2016年12月13日火曜日

拉致されたアルゼンチンの左官ロペス氏に名誉博士号

 ブエノスアイレス(BA)州都ラ・プラタ市にある国立ラ・プラタ大学は12月12日、旧軍政極右陣営によって強制失踪させられた左官職人ホルヘ=フリオ・ロペスに名誉博士号を授与、息子ルベーン・ロペスが証書を受け取った。

 ロペスは軍政時代(1976~83)に連行され、地下収容所で拷問された。2006年に元BA州捜査警察長官ミゲル・エチェコラツら、軍政期に同州内で起きた人道犯罪の責任者たちを裁く法廷で証言。新たに法廷証言する直前の同年9月18日、拉致された。殺害されたと見られている。

 だがロペスが済ませていた証言により、エチェコラツらに2012年、終身刑が言い渡された。エチェコラツは拉致、拷問、殺害、政治囚に生まれた赤子奪取などに関与した。

 ロペスは、野放しになっているエチェコラツの元部下らによって拉致され抹殺されたと見られている。ロペスは失踪から10年経った今、人権のために闘った功績を認められ、名誉博士号を授与された。

▼ラ米短信  ◎クーバと欧州連合(EU)が関係正常化で調印

 クーバとEUは12月12日ブリュッセルで「政治対話・協力合意」に調印した。1996年に当時のスペイン右翼政権の主唱で定められた「共通姿勢」(ポシシオン・コムン)という対玖締め付けのための統一政策は過去のものとなった。

 調印式にはブルーノ・ロドリゲス外相(共産党政治局員)が出席した。トゥランプ次期米大統領が就任する前にEUとの関係正常化に到達したことは、クーバにとって重要だ。

 トゥランプ次期大統領は12日、米南方軍(マイアミ司令部)の前司令官、ジョン・ケリー退役海兵隊大将を国土安全保障相に任命した。ケリーは南方軍司令官時代、ベネスエラ潰しの工作に力を入れていた。このためベネスエラやクーバは警戒している。

 一方、玖電気通信会社ETECSAと米グーグル社は12日ハバナで、電子機器通信協力協定を結んだ。パソコン通信の速度加速化などが目的。

 またフランスのカレブ航空は9日、パリ・ハバナ定期便を就航させた。毎金曜日に往復便が運航される。毎火曜日には、同じくパリ・サンティアゴデクーバ便が運航される。また玖国営航空クバーナとの毎土曜日の共同運航を検討している。