2017年7月20日木曜日

 ニカラグアがサンディニスタ革命38周年祝う▼FSP(サンパウロフォーラム)参加者も式典参加▼東京でも記念行事、ニカラグア大使が講演▼ベネスエラ野党連合が「政権構想」発表

 ニカラグアは7月19日、サンディニスタ革命38周年を迎え、首都マナグアで盛大な式典が催された。政権党「サンディニスタ民族解放戦線」(FSLN)党首を兼ねるダニエル・オルテガ大統領は記念演説で、「人口630万人のうち275万人(43%)が14~39歳の若い層であり、世代交代が進んでいるが、革命の志は引き継がれている」と強調した。

 世界銀行統計では、11年目のオルテガ現政権下で貧困率は42・5%から29・6%に、極貧率は14・6%から8・3%に、それぞれ減った。無料の教育と医療保健が低所得層を特に助けている。

 大統領はまた、「クーバは半世紀もの経済封鎖など米国の圧力を凌ぎ、対話により対米関係を再開させた」と前置きし、「ベネスエラ問題も圧力や脅迫でなく、対話によって解決すべきだ」と述べた。

 来賓のボリビア大統領エボ・モラレスは、「資本主義は、自らの金融危機や社会正義の問題を解決する能力を備えておらず、失敗だ」と指摘。ラ米連帯を訴えた。

 エル・サルバドール(ES)のサルバドール・サンチェス=セレ-ン大統領は、ニカラグアの英雄アウグスト・サンディーノとESの英雄ファラブンド・マルティが米侵略軍相手にニカラグアで共に戦った史実を踏まえて、両国の絆と共通性を説いた。

 クーバの次期国家評議会議長候補ミゲル・ディアスカネル第1副議長は、「フィデルは無条件でニカラグア支持を打ち出した」と、玖革命政権とニカラグア革命政権の強固な関係を讃えた。

 エクアドール(赤道国)からはマリーア・エスピノーサ外相が出席した。また18日までマナグアで開かれていたフォロ・デ・サンパウロ(FSP)の第23回年次会議参加の各国政党代表団も式典に参加した。

 FSPは、マドゥーロ・ベネスエラ政権支持、コロンビア内戦和平過程防衛、迫害されているルーラ元伯大統領支持、米国の対玖経済封鎖撤廃要求、エボ・モラレスの2019年ボリビア大統領選挙出馬支持、亜国のマルビーナス諸島領有権支持などを決議した。

 会議に参加した米州ボリバリアーナ同盟(ALBA)のダビー・チョケウアンカ事務局長(前ボリビア外相)は、「母なる大地と社会正義を重んじる世界共通の開発モデルを構築する必要がある」と訴えた。

 今FSP会議には、ラ米20カ国と、バルバドス、トゥリニダード&トバゴ(TT)のカリブ英連邦系両国および、米領プエルト・リコ、蘭領アルバ、同クラサオ(キュラソー)、仏領マルチニックから政党や政治運動の代表約300人が出席した。

 次回会議は来年、クーバで開かれる。エボ・モラレスは19日マナグアからハバナ入りした。21日には亜国メンドサ市での、南部共同市場(メルコスール)首脳会議に出席する。

▼ラ米短信   ◎東京でもニカラグア革命記念日祝う

 東京・高田馬場のNGOピースボート(PB)本部で7月19日、サンディニスタ・ニカラグア革命38周年記念の祝賀会合が開かれた。サウール・アラナ同国駐日大使が講演、1979年の革命に至るまでの、20世紀初頭からのニカラグア情勢を解説。「今も敵がいる」と指摘し、油断してはならないと警告した。

 この会合にはベネスエラ、エクアドールの両国大使、クーバ、エル・サルバドール、ボリビア、グアテマラなどの外交官も出席した。吉岡達也PB共同代表、PB要員、ジャーナリスト、大学教授、歌手、PB世界周遊船乗船経験者、同乗船予定者ら、百数十人が参加した。

▼ラ米短信   ◎ベネスエラ情勢

 ベネスエラの保守・右翼野党連合MUDは7月19日、「MUD政権構想」を打ち出した。ニコラース・マドゥーロ大統領に退陣を迫り、親米・新自由主義路線を復活させる構想で、従来のMUDの主張と変わらない。

 米州諸国機構(OEA)のルイス・アルマグロ事務総長(前ウルグアイ外相)は19日、米上院ラ米小委員会で証言。マルコ・ルビオ委員長(共和党極右クーバ系議員)の質問に対し、「ベネスエラ民主は崩壊した。VEN政権には麻薬取引が構造的に組み込まれている」と述べた。

 これを受けてルビオは、「ディオスダード・カベージョ(VEN政権党副党首)はベネスエラのパブロ・エスコバル(故人、かつてのコロンビア麻薬王)だ」と糾弾した。

 米政府の言いなりのアルマグロと、ラ米介入主義者ルビオの発言は根拠が乏しく、ポスト真実期の典型的な虚偽情報だ。この種の非論理的発言が一方的に証言され、ラ米への内政介入を当然視する米政府の政策になる傾向がある。

 ボリビアの政治首都ラパスでは19日、アルバロ・ガルシア副大統領が、元暫定大統領ホルヘ・キロガ(キリスト教民党首)を、「軽薄な挑発者で、押し付けがましい」と扱き下ろした。

 キロガがこのほどカラカスに行き、MUDを支持しする内政干渉言動をした。ガルシアはこれを非難した。これに対しキロガは、「押しつけがましいのは汝(なんじ)だろう」と言い返した。