2016年9月7日水曜日

カントリー音楽の王ハンク・ウィリアムズの短い全盛期描いた映画「アイ・ソー・ザ・ライト」を観る

 私の小学校時代は、ハンク・ウィリアムズ(1923~53)の全盛期にして晩年だった。日本を占領していた米軍の極東放送(FEN)から連日、「ジャンバラヤ」が流れていたのを記憶している。教室では、誰がハンクのような裏声を出せるか、競争したものだ。

 ハンク・トンプソン、ハンク・スノーを加えた「3人のハンク」がカントリー界にいるのを知識として仕入れ、自慢する同級生さえいた。私は、ハンクの歌の中では「マンション・オン・ザ・ヒル」(丘上の大邸宅)が好きだった。
     
 この米国映画の試写会の案内状を手にした時、これは絶対に観落とすまいと決意した。だが9月6日、試写会の最終日に辛くも観ることができた。酷暑の下、目黒駅近くの会場まで足を運んだのだ。だが、その意味はあった。

 全編123分終始流れるハンクのヒット曲を楽しんだ。特訓で自ら歌った英国人主演俳優トム・ヒドルストンの歌なのだが、決して悪くはなかった。この役者は2014年の撮影時43歳だったが、20歳も若い23歳のハンクを演じたのだ。

 題名の「アイ・ソー・ザ・ライト」(私は光を見た)は、「神との魂の出合い」を歌ったもので、「アメイジング・グレース」と歌詞が似ている。この歌は、ハンクの長男ランドール(ハンク・ウィリアムズ2世)が生まれた時と、ハンクが死んだ時の2つの場面で効果的に使われている。ハンク2世はカントリー歌手として活躍してきた。

 私はカントリー好きが昂じて駆け出し記者のころ、休暇をとってテネシー州ナッシュヴィルに行き、カントリーの聖地グランド・オール・オプリ(「大きく古いオペラ劇場」を意味)を見学、カントリー街を歩き回って歌を聞きまくった。当時の一番人気は「シティー・オブ・ニューオーリンズ」だった。私はバンドにチップを払って、テネシー州歌「テネシーワルツ」を演奏してもらった。

 この映画は、カントリー好き、ポピュラー音楽好きには欠かせない傑作だ。監督はマーク・エイブラハム。★10月1日(土)に新宿ピカデリーで封切られる。

★ニカラグア短信  ニカラグアの誇る世界的詩人ルベーン・ダリーオ(1867~1916)の作品60点を紹介する『ルベーン・ダリーオ詩選』が9月初め、マナグアで発売された。ニカラグア中央銀行、国家大学理事会(CNU)、文化庁が共同で刊行した。

▼メヒコ短信  9月6日のエル・フィナンシエロ紙によると、2018年7月実施の次期大統領選挙予想候補の支持率は、アンデレス=マヌエル・ロペス=オブラドール(国家改新運動=MORENA)24%、マルガリータ・サバーラ(国民行動党=PAN)23%、ミゲル=アンヘル・オソリオ=チョン(現内相、制度的革命党=PRI)22%が上位を占めている。

 政党別支持率はPRI30%、PAN26%、MORENA16%。これら3党が、同3党以外の友党と連合した場合、PRI35%、PAN32%、MORENA24%となる。メヒコには決選投票制度はなく、第1回投票での得票1位の候補が当選する。

★ドミニカ共和国(RD)短信  レオネル・フェルナンデスRD前大統領は9月6日、同国のリスティン・ディアリオ紙のコラムで、ヂウマ・ルセフ大統領を8月31日に弾劾罷免したブラジル政変について糾弾した。

 フェルナンデスは、「これは、ならず者集団の仕業だ。これをクーデターでないという者がいるが、一理ある。クーデターより一層邪悪なものだからだ。あれは裁判ではなく、腐敗した国会議員たちの存在に触れずに権力闘争した演劇、田舎芝居、悲喜劇だった」と指摘した。