2016年6月11日土曜日

ベネズエラ選管が国民投票請願署名を今月下旬、点検へ

 ベネスエラ国家選挙理事会(CNE、選管)のティビサイ・ルセーナ理事長は6月9日、野党連合MUDから5月2日提出された名簿の有効性判断のための点検作業を20~24日実施する、と発表した。

 MUDは、ニコラース・マドゥーロ大統領罷免の是非を問う国民投票実施を要請、その請願のため、有権者名簿を提出していた。この国民投票は憲法72条で保障されている。

 理事長発表によると、MUDが運び込んだ段ボール箱80に計20万の名簿が入っていた。その名簿には計195万人分の署名があったが、うち60万人分は規定を満たしておらず、除外された。残る135万人分が点検対象となる。

 MUDはCNEの作業の「遅さ」に業を煮やし9日、CNEに抗議のため押し掛けた。最高裁は「暴力的押し掛け」を禁止しており、これに違反したため警察および国家警備隊に実力で排除された。その際、MUDの国会議員一人が鼻に負傷、入院した。

 政権党PSUV(ベネスエラ統一社会党)副党首ディオスダード・カベージョ国会議員(前国会議長)は9日、米南方軍士官7人がベネスエラ沖カリブ海にある蘭領アルバに滞在、衛星通信による電子機器で対ベネスエラ軍事作戦情報を探っていると告発した。同士官団は、ベネスエラ国営石油会社PDVSA製油所の麻痺をも狙っている、とカベージョは警告している。

 アルバのミチェル・エナン首相は10日カラカスを訪れ、マドゥーロ大統領と「両国関係強化」のため話し合った。この訪問が、カベージョの告発内容と関連するか否かは明らかにされていない。

 アルバの近くにある蘭領クラサオ(キュラソー)にはPDVSAの製油所があるが、ベネスエラから送られる原油が滞ったため、ことし1月からPDVSAはクラサオ製油所向けに米原油を日量3万7000バレル輸入してきた、という。

 マドゥーロ大統領は9日、近日中にベラルーシを訪問し、アレクサンドル・ルカシェンコ大統領と関係強化で話し合う、と発表した。

 一方、南米諸国連合(ウナスール)のエルネスト・サンペール事務総長(元コロンビア大統領)は10日カラカス入りした。政府とMUDとの対話仲介を促進するため。この仲介努力はこのところ、国際社会で評価されている。

 ベネスエラ外務省は、キトにあるウナスール本部VEN代表部に、文化・社会・経済・政治統合のための部門を開く、と発表した。