2017年1月23日月曜日

ボリビア大統領が施政11年、国会で成果を報告

 ボリビアのエボ・モラレス大統領は1月22日、政権担当11周年を迎えた。アイマラ人であるモラレスは、自ら制定した新憲法でボリビアを「多民族国家」と規定、国名にも「多民族」を入れた。この日は「ボリビア多民族国家の日」と定められている。

 モラレスは国会で施政報告演説を4時間20分に亘って展開、政権11年の「長期政権の安定性」を強調した。大統領は、ボリビアが独立した1825年から2005年までの180年間に大統領83人がいて、うち37人はゴルペ(クーデター)で政権に就いたとし、「大統領の平均任期は2年間だった。まともな政策立案や施政は可能だろうか」と指摘、自身の長期政権を肯定した。

 大統領は、2025年までに「ボリビアを南米のエネルギーの中心国とする」と述べ、「天然ガスだけでなく電力も輸出する」と語った。この表明は、2020~25年の次期大統領の任期を念頭に置いている。

 エボは、国会議員166人のうち5割強が女性、全体の41人が先住民族代表、29人が若者代表と指摘、「多民族性」が国会にも代表されていることを強調した。

 施政の成果として、貧困率、極貧率、貧富格差が大幅に減少。国民の健康や非識字率も向上、経済成長率は平均5%で、モラレス政権登場前50年間の平均2・8%の倍近いことを訴えた。

 また、クーバ医療派遣団700人の貢献、クーバの協力による「奇蹟作戦」で67万人余りが視力を回復したことに謝意を表した。

 大統領が「長期政権の安定性」を強調したのは、2019年の大統領選挙に4選出馬し、25年まで任期を延長させたい意欲の表れだ。昨年2月の3選出馬を可能にするための改憲の是非を懸けた国民投票で大統領は僅差で敗れている。

 だが出馬意志は変わらず、昨年末、政権党「社会主義運動」(MAS)から、次期大統領候補に指名された。モラレスは現在3期目にあるが、現行憲法下では2期目。このため3選出馬のための改憲が必要だった。

▼ラ米短信   ◎フランス大統領歴訪

 フランソワ・オランド仏大統領は1月21日サンティアゴでミチェル・バチェレー智大統領と会談。その後の記者会見で、保護主義を厳しく批判した。ドナルド・トランプ米大統領が念頭にあるのは言うまでもない。

 両大統領は、1973年9月の軍事クーデターさなかに自殺したサルバドール・アジェンデ大統領の墓に表敬した。アジェンデは智社会党党首だった。

 オランドは22日ボゴタ入りし、23日コロンビアのJMサントス大統領と会談。24日にはFARC集結地一カ所を視察する。

 一方、FARC幹部イバン・マルケス司令は22日記者会見し、FARCは5月末に結党大会を開き、「開かれ民主的で現代的な政党になる」と述べた。「コロンビア変革を志す者は誰でも入党できる」とも語った。FARCは国内27カ所の集結地で党綱領などを練る。