2016年5月13日金曜日

ブラジル大統領ヂウマ・ルセフが政庁離れる際、陰謀を糾弾

 ブラジル保守・右翼・財界による5月11~12日の国会クーデター(弾劾裁判開始決議)で最長180日間停職処分となった被害者ヂウマ・ルセフ大統領(68)は、大統領政庁プラナルト宮を明け渡す前に支持者と記者団を前に演説した。要旨は次の通り。

「私は有権者5400万人によって大統領に選ばれた。この弾劾裁判には、投票への尊重、人民の至高の意志、憲法が懸かっている。過去13年間の成果も懸かっている。

「これは政治裁判でなく、詐欺であり、本物のゴルペ(クーデター)だ。私が再選された直後、野党から票の数え直しの要求があった。そこには選挙無効化の意図があった。その後、私に対する策謀が公然化した。

「彼らの唯一の狙いは、選挙で得られなかったものを実力行使によって獲得することだ。弾劾には国の未来も懸かっている。

「私は失敗はしたが、犯罪は犯していない。国外に口座も持たない。収賄したこともないし、腐敗に関与したこともない。そんな人間に対して、最大の暴虐がなされた。

「私は、多くの試練に晒される運命にある。だが不可能に思えたことを克服してきた。かつて拷問され、いままた不正義に遭っている。最も痛ましいのは、私が偽りの司法と政治の犠牲者になったことを受け止めねばならないことだ。

「私は人民の能力を信じることを学んだし、多くの敗北や偉大な勝利を経験してきた。だがこの国でゴルペと新たに闘わなければならなくなるとは夢想だにしなかった。

「人民がゴルペを糾弾するのは疑いない。動員し団結し平和裏に行動してほしい。民主闘争に終わりはなく、恒常的に関与することだ。民主のために常に闘うべきだ。決して諦めてはならない。

「みなさん、ありがとう。

[ヂウマは依然、憲政大統領であり、大統領公邸アルヴォラーダ宮に住み、約8000ドルの月給を受け続ける。空軍機使用も認められる。弾劾裁判に対応するため、5~10人の側近らを顧問として持つこともできる。これらの特権は弾劾されるまで続く。弾劾裁判で否決されれば、あるいは180日以内に弾劾されなければ、大統領に復帰できる。だが、その道は狭く細い。政敵ミシェル・テメル副大統領が大統領代行となったが、最高裁は下院にテメル弾劾の手続き開始を命じており、テメルにも弾劾される可能性がある。正副大統領弾劾となれば、出直し選挙となる道が開けてくる。]