路テキサス州ラレードに到着、米政府の優遇法制「キューバ調整法」により入国を許された。他の難民も陸路で16日までにラレードに到着した。多くはマイアミなど親類縁者の待つフロリダ州に向かう。

 今月18~19日、アイチでカリブ諸国連盟(AEC)の外相会議が開かれる。クーバはアイチに代わって輪番制議長国となる。

 15日、革命第一世代のペドロ・、ミレー=プリエト(88)が死去した。1953年のモンカーダ陸軍兵営襲撃に参加し、ピノス島に収監された。恩赦されメヒコに亡命したがメヒコ警察に逮捕され、56年11月のグランマ号遠征には参加できなかった。

 その後、革命戦争に参加、59年の革命勝利後、革命軍相ラウールを副相として支えた。農相、工業相、共産党政治局員、国家評議会副議長などを歴任し、2009年引退した。改革に乗り気でない保守派と目されていた。