2018年5月21日月曜日

★ベネズエラ大統領選挙は現職マドゥーロ再選▼大統領は「国民対話」呼び掛け▼得票率68%弱、 投票率は46%▼「正常に実施」と国際監視団▼国軍は「大成功」と表明▼キューバ首脳が祝電▼ローマ法王からメッセージ▼米政府は選挙結果を認めず▼米国の内政干渉措置、一層厳しくなる見込み▼パラグアイが大使館をエルサレムに移転

ベネズエラで5月20日実施された大統領選挙は午後6時投票が終了。国家選挙理事会(CNE)のティビサイ・ルセーナ理事長は同日夜、ニコラース・マドゥーロ大統領が582万票(得票率68%弱 )を得て再選された、と発表した。
 投票時間は12時間だった。有権者は2052万人。投票率は46%。マドゥーロ陣営は1000万票獲得を目標に掲げていたが、これには遠く及ばなかった。
 勝利宣言したマドゥ―ロ大統領は、国民対話を呼び掛けた。

 野党側候補は3人で、ヘンリー・ファルコン182万票(21%)、ハビエル・ベルトゥッチ92万票、レイナルド・キハーダ3万票だった。

 同盟国キューバのミゲル・ディアスカネル国家評議会議長とラウール・カストロ共産党第1書記は、別々に祝電をマドゥーロ大統領に送った。

   米国や一部ラ米諸国と連携して選挙ボイコット運動を続けてきた保守・右翼野党連合MUDなど反政府勢力は、「棄権率は70~80%に達した」との見方を根拠を示さずに示していた。

 これに対し、マドゥーロ大統領の選挙運動母体「ソモス・べネスエラ(私たちはベネズエラ)」のデルシー・ロドリゲス事務局長(制憲議会議長)は、「選挙は、棄権を呼び掛けていた側の敗北を明確にした」と述べた。
 これは「棄権率」が54%に留まったのを受けての発言と捉えることができる。

 だが国際監視団の一員としてカラカス市内を巡回したラファエル・コレア前エクアドール大統領は、「私はベネズエラの民主の祭典に参加した。投票は正常に実施された」と表明した。
 コレアは、カナダ政府が在加ベネズエラ人のための投票所設置を妨害しようとしたことに関し、同政府を厳しく批判した。

 ホセ=ルイス・ロドリゲス=サパテロ前スペイン首相も、「正常」と述べた。国際監視団は当初2000人とCNEは見ていたが、実際に到着し活動しているのは150人。

 国軍戦略作戦司令部のレミヒオ・セバージョス司令官は、全国1万4600余りの投票所のほか、電力施設などを厳重に警戒していると明らかにした。国軍兵士、警察官ら30万人が動員されている。
 またブラディミロ・パドゥリーノ国防相は、「ベネズエラは独自の運命、歴史、民主をもって選挙をしている」と強調。「きょう新たに祖国をつくる。祖国は参政、憲法順守、主権尊重によってつくられる」と述べた。
 選挙結果判明後には、「大成功の一日だった」と語った。

 一方、制憲議会(ANC)のデルシー・ロドリゲス議長は20日、「フランシスコ法王から、我が国の問題を解決する方法を見出すように、とのメッセージをいただいた。ベネズエラへの良き心の呼びかけと善意に感謝いたしたい」と表明した。
 法王はヴァティカンでの定例ミサで「平和と団結への道を探るべし」と表明した。

 ボリビアのエボ・モラレス大統領からは、「帝国(米国)の内政干渉と、選挙ボイコットの呼び掛けにも拘わらず、ベネズエラ民主の伝統が発揮された」との祝意がマドゥーロ大統領に届いた。

 米国のマイク・ポンぺオ国務長官は「ベネズエラ選挙は何も変革しない」と選挙を否定する見解を表明した。これに対しマドゥーロ大統領は、「クークラックスクラン(白人優越主義の極右団体KKK)の政府からの侵略は軽蔑されている」と反駁した。

 大方の予想どおりマドゥーロ再選なったが、ベネズエラへの内政干渉を厭わない米国と同調する諸国は、さらに厳しい圧力をかけてくる見込み。

 ロシア外務省は21日、米国のベネズエラへの内政干渉を厳しく非難した。

▼パラグアイが大使館を移転

 パラグアイは5月21日、在イスラエル大使館をテルアビブからエルサレムに移した。
式典には、パラグアイのオラシオ・カルテス大統領、Bネタニヤフ・イスラエル首相らが出席した。