2017年8月11日金曜日

 キューバのラウール・カストロ議長が「激しい闘いの日々が来る」と、マドゥーロ・ベネズエラ大統領への書簡で表明▼制憲議会(ANC)は州選挙に参加する極右に「善良宣誓」を要求▼「軍人の極右地下武闘結社」が意思表明

 ベネスエラ大統領政庁(ミラフローレス宮殿)は8月9日、ラウール・カストロ玖国家評議会議長からニコラース・マドゥーロ大統領へ宛てた親書の内容を公表した。ラウール議長は、VEN制憲議会(ANC)発足に「革命的大歓喜」を表明している。

 書簡は8日、カラカスで開かれたALBA(米州ボリバリアーナ同盟)外相会議に出席したブルーノ・ロドリゲス玖外相からマドゥーロに渡された。ラウールは、「国際的圧迫によって激しい闘いの日々が来るだろうが、それはVEN人民にとって創造と労働の日々になるだろう」と、懸念と激励を表した。

 さらに、「VENは独りではない。クーバは大義に忠実であり、同志的連帯の最前線にいる」と、同盟関係を強調した。エネルギー源の約半分をベネスエラに依存しているクーバにとって、VEN情勢は極めてゆゆしいことだ。

 米政府は9日、故ウーゴ・チャベス前大統領の実兄アダン・チャベスANC議員ら高官8人の「在米資産凍結」、「査証発給制限」などの「制裁」を科した。理由は、8人が議員になるなど「何らかの形でANCに関与したため」とされている。

 これに対し、ホルヘ・アレアサVEN外相は同日、ラ米諸国大使との会合で、「シモン・ボリーバルの国の人民を<制裁>する道徳的権利はいかなる国にもない」と反駁、米政府を糾弾した。

 ANC議員で政権党PSUV副党首の実力者ディオスダード・カベージョ(元国会議長)は9日、年末の州知事・州会議員選挙に立候補する者は「2度とベネスエラを炎上させるようなことはしない」と宣誓し、ANCから「善良証明書」をもらわねばならない、と述べた。

 これは4月から一連の街頭暴力事件を起こしてきた保守・右翼野党連合MUDの、極右含む諸政党が12月10日の州選挙参加を決めているのを受けて、出馬に条件をつけたもの。

 最高裁は、カラカス首都圏エル・アティージョ区のダビー・スモアンスキ区長を9日、禁錮15か月の実刑に処した。区内での反政府暴力を許したため。同様に首都圏チャカオ区長、バルキシメト市長、メリダ市長も禁錮刑を適用されている。

 ANC発足を機に、マドゥーロ政権は暴力行使の責任者への対応が甘かったのを反省、「無処罰」路線を止めた。

 一方、反政府勢力の機関紙役を務めてきた右翼紙エル・ナシオナルは9日、武闘地下結社「レシステンシア」(抵抗)のビデオメッセージを掲載した。結社は、「現役および退役軍人集団」を名乗り、「対話と選挙の時は終わった。マドゥーロ政権打倒のための<ダビー作戦>を開始する」と主張している。

 結社はバレンシア市で6日、陸軍基地を襲撃して逮捕されたフアン・カグアリパーノ(元国警隊大尉)の集団と一体化する、とも述べている。ベネスエラ政府当局は、MUD極右やCIAが結社に関与していると見ている。