2016年12月16日金曜日

コロンビア国会にFARCが会派と代議員を置く

 コロンビア政府と和平合意したゲリラ組織FARC(コロンビア革命軍)は12月15日、国会上下両院に3人ずつの政治代表を置いた。女性政治活動家イメルダ・ダサら6人は同日、選管に会派「和平と和解の声」運動(MVPR)を届け出た。

 ダサら3人は下院、他の3人は上院に属す。審議の際、発言権は持つが投票権は持たない。FARCは来年前半に予定される武装解除と社会復帰の完了後、政党化し、2018年の国会議員選挙と大統領選挙に参加する計画だ。MVPRは、FARC政党化までの繋ぎ役を果たす。当面の役割は、和平合意実施過程の監視と検証。

 ダサは1980年半ばに出来たFARCおよび共産党の政党「愛国同盟」(UP)に所属していた。UP幹部3000~4000人が秘密警察や極右勢力によって暗殺されたが、ダサは生き残った幹部の一人。ダサは87年に暗殺未遂に遭いスイスに亡命、昨年帰国したばかり。他の5人も弁護士、政治学者、大学教授ら知識人。

 ローマ法王は16日、ヴァティカンにJMサントス大統領とアルバロ・ウリーベ前大統領を招き、個別に会談してから3者会談に入った。右翼のウリーベは内戦継続を主張、和平に頑迷に反対してきた。法王は、犬猿の仲のサントス・ウリーベ両人の対話を促し、和平過程実施に向けて協力態勢をとるよう促した。

 サントスは法王を前に、ウリーベに協力を求めたが、ウリーベは最終和平合意内容の修正が不十分と主張、協力に応じる姿勢を見せなかった。

 サントスは法王との会談では、和平最終合意調印時のボリグラフォ(50ミリ銃弾で作ったペン)を贈った。このペンには「銃弾はコロンビアの過去を書いた。未来は平和が書く」という言葉が刻まれている。調印時にサントスがFARC最高司令ティモチェンコに伝えた言葉だ。

 一方、コスタ・リカ警察は15日、サンホセ市内の民家からFARCの隠し資金として現金48万ドル(約15億コロンビアペソ)を押収した。ウリーベ前政権は08年3月エクアドール北部への越境軍事攻撃を決行、FARC幹部ラウール・レジェスらを殺害したが、その時奪ったパソコン資料から隠し資金の存在を突き止めていた。隠し資金はエクアドール、ペルー、パナマ、メヒコ、スペイン、米国にもあった。

 コロンビア司法省は14日、FARC要員中、最初の110人が赦免されたと発表した。来年初めにかけて、さらに約300人が赦免される運び。

▼ラ米短信   ◎ベネスエラ最高裁が国会に大統領弾劾審議禁止を命ず

 ベネスエラ最高裁は12月15日、保守・右翼野党連合MUDが進めていたニコラース・マドゥーロ大統領の事実上の弾劾を狙う審議を違憲として止めるよう命じた。

 圧倒的多数の議席を握るMUDは10月25日、「憲政・民主秩序の崩壊および経済・社会基盤荒廃に鑑み大統領政治責任を宣言する手続き」開始で合意。これに基づき審議していた。

 一方、マドゥーロ大統領に次ぐ実力者デョオスダード・カベージョ国会議員(前国会議長)は15日テレビ定例番組で、亜国警察がデルシー・ロドリゲス外相に暴力を振った問題に触れ、亜国大統領マウリシオ・マクリを「マクリは卑怯者」と糾弾。ベネスエラ駐在の亜国大使には「出て行け」と言い渡した。

▼ラ米短信  ◎クーバがラム酒で債務返済を提案

 チェコ政府は12月15日、クーバ政府が2億7600万ドルの債務をラム酒で返済したいと持ちかけてきた、と明かした。この債務は1989年のコメコン体制崩壊前に発生していた。

 チェコ側は、少なくとも一部は現金で返済してもらいたいが、ラム酒とクーバ製医薬品での返済受け入れもあり得る、と受け止めている。
 一方、ハバナの反体制派声明によれば、「白衣の女性たち」のベルタ・ソレル代表が15日、警察に身柄を拘禁された。