2017年5月16日火曜日

  米州諸国機構(OEA・OAS)は31日にベネズエラ問題を討議へ。4月以降の暴動などによる死者は42人に。カラボボ州都バレンシアでは警察幹部が狙撃手に頭部撃たれる。米上院は反政府派活動資金2000万ドル供与法案審議終える▼メキシコで麻薬組織犯罪専門記者が白昼殺害さる

 米州諸国機構(OEA、34カ国加盟、うちベネスエラは脱退表明済み)は5月15日ワシントンの本部で大使会議を開き、ベネスエラ情勢を討議する特別外相会議を31日開催することを決めた。ベネスエラおよび、グレナダは投票に参加しなかった。

 ベネスエラに厳しい態度をとるメヒコが31日開催案を提案、過半数の18カ国の賛成で可決した。ニカラグアだけは反対。反ベネスエラ派ながら31日という日程に異議を唱えたコスタ・リカ(CR)および、ベネスエラを支持したり理解を示したりする12カ国の計13カ国が棄権した。

 ベネスエラ国内では、保守・右翼野党連合MUD主導の反政府行動が続いている。コロンビア国境沿いのタチラ州都サンクリストーバルでは15日、反政府行動の別働隊の青年2人が死亡。非公式集計では、4月以来の一連の反政府行動に関係する死者は42人に達した。

 カラボボ州とバレンシアでは同日、州警察幹部一人が狙撃手に頭部を撃たれ重傷。弾丸はとう部を貫通した。警官もうひとりも狙撃され、重傷。狙撃手たちは、反政府側に雇われている。同州では、国営電力会社(CORPOELEC)の支社が放火された。

 コムーナ相アリストーブロ・イズトゥーリスは15日、「MUDはニコラース・マドゥーロ大統領打倒を国外で担保にしている」と糾弾した。さらに「彼らの活動資金は帝国主義者(米国)と国際金融機関から出ている」と非難。米上院が、MUD指揮下の反政府勢力への活動資金2000万ドル供与法案の審議を終えたことを示唆した。

▼ラ米短信   ◎メヒコの麻薬犯罪組織専門記者が殺害さる

 シナロア州都クリアカンで5月15日、週刊誌「リオドセ」創刊者で、麻薬組織犯罪報道の著名な専門記者ハビエル・バルデスが白昼、市内で麻薬組織の殺し屋に銃撃され死亡した。メヒコでのジャーナリスト殺害は、これで6人目となった。

 ハビエルは生前、「ジャーナリストになることは、暗殺標的名簿に記載されることに等しい。彼らはいったん殺害決行日を決めたら、いかなる警備があろうとも決行する。メヒコにはジャーナリスムを遂行するための条件がない。あまりにも近くを弾丸がかすめるからだ」と語っていた。

 ハビエルは首都メヒコ市の日刊紙ラ・ホルナーダの通信員でもあり、ながらくフランス通信AFPの協力者だった。ハビエル殺害に抗議する運動がクリアカン、メヒコ市をはじめ各地で起きている。著書には『麻薬ジャーナリスム』、『麻薬の孤児たち』、『ミス麻薬』などがある。