2016年12月10日土曜日

アルゼンチンのマクリ保守政権が発足1周年

 アルヘンティーナ(亜国)のマウリシオ・マクリ大統領の保守・右翼政権は12月10日、発足1周年を迎えた。この1年間にインフレは累計45%、景気は後退した。貧困人口が増えた。870万人が貧困、130万人が窮乏状態にある。両者合わせた1000万人は、人口の38%に相当する。

 その間、公務員7000人、民間企業労働者20万人が馘首された。1米ドル=9・75ペソだった外為交換率は、1d=16・11pと、65%もペソの価値が落ちた。

 その傍ら、亜国への債権を買い取り、巨額の債務返済を要求していた米投資会社(禿鷹ファンド)と妥協、高額を支払った。

 貧困大衆は生活苦から抗議行動を続けている。「五月広場の母たちの会」(エベ・デ・ボナフィニ派)と、同会創設者路線(ノラ・コルティーニャスら)は8~9両日に亘って「24時間抗議行進」を、カサ・ロサーダ(大統領政庁)前の五月広場で実行した。

 88歳のボナフィニ会長は車椅子で参加。母たちと支援者は「連帯と闘争か、それとも飢餓と弾圧に身をまかすか」の横断幕を掲げ、ペロン主義キルチネル派の前政権の政治家が共に行進した。

 一方、創設者路線の行進には、ノーベル平和賞受賞者アドルフォ・ペレス=エスキベルらが参加した。

 両母の会ともに、マクリ政権下で政治的弾圧、失業、飢餓、誹謗、不公正などが急速に増えたと指摘する。ことし初め、フフイ州内で、州当局を批判した女性ミラグロ・サラが逮捕され、拘禁されたままになっている。

 親米・新自由主義路線を共にするマクリとテメルの亜伯大統領は関係を深めている。一方でクリスティーナ・フェルナンデス=デ・キルチネル前亜国大統領と、ルーラ元伯大統領、テメルらの陰謀で弾劾されたヂウマ・ルセフ前伯大統領は連携を進めている。

▼ラ米短信  ◎亜英両国が無名戦士の身元確認で合意

 亜英両国は11月29日、マルビーナス戦争(1982年4~6月)で戦死し「無名戦士」としてマルビーナス(フォークアンド)諸島のダーウィン墓地に埋葬されている亜国軍兵士123人のDNA鑑定による身元確認をすることで予備合意、12月9日、最終合意した。双方は赤十字国際委員会(ICRC)に委託し、来年中にDNA鑑定する。

 亜国軍がマルビーナス領有権奪回のため開戦した戦争で、亜国軍649人(無名戦士1234人含む、英軍255人、島人3人が死亡した。英国が勝ち、諸島は英国の植民地のままとなっている。