2017年8月1日火曜日

 米政府がマドゥーロ・ベネズエラ大統領の在米資産を凍結▼米政府の言いなりにならない故の制裁を歓迎、と同大統領▼キューバ政府が米主導の「国際反ベネズエラ作戦」を糾弾▼MUD指導部に「過ちを正せ」と内側から要求

 米財務省は7月31日31日、米国の警告に反してベネスエラが制憲議会(ANC)議員選挙を30日実施したとして、ニコラース・マドゥーロ大統領が米施政下に保有する全資産を凍結する、と発表した。また米国人がマドゥーロ大統領と金融取引するのを禁止した。さらに、ANC議員は将来的に制裁対象になる、と表明した。同大統領を「独裁者」と決めつけた。

 大統領名義の「在米資産」がどのようなものなのかは明らかにされていない。

 米政府に「制裁」する倫理的資格はなく、「制裁」されるいわれもないとする立場のマドゥーロ大統領は、「好きなようにやればいい。VEN人民は自由になろうと決意した。私は自由な国ベネスエラの大統領だ」といなし、「米政府は、ANC選挙をするなという米国の命令に従わなかったことに怒っている。私が外国の命令に従うことはありえない。私は独立国の大統領であり、反米帝国主義だ」と強調した。

 続けて、「VEN人民は、対話、平和、対テロリズムと反無処罰の強化、脱石油依存経済の新モデル構築を図るためANC議員選挙で投票した。それゆえに制裁された」と反駁。「ベネスエラの石油を(内外)経済界の大物の手に渡さないため制裁された。天然資源を米帝から守っているがゆえに制裁された。それゆえに制裁を歓迎する」と言ってのけた。

 大統領はANC選挙に触れて、「投票機181台が暴徒に破壊され、影響が出た」と明らかにした。

   クーバ外務省は31日声明を発表、「ANC選挙はVEN人民が主権を行使し、平和、治安、独立、自決の側に決定的に賛同したことを示す。同選挙は、帝国主義、寡頭支配勢力および、残酷の最たる手段に訴えては憚らない野党勢力の戦略を打ち破った」と讃えた。また、米政府はマドゥーロ大統領に、異常かつ国際法違反で一方的な「制裁」を科した。と糾弾した。

 さらに、「米政府が指揮し、米州諸国機構(OEAのルイス・アルマグロ事務総長が支援するところの、十分に意思統一された反ベネスエラの国際的作戦がある。ベネスエラ人民を沈黙させ、その意思を否定し、攻撃と経済制裁によってベネスエラを屈服させるためだ」と指摘。

 また、「彼らはそのようにすれば、彼らが支援する傀儡野党勢力にベネスエラ人民が屈従すると信じている」と指摘。「チャベス主義者のボリバリアーナ革命を、違憲、暴力、クーデターで潰そうと謀る者には歴史的責任を科せられる」と警告した。

 一方、保守・右翼野党連合MUDに属するアントニオ・レデスマ(服役しカラカス首都圏市長資格停止中)は31日、MUD指導部宛てに公開書簡を送り、「勝利するためには指導部が過ちを正さねばならない。釈明すべきは、そうせねばならない。国会は政府に対決し続けた結果、大統領に政令政治を許してしまった」と厳しく指摘した。このようなMUD内部の批判や自己批判は珍しい。