2017年1月30日月曜日

 エクアドルで移民・難民の権利を保障する「人的移動法」が発効。トランプ米政権の移民政策に対処

 エクアドール(赤道国)のラファエル・コレア大統領は1月28日、訪問先のスペイン・バルセローナ市で本国へのテレビ中継を通じて、移民や難民の権利を広く認める「人的移動法」に署名、同法は直ちに発効した。

 コレア大統領は署名に際し、スペイン在住の移民同胞およびラ米人移民を前に演説、「人は誰も移民状態において不法ではない」と強調した。同法は、赤道国が受け入れる難民・移民の権利を保障し、政府に在外同胞保護を義務付けている。

 演説でコレアは、ドナルド・トランプ米大統領の移民制限発言を念頭に、「大国の極めて残酷かつ非人間的演説によって、国家間の人的移動が困難になっている」と嘆いた。

 さらに、「ラ米の選良たちは西語を話しながら英語で考え、<アメリカンドゥリーム>、TPP、自由貿易を口にする。そんな人魚の囁きにたぶらかされての浅い眠りから覚めるべきだ。今や、(米国から)足蹴にされているではないか」と批判した。

 新法には、南米諸国連合(ウナスール)を結ぶ南米諸国間の移動を身分証だけで可能にする提案が盛り込まれている。赤道国は6万人の難民を受け入れているが、その95%は隣国コロンビアから流入した。

 大統領は、進歩的な新法の内容は国連難民高等弁務官から賞賛されている、と指摘した。新法により、赤外務省は「外務・人的移動省」と改名された。

 本国の首都キトでは28日、ギヨーム・ロング外務・人的移動相が声明を発表、「トランプ大統領の移民政策発表に伴い、厳しい時期の到来が予想されるため、移民同胞の利益を守る緊急領事業務計画を策定、展開させる」と発表した。

 ロングは同計画策定に際し最近訪米、移民保護団体や弁護士団体と協議した。計画には領事館業務時間延長、法的電話相談、移動領事館制度などが含まれている。

 同相はまた、「幸運にも在米同胞の多くは<聖域州>に居る。米政府の移民取締命令に従わない州だ」と述べた。さらに、「在米移民問題に対処するには、CELAC(ラ米・カリブ諸国共同体)のような機構を通じてラ米団結を国際社会に示す必要がある」、「CELACには、移民に厳しい米政権が醸す状況に対処する責任がある」と指摘した。

 在米エクアドール人は61万人で、うち20万人は不法滞在とされる。在西同胞は44万人で、うち23万人は西国の国籍を取得している。