2016年1月30日土曜日

メキシコ連邦区(DF)が「都市メキシコ」(メキシコ市)になる

 メヒコ独立以来200年近く、メヒコ政府の直轄下にあったメヒコ連邦区(メヒコDF、人口885万人)が1月29日の改憲公布により30日、「シウダー・デ・メヒコ」=都市メヒコ=メヒコ市となった。第32番目の「州」として自治権を持つことになる。

 だが引き続き、行政府(大統領政庁)の置かれている「メヒコ連邦首都」としても機能する。メヒコ市の略号「CDMX」も公認された。

 自治憲法を策定する制憲議会選挙は6月5日実施される。定数は100人で、一般選挙で選ばれるのは60人だけ。あとの40人はメヒコ市長と大統領が6人ずつ、28人は連邦議会がそれぞれ任命する。

 制憲議会は9月15日開設され、2017年にメヒコ市憲法を制定、同年9月、憲法は公布される。それまでメヒコ市は、従来通り連邦政府の法制化に置かれる。

 憲法制定後、メヒコ市を構成する12支庁は自治市となる。ちょうど東京都と23区のような関係になる。メヒコ市長は都知事のような州知事権限を持つ。メヒコ市長・議会議員と12市長・市議会は選挙で選ばれる。各市議会は議員10人で構成される。

 ワシントンDCに倣って「メヒコDF」となっていた首都は、かつては「メヒコ県」とか「メヒコ盆地県」などと呼ばれていた。1997年に初めてDF長官が公選制となり、連邦野党「民主革命党」(PRD)が長官の座を維持し、しばしば連邦政府と対立した。

 だがミゲル=アンヘル・マンセーラ現市長はPRDから出馬しながら、連邦政権党「制度的革命党」(PRI)寄り。PRIに協調するマンセーラの強い働きかけで、今回の改憲が実現した。

 マンセーラは2018年の次期大統領選挙への出馬を狙っている。PRDから分派した改革派の「国民刷新運動」(MORENA=モレーナ)を率いるアンデレス=マヌエル・ロペス=オブラドール(AMLO=アムロ)とは政敵同士。メヒコ市の12市ではMORENAが勢力を張っている。

 制憲議会議員100人のうち40人を市長、大統領、連邦議会が任命することになったのは、MORENA排除の狙いも持つ。公選される60人のうちMORENAが何議席獲得するかに早くも関心が集まっている。

 なおブラジルの首都ブラジリアは、ワシントンDCや旧メヒコDFに倣った連邦地区として存続している。