2017年1月16日月曜日

マドゥーロ大統領がベネズエラ経済は「困難で複雑」と指摘

 ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は1月15日、年次施政報告演説をぶち、「国際原油価格低迷で経済は困難かつ複雑な状況にある」と指摘した。政治状況については、「去年は寡頭勢力による政府への攻撃が激化した厳しく難しい年だった」と振り返った。

 国庫の外貨収入については、「去年の収入は53億ドルで、15年の130億ドルから半減以下となった」とし、外貨準備高の目減りを認めた。またコロンビア国境でのベネスエラ石油の大量密輸を非難、近くコロンビア大統領と会い、この問題で話し合いたいと述べた。

 大統領年次報告は国会でなされるのが通例だが、今回は最高裁で行われた。これについては、「国会で報告できないのは残念だ。野党勢力がゴルピスタ(クーデター的)行動をとったためだ」と語った。

 この日、大統領を最高裁に迎えたグラディス・グティエレス最高裁長官は、「憲法上、大統領は年初15日以内に国会で施政報告をすることになっているが、国会が司法命令に従わないため、最高裁での報告になる」と説明した。

 長官はまた、(保守・右翼野党連合MUDが支配する)昨年の国会執行部は司法不服従を止めるよう宣言してから今年の執行部を選ばねばならなかったところ、それをせずに新執行部を選んだとし、「このような不服従のある間は、国会は違憲状態にある」と述べた。

 国会は先日、マドゥーロ大統領を「職務放棄」と決めつけ、大統領選挙の早期実施を要求した。最高裁は、これも違憲行為であり無効と断定した。最高裁判事は32人だが、うち一人は最高裁での年次報告に異議を唱え、欠席した。

 一方、タレク・エルアイサミ執権副大統領は15日、「今年末には経済が回復、インフレは縮小、国富と生産は増える。人民のために経済の構造改革を進める」と述べた。

 同副大統領は「国家対クーデター司令部」(CNA)の議長を務める。MUD加盟の右翼野党「人民意志」(VP)について、2014年に起きた一連の政治的暴力事件(グアリンバ)の責任者であり、「政党資格に値しない」と指摘した。

 エルアイサミはまた、「CNAは治安維持、主権護持のために活動している。国会内に、憲法の枠外で日々に権力を拉致し政権打倒を画策している勢力がいる。彼らから民主体制を守るのもCNAの任務」と強調、MUDを非難した。

 CNAは既にVP国会議員補欠一人を含む4人の野党要員を治安上の問題で逮捕し、取り調べている。